12月16日(日)


柚子・南天・山茶花ありぬ一つ庭/正子

●孫のクリスマスプレゼントを買いに、ランドマークタワーのレゴショップに行く。
息子と孫が車で迎えに来て、信之先生も出掛ける。早く着きすぎ開店前だったので、山下公園通りや桜木町あたりをドライブしてくれる。久しぶりのこの界隈だ。孫に停泊している氷川丸を教える。あれは、煙突ってなに?とか、あれはどうして動かないのか、など言ってくる。
レゴのポリスステーションを買った。タワーのなかの鮨屋で昼食。孫の好物は、鮨と蕎麦だという。お子さまメニューでなくても食べれるよと。水を出されたが、お茶をと。こういうところは息子とあきれるほどそっくり。
帰宅して、一服。息子のギターの調律用のハーモニカがでてきたので、テーブルの上においていたら、孫が、興味を示し音をだしている。吹き方をちょっと教えると、「かえるのうた」が吹けるかと聞く。それで、ひらがなで、譜を書いて、渡すと、初めの「どれみふぁみれど」まで吹けるようになって、そのあともとぎれとぎれに練習している。ハーモニカをもって帰るから、ちょうどいい袋がないかという。ホビーラの余り切れで縫った小袋があったので、ぴったり。喜んで持って帰る。

我が家に来て孫のひとつ楽しみは、身長を計ること。柱に、測った日と高さを書いたテープを張り付けているが、今回は、117センチ。数も100まで数えれる。玄関に積んである世界文学全集を見て、数えてみようと数える。ちょうど100。驚く。なんで本がたくさんあるのと聞く。
一年ぶりに着たので、世界がずいぶん広くなっている。「じゃ、お正月ね、。」と言って帰る。そして思い出して、あともどりし、あと何日したらお正月なのときいてくる。「20にちだよ。」

12月月例ネット句会/入賞発表


■2018年12月月例ネット句会■
■入賞発表/2018年12月10日

【金賞】
03.一斉にその時来たり木の葉散る/桑本栄太郎
木の葉が散る。いろんな木木があるけれど、散る時がきて、それらが一斉に散る。落葉時雨に出会ったのであるが、「一斉にその時来たり」の自然界の不思議さが詠まれている。(高橋正子)

【銀賞/2句】
14.静かな雨冬のレモンを切りにけり/多田有花
しずかな冬の雨の日。レモンを切った。レモンティーに入れる一片だろうか。そのあとの生活が想像できる。レモンを切って静かにお茶を飲むのだろうか。いい時間だ。主題は「冬のレモン」。「冬の雨」がテーマではないところが新鮮だ。(高橋正子)

31.しぐれきて道後に響く刻太鼓/柳原美知子
道後温泉には「振鷺閣」という小さい塔のようになった部分に刻を知らせる太鼓「刻太鼓(ときだいこ)」がある。明治27年からずっと鳴らされていて、一日3回朝6時、正午、夕方6時に太鼓が打たれる。空をしぐれが過る。はからずも刻を知らせる太鼓が鳴って、昔ながらの情緒に浸る。しぐれの寒さに温泉の湯に浸りたい気持ちも湧く。(高橋正子)

【銅賞/3句】
22.芽水仙日の回り来る庭の隅/藤田洋子
「芽水仙」が可愛い。水仙は築山などの木の根元や、庭の隅に植えられて、年々芽を出してくれる。庭隅の水仙にも日が巡りくる時間があるのだ。そんなとき、水仙の芽が愛おしくなる。形が整った句だ(高橋正子)

10.スケートを滑る子こける子ながめる子/祝 恵子
スケートをする子どもの世界を詠んでいて、読むと、思わず楽しい気持ちになる。スケートを滑る子どもの様子は様々。読み手が子どもたちの様子を楽しんでいるのが伝わり、なお、楽しくなる。(高橋正子)

07.冬の瀬戸さざ波青く空に溶け/河野啓一
青い海が青い空に同化する様子が目に浮かびます。(高橋句美子)

【高橋信之特選/7句】
23.被災地の蜜柑生りしと届けらる/藤田洋子
蜜柑と言えば、瀬戸内、それも愛媛県の伊予蜜柑を連想します。7月のあの大変な豪雨水害の後、蜜柑が生ったと届けらた。おそらく知人、又は親戚の事であったものと推察されるが、少しづつ復旧している様子にひと安堵の作者です。 (桑本栄太郎)

33.風花の触れくる丘に線香立て/柳原美知子
お墓参りでしょう。風花が舞う寒い日、丘の墓地を訪れ線香をたてます。風に線香の煙が揺れて流されていきます。 (多田有花)

03.一斉にその時来たり木の葉散る/桑本栄太郎
08.大西日島々すべて茜色/河野啓一
14.静かな雨冬のレモンを切りにけり/多田有花
31.しぐれきて道後に響く刻太鼓/柳原美知子
38.冬夕焼け工事現場に水打たれ/高橋正子

