4月2日(月)

★来るまでを辛夷のひかり見て待てる  正子
中七の「辛夷のひかり」がいい。待ち合わせの少しの緊張と無聊をうまく捉えた。理屈ではなく、詩心で捉えたのである。(高橋信之)

○今日の俳句
窓越しに明日行く丘の花明り/川名ますみ
丘にのぼる楽しさを思う気持ちがあふれている句。明日上る丘は窓越しに見ても花明りがしている。(高橋正子)

●4月が2日となった。昨日、ネット短信No.346を出した。4月月例ネット句会の案内。今年は第2日曜が8日なので、危ないところだった。マーラーのアダージェットを昨夜遅くまで聞きながらパソコンをした。

入学は記憶の果てとなりにけり 正子
春の川黒き一羽は鵜であらむ  正子

○鈴蘭水仙(すずらんずいせん)

[鈴蘭水仙/横浜日吉本町・金蔵寺] 

★花散る大待雪のつれもつれ/秋村
★夜静寂スズラン水仙の仄灯り/かずえ
★まだ寒し鈴蘭水仙うつむき咲き/高橋正子

 鈴蘭水仙(すずらんずいせん、学名:Leucojum aestivum)は、ヒガンバナ科スノーフレーク属の植物の1つ。クロンキスト体系ではユリ科。和名はオオマツユキソウ(大待雪草)、別名はスノーフレーク。
 ヨーロッバ中南部原産。多年草。花期は春で白いスズランのような花が咲く。花弁の先端には緑の斑点がある。秋植の球根草であるが、数年くらいは植えたままでも差し支えない。本種と名前の似たスノードロップ(マツユキソウ) (Galanthus nivalis) という球根草もあり、これと混同しないよう注意が必要である。
 開花時期は、 3/ 5 ~ 4/末頃。地中海沿岸原産。垂れ下がったようすがおもしろい。鈴蘭のようで、水仙のようなので、うまいネーミングといえる。3月28日の誕生花。花言葉は「皆をひきつける魅力」。

◇生活する花たち「花桃・通草の雄花・桜」(横浜日吉本町)

4月1日(日)②


俳句界(文學の森2018年3月号掲載作品)
作品二十一句

春の水   
          
高橋(たかはし)正子(まさこ)

末黒の葦まばゆき水に取り巻かれ
水破りみどり無数の葦の角
葦芽ぐみさざ波すぐに生まれける
葦芽ぐみ早やも若葉を掲ぐあり
まんさくの咲くや翡翠池に来て
翡翠の餌時まんさく開くなり
まんさくの花の縮れに風荒ぶ
まんさくや雑木林は透きとおり
春の水水車が汲みて流れ出づ
三椏の花へ水車の水急ぐ
猫柳池面の水のうすみどり
水の中の水輪連れゆく春の鴨
先行ける夫が見上ぐる花辛夷
山がかる空半分に咲く辛夷
雨よりも風の辛夷の多かりぬ
遠山に桜・辛夷と咲いており
花辛夷夜はしずまりて灯がもるる
星空の冷えを纏えり沈丁花
沈丁花門扉閉づれば濃く匂い
椿活けもっとも冷えし花鋏
さんしゅゆの花澄む角よ朝の家

自己紹介
一九四七年広島県生まれ。一八歳より作句。「花冠」主宰。
句集に『月の樫』『花冠』。『現代俳句一日一句鑑賞』。

◆◇◆◇◆◇

■皆さんからの感想■
拙句を読んでいただき、感想をありがとうございました。大変励まされました。

●柳原美知子さん(3月10日/葉書)
日差しはすっかり春となりましたが、寒い日が続いています。
先日は久しぶりにお電話でお話しができてよかったです。
「水の俳句」はリハビリ仲間にも見せ、喜んでいただきました。
「俳句界」もお贈りいただき、ありがとうございました。
正子先生の21句、浅春の風と光と水のゆらぎが感じられ、素
敵ですね。感動しました。(後略)

●河野啓一さん(3月6日)
珠玉の御句21句を乗せた俳句界3月号只今拝受いたしました。
ありがとうございました。迷ったのですが、好きな句は、
「まんさくの咲くや翡翠池に来て」です。他に「葦芽ぐむ」
もすばらしいと思いました。(後略)

●藤田洋子さん(3月5日)
正子先生へ
いつもお世話になります。
本日、「俳句界3月号」受領しました。
先月に引き続き、わざわざお送りいただきありがとうございました。
<春の水>掲載の21句、どれもみずみずしく素敵な御句ばかりで
すが、