【高橋正子特選/7句】
10.スケートを滑る子こける子ながめる子/祝 恵子
すごく微笑ましい情景が浮かんできます。楽しい句です。 (高橋秀之)

22.芽水仙日の回り来る庭の隅/藤田洋子
ようやく芽を出した水仙 のいとけなさ。冬の日差しが庭の隅にも届き、これからの成長が楽しみです。何気ない日常にも優しい心配りが感じられます。(柳原美知子)

03.一斉にその時来たり木の葉散る/桑本栄太郎
14.静かな雨冬のレモンを切りにけり/多田有花
27.仕事終え疲れ和らぐオリオン座/西村友宏
31.しぐれきて道後に響く刻太鼓/柳原美知子
33.風花の触れくる丘に線香立て/柳原美知子

【入選/14句】
04.次つぎに当て字の妙や漱石忌/小口泰與  
当意即妙の当て字を多用した漱石。当時の日本語の成り立ちにも大いに影響したとか。そのあたりの事情を紹介しされ巧みな句と思いました。 (河野啓一)

13.木枯に愛でぬ最後の彩りを/多田有花(正子添削)
木の葉を落し枯木にしてしまう強い風に辛うじて残る赤、黄色、緑の葉の色を極めた冬紅葉の素晴らしさを愛でる作者。素敵な景ですね。 (小口泰與)

16.冬山の色付きを背に渡月橋/高橋秀之
渡月橋から見る山のまだ残る紅葉。振り向いた景色がいい感じなのですね。(祝恵子)

25.足早にゴミ出す朝の息白し/西村友宏
朝、寒いのでゴミを出す時は、急ぎ足になる。その時に吐く息が白く見えた。朝の一瞬の変化を捉えたのが上手い。 (廣田洋一)

05.笹鳴や湖を見下ろす祖父の墓/小口泰與
あたりの静けさをいっそう際立たすような、冬を越す鶯の地鳴き。ご祖父様がしみじみと偲ばれるような笹鳴の静かな情景です。(藤田洋子)

12.冬灯し法事の僧の太い声/祝 恵子
寒中の法事は、寂しく気持ちも滅入りがちですが、お坊さんの太い声の堂々とした読経に少しずつ心も温まり、救われる思いがします。 (柳原美知子)

15.谷へ散る紅葉を傾く陽が照らす/多田有花
谷へと散りゆく紅葉の動きが見てとれるようです。午後の日の傾く頃、柔らかな陽射しを纏う紅葉がいっそう美しく、静かに深まる冬を感じます。(藤田洋子)

21.この年は病多かり日記果つ/廣田洋一
年の瀬、誰もが一年を振り返りその感慨にふけります。詠者にとっては病が多かった一年でした。来年は健やかな年であれば、と願います。 (多田有花)
2
9.熟れし柿誰も取らずに枝垂れる/高橋句美子
落葉した木々の中、赤い実をびっしりつけた柿の木が目につきます。住人のいない庭でしょうか、ここまでに成長した年月が思われ、一抹の寂しさを感じます。 (柳原美知子)

30.冬の鍋あれもこれもと急ぎ入れ/高橋句美子
忘年会でしょうか。鍋物を囲み、並んだ食材を次々鍋に入れてしまいます。食材の煮え方にムラが出たりすることも。早く食べたいと逸る気持ちがよく出ています。 (多田有花)

17.参道にわずかな落ち葉天龍寺/高橋秀之
20.嫁ぎし子戻ると決めて年の暮/廣田洋一
26.寝る前にあともう一つ蜜柑食べ/西村友宏
寝る前に食べるのは健康によくないと知りつつ、ついつい目の前の蜜柑を食べてしまう。のどかな日本の光景です。(高橋秀之)

34.逞しき前歯で林檎美味そうに/古田敬二
前歯が生えそろったお子様なんでしょうか。大きく口を開けて前歯で威勢よく齧る林檎は、それだけで美味しそうです。(高橋秀之)

※正子添削の句は、多くの皆さんが選ばれていますが、意味の上で表現に間違いがありますので、添削しました。

■選者詠/高橋信之
41.冬晴れのものみな良しと思う吾
瀬戸内沿岸部の冬のよく晴れた日もこういう印象です。日差しは最も弱くなるころですが、空は明るく裸になった木々の枝がその青空をさしています。すっきりさっぱりと清々しい晴れです。 (多田有花)

40.地が平ら天が平らに冬来る
42.天があり地があり冬の野を歩く

■選者詠/高橋正子
37.牡蠣洗う洗いたるほど水冷たし
水の冷たさも厭わず丁寧に洗われる牡蠣。洗うほど感じる水の冷たさに、新鮮な牡蠣の白さが見えてくるようです。旬の恵みをいただく細やかな心配りをも感じられます。 (藤田洋子)
剥いた牡蠣の実をさらに洗う。冷たい水で洗うほど美味しくなるという。冷たい手を我慢してさらに洗う。 (古田敬二)