末黒の葦まばゆき水に取り巻かれ
葦芽ぐみさざ波すぐに生まれける
まんさくの咲くや翡翠池に来て
まんさくの花の縮れに風荒ぶ
春の水水車が汲みて流れ出づ
水の中の水輪連れゆく春の鴨
先行ける夫が見上ぐる花辛夷
星空の冷えを纏えり沈丁花

特に好きな句です。益々のご活躍をお祈りしております。 
(後略)

●高橋秀之さん(3月5日)
高橋正子先生
おはようございます。
「俳句界3月号(文學の森)」拝受いたしました。
好きな句については、また、改めて返信いたします。
取り急ぎ。

●川名ますみさん(3月4日)
高橋信之先生
高橋正子先生
いつもご懇切なご指導を賜りまして、ありがとうございます。
この度は、俳句界3月号「特別作品21句ー春の水」ご掲載、
おめでとうございます。有難く嬉しく、拝受しました。

静かに見える早春の、強さと勢いを知り、勇気が湧きました。

一読で惹かれましたのは、「春の水水車が汲みて流れ出づ」。
水車の動きが、これほど的確な言葉で、表されることに驚きました。
おそらく、実際に自分でぼんやり眺めるよりも、御句の言葉の方が、
ずっとはっきり、動きが心に残ったことでしょう。
その動きは、春の水ゆえの動き。大きな春の動きを見ました。
朝の家、角にさんしゅゆの花が「澄む」という捉え方も、
想い浮かべますと、ぴたりと景が浮かび、すぐに共感しましたものの、
これは、とても簡単に出てくる表現ではない、と気付きました。
大仰な言葉ではない、馴染みあるやさしい言葉が、
芯を捉えた時の力を、読むほどに強く感じております。
ありがとうございます。勉強させて頂きます。
(後略)

●古田敬二さん(3月4日)
正子先生、こんばんは
俳句界3月号ありがとうございました。
3/3、配達されました。
特別作品21句掲載おめでとうございました。
好きな句5句選ばせていただきました。

・葦芽ぐみさざ波すぐに生まれける
・まんさくの花の縮れに風荒ぶ
・先行ける夫が見上ぐる花辛夷
・花辛夷夜はしずまりて灯がもるる
・沈丁花門扉閉づれば濃く匂い
(後略)

●祝 恵子さん(3月3日)
高橋信之先生、正子先生
何時もお世話になりありがとうございます。
正子先生、月刊俳句界3月号贈呈頂きまして
ありがとうございます。21句の正子先生の掲載
おめでとうございます。

春の水水車が汲みて流れ出づ 
少し水温む春となり水車が水を汲みながらうごいています。
コトコト音が聞こえるような長閑な空間が見えるようです。
                
●小口泰與さん(3月3日)
高橋信之先生、正子先生
本日は月刊俳句界3月号を御贈呈いただき大変にうれしく感謝申し上げます。
正子先生の「特別作品21句」を拝読させて頂きます。
                         
●廣田洋一さん(3月3日)
高橋信之先生
  正子先生
いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
この度は、「俳句界」3月号をお送り頂き、誠に有難う御座います。
正子先生の「春の水」21句をじっくり鑑賞させて頂きます。

●林誠司さん(俳句界編集長)
好きな句です。
水破りみどり無数の葦の角
まんさくや雑木林の透きとおる
さんしゅゆの花澄む角よ朝まだき

3月31日(土)

★花にらはいつも樹のそば垣のそば   正子
花にらは葉に韮や葱の匂いがあり、繁殖が旺盛で植えたままで樹の下や垣根の下にも広がっていく。淡紫色の6弁の花を頂上に一つつける可憐な花ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
あけぼのや日ののびていてつくつくし/小口泰與
「日ののびていて」が野原の草の萌え出た緑のやわらかさを想像させる。その中に土筆がのびて、あけぼのの冷たさのなかにすっくと立ちみずみずしい。(高橋正子)

●これまでの美容院を変更。ネットで探して、新しい美容院で髪を切ってもらった。ごく近所にあった。広尾で働いていた美人スタイリストで、もう19年日吉本町で店を開いて居るとのこと。店はよく知っていたのだが、開いているのかどうかよく分からない感じの美容院。ネットで検索しなけば、行かなかっただろう。母と娘の美容院。言葉遣いが自然。

信之先生が福田医院に薬をもらいに行った帰り、近くの八百半商店で、筍を一つ買って帰る。せっかくゆでるのだから、もう一本買い足しに。糠を買おうとすると、土の中から掘り出したものなので、糠はいらないという。茹でて柔らかくなったら、お湯が冷めるまでそのままにしておくとよいとのこと。初筍。蕗も追加して買う。栽培蕗なのがかなしい。
ここのところ、何かしら神経をつかって疲れてしまった。夕食は握り鮨。こちらの鮨は鮪だらけで、いつも残念。

筍のまだ小さきがまるまると  正子
筍の皮の土色生え来し土    正子 
花の雲寺の甍のなかに浮き   正子
あかあかと林檎売りけり花の影 正子
病院も花に包まれて淡し    正子

○たらの芽

[たらの芽/横浜日吉本町(左:2014年3月22日・右:2014年3月26日)]

★たらの芽のとげだららけでも喰ひけり/小林一茶
★たらの芽や結城のたより聞えざる/正岡子規
★たらの芽やからびしをれて籠の目に/飯田蛇笏
★たらの芽はつんざくごとし言貧し/加藤楸邨
★みつめゐてまぶしきたらの芽を摘みぬ/加藤知世子
★たらの芽の仏に似たる瀬のひかり/角川源儀
★貨車にあけぼの丘上のたらの芽も/飯田龍太
★たらの芽へ開くトンネル煙まみれ/宮津昭彦

 タラノキ(?木、?木、学名、Aralia elata)はウコギ科の落葉低木。新芽を「たらのめ(?芽)」「タランボ」などと呼び、スプラウトとして食用に販売もされている。テンプラ等に調理される。
 高さは2-4m程度、あまり枝分かれせずにまっすぐに立ち、葉は先端だけに集中する。樹皮には幹から垂直に伸びる棘が多くある。葉は奇数二回羽状複葉で、全長が50-100cmにも達する大きなものである。全体に草質でつやはない。葉柄は長さ15-30cmで基部がふくらむ。小葉は卵形~楕円形で長さ5-12cmで裏は白を帯びる。は全体に毛が多いが、次第に少なくなり、柄と脈状に粗い毛が残る。夏に小さな白い花を複総状につける花序を一つの枝先に複数つける。秋には黒い実がなる。分類上は幹に棘が少なく、葉裏に毛が多くて白くないものをメダラ var. cansecens (Fr. et Sav.) Nakai といい、むしろこちらの方が普通とのことである。現実的には両者混同されていると見るのが妥当であろう。
 タラノキは成長が早いので、地中から新しい枝を生やした時にその先端近くについた芽を採取するのが楽。若い枝はとげがあり直線的にのびるので目に付きやすい。農家で栽培される場合には枝にとげのない種(メタラ)も用いる。新芽の採取時期は桜の8分咲きころに同期しており、里の桜がタラの芽の採取時期でもある。採取は先端から上に向いた1番の芽と、その脇から斜めに伸びる2番程度までとする。
 テンプラにするのが一般的で、口いっぱいにひろがる独特の芳香が特徴的である。単にゆがいておひたしや和え物にしたり、油で炒めて食べてもよい。

◇生活する花たち「菜の花・片栗の花・山桜」(横浜・四季の森公園)

3月28日(水)


俳句
芽柳のるると色燃ゆ向こう岸  正子
自解:「るると」がお分かりだろうか。柳のさみどりの小さい芽が「る」という字に似て、また、小さな芽のつながる枝が「るる」と発音すればよさそうな具合に風に揺れていた。それが水を隔てた向こう岸にあるので、そこまで行って見たいような、こちら側から見ていた方がよいような風景だった。

○今日の俳句
桜咲く島へと長き水脈を曳き/柳原美知子
島に桜が咲くこと自体に抒情がある。その島まで船が長い水脈を曳いて、穏やかなみどり深き海が想像できる。島へゆくのは生活の船であろう。一景の画だ。

○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/

◇生活する花たち「桜・雪柳・菜の花」(横浜日吉本町)

3月27日(火)

★夜桜にオリオン星雲浮いてあり  正子
子供の頃には東京でもオリオン星雲を肉眼で見ることが出来ました。ただぼんやりと、見えた気になっていただけなのかもしれませんが。春の夕には、オリオン座が西空に消え残ります。おぼろげな有様、やがて沈みゆく儚さなど、夜桜と星雲との対比が印象的です。(小西 宏)

○今日の俳句
陽の庭に白木蓮の花浮かぶ/小西 宏
さんさんと太陽が降り注ぐ庭に、白木蓮が鮮やかに咲いている。庭の陽のあまりの明るさに、花は「浮かぶ」感じだ。白木蓮の花の姿をよく表している。(高橋正子)

○犬ふぐり(オオイヌノフグリ)

[犬ふぐり(オオイヌノフグリ)/横浜日吉本町]

★陽は一つだに数へあまさず犬ふぐり/中村草田男
★構想をまとめ返す歩犬ふぐり/稲畑汀子
★眼を閉ぢて数ふやしけり犬ふぐり/鷹羽狩行
★東京へ歩いてゐるやいぬふぐり/岸田稚魚
★ゆきすぎて胸の微光はいぬふぐり/林翔
★ふかぶかと春の露おくいぬふぐり/瀧春一
★馬とびの馬のつぶれて犬ふぐり/小沢昭一

オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢、学名 Veronica persica)とはオオバコ科クワガタソウ属の越年草。別名、瑠璃唐草・天人唐草・星の瞳。路傍や畑の畦道などに見られる雑草。
 ヨーロッパ原産。アジア(日本を含む)、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに外来種(帰化植物)として定着している。日本では全国に広がっており、最初に定着が確認されたのは1887年の東京である。
 早春にコバルトブルーの花をつける。まれに白い花をつけることがある。花弁は4枚。ただしそれぞれ大きさが少し異なるので花は左右対称である。花の寿命は1日。葉は1?2cmの卵円形で鋸歯がある。草丈10?20cm。
 名前のフグリとは陰嚢の事で、実の形が雄犬のそれに似ている事からこの名前が付いた。ただし、これは近縁のイヌノフグリに対してつけられたもので、この種の果実はそれほど似ていない。したがって正しくはイヌノフグリに似た大型の植物の意である。
犬ふぐりは、一般にはオオイヌノフグリをさす。俳句で詠まれている「犬ふぐり」の殆どが「オオイヌノフグリ」であり、在来種の「犬のふぐり」を見かけることは少ない。 

◇生活する花たち「しでこぶし・山吹・桜」(横浜市港北区下田町)

3月26日(月)

●晴れ。
2月21日に受けた病院の検査結果を聞く。最近、この病院では検査を希望する人が増えて、医師が少なくて間に合わないとのこと。私は、薦められて検査をうけている。超音波と血液検査でほとんど病気の状態が分かる。体全部をスキャンされているようなもの。検査値を見て、病気の判断が素人でも多少はできる。

3月25日(日)


晴れ。
菊名の駅ホームから山桜が咲いているのが見える。

現代俳句協会神奈川県支部の総会に信之先生と会場の横浜鶴屋町の県民センターまで一緒に行き、そこで信之先生と別れて帰る。私は血圧が急上昇しているし、気が進まないので、参加を取りやめた。横浜まで来たので、そごうにより、元希にエコルセを買い、私用に、梅園のわらびもちを買って帰宅4時45分に懇親会が始まるので、それまでに、懇親会場に信之先生を迎えに行く予定にした。ところが、2時ごろ信之先生が帰宅。新入会員の挨拶をしたら、何事か起こったようだ。

3月24日(土)


晴れ。霞。
金蔵寺に桜見物に。桜大門から金蔵寺境内へ。8分咲き。桜の写真を撮る。寺の屋根、寺の瓦と桜がよく似合う。明日神奈川の現俳協の会があるが、会報の句を読んで、つまらなさを思ってしまった。

京王フローラルガーデンのホームぺージを見る。西洋風の洒落たガーデン。家からだと、小旅行だ。①日吉本町(グリーンライン)→中山(横浜線)→橋本(京王相模原線)→京王多摩川下車。橋本からは新宿まで下りで、武蔵野の景色が楽しめる。
別のコースでは、②日吉本町(グリーンライン)→日吉(目黒線・東横線)→武蔵小杉(南武線)→稲城堤(京王相模原線)→京王多摩川。このコースで面白いのは、稲城堤。南武線の稲城堤と京王線の稲城堤は徒歩8分。ここを歩かなければならない。なんでこんな不便が生じたのか、敷設のときに話がまとまらなかったとかありそうだ。

それはともかく、この8分の徒歩の間に昭和の商店街がある。神代植物園に行ったとき、稲城堤の商店街の和菓子屋に寄った。、そのとき、ご主人がまた寄ってくださいよと、約束取るように言われたことを今日思い出した。②コースをとれば、稲城堤という不思議な駅がある。「正子さん旅行へ」の気分となる。