38.冬夕焼け工事現場に水打たれ
冬夕焼けが町を染める頃、工事現場がきれいに片付けられ、水まで打たれている。最後まで手を抜かない丁寧な仕事ぶりがうかがえ、心地よい光景に心温まる夕暮れです。 (柳原美知子)

39.残菊の黄色ばかりが暮れ残る

■互選高点句
●最高点(同点3句/6点)
03.一斉にその時来たり木の葉散る/桑本栄太郎
07.冬の瀬戸さざ波青く空に溶け/河野啓一
31.しぐれきて道後に響く刻太鼓/柳原美知子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■12月月例ネット句清記


■12月月例ネット句清記
2018年12月9日
14名42句

01.吟行の夢の中なり枯野かな
02.旋風となりし木の葉や風に舞う
03.一斉にその時来たり木の葉散る
04.次つぎに当て字の妙や漱石忌
05.笹鳴や湖を見下ろす祖父の墓
06.これがあの谷川岳や冬の星
07.冬の瀬戸さざ波青く空に溶け
08.大西日島々すべて茜色
09.朝ぼらけ漁火迅くも舟と化し
10.スケートを滑る子こける子ながめる子

11.アンコウ鍋二人に余る具沢山
12.冬灯し法事の僧の太い声
13.木枯に愛でし最後の彩りを
14.静かな雨冬のレモンを切りにけり
15.谷へ散る紅葉を傾く陽が照らす
16.冬山の色付きを背に渡月橋
17.参道にわずかな落ち葉天龍寺
18.冬風が頬をなでゆく露天風呂
19.山火事のようやく消えて三の酉
20.嫁ぎし子戻ると決めて年の暮

21.この年は病多かり日記果つ
22.芽水仙日の回り来る庭の隅
23.被災地の蜜柑生りしと届けらる
24.箱詰めの蜜柑つやつや手に一つ
25.足早にゴミ出す朝の息白し
26.寝る前にあともう一つ蜜柑食べ
27.仕事終え疲れ和らぐオリオン座
28.クリスマスのツリー数え街歩く
29.熟れし柿誰も取らずに枝垂れる
30.冬の鍋あれもこれもと急ぎ入れ

31.しぐれきて道後に響く刻太鼓
32.たいこまん好きな猫飼い漱石忌
33.風花の触れくる丘に線香立て
34.逞しき前歯で林檎美味そうに
35.受験生らしき人の横句集読む
36.開戦の日しらぬ人ばかりスマフォ繰る
37.牡蠣洗う洗いたるほど水冷たし
38.冬夕焼け工事現場に水打たれ
39.残菊の黄色ばかりが暮れ残る
40.地が平ら天が平らに冬来る

41.冬晴れのものみな良しと思う吾
42.天があり地があり冬の野を歩く

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

●12月月例ネット句会投句ご案内●


●12月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(冬の句)3句
②投句期間:2018年12月6日(木)午前6時~2018年12月9日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:12月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:12月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、12月10日(月)正午~12月13日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

11月17日(土)


晴れ。小春日和。
自由な投句箱のコメントが溜まっていたが、ようやく今日までのところを済ませた。
添削教室。どういう訳が若い人らしい句がたくさん投句されている。こちらの添削はまだ。
子ども俳句の掲示板も高橋君たち兄弟が投句してくれているが、こちらもまだ。
コメントができない間もみなさんが変わらず投句していて、ネットが動いていることに驚いている。

休んでいるのを心配して電話をくださる元花冠会員の方もいて、応援に感謝している。こんなことはよその結社ではありえないことなのではないだろうか。自分で自分を叱咤激励して続けているようなものなので、ありがたい。

11月月例ネット句会/入賞発表


■2018年11月月例ネット句会■
■入賞発表/2018年11月12日

【金賞】
★石数多十一月の川の音/小口泰與
十一月が象徴的に詠まれている。石の沢山ある川。川の上流ということになるが、もの寂びた川の音が体に、また心に染み入る。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★天高し鶴捧げ持つ少女像/多田有花
原爆の子の像。折り鶴を捧げて空へきりっと伸びる少女の像。天高しに平和を願う思いが日本の空に、そして世界の空に届くようだ。(高橋正子)

★幼な子の積み木遊びや菊の花/河野啓一
上品な香りのする句。菊の花の傍で、幼な子が積み木遊びをしている。幼子の笑み、ふっくらとした手指。ようやく積み上げた積み木。秋の日の日本の家庭の美しい光景だ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★街道の故郷へつづく夕紅葉/桑本栄太郎
街道は故郷へとつづく道。街道沿いの紅葉は暮れなずんで、いっそう郷愁をそそられる。(高橋正子)

★冬立てり晴れ間に港は煌めいて/高橋秀之
冬が始まる。雲が切れた晴れ間に港は思い切り煌めく。冬の港の煌めきははっとさせられほど印象に残る。(高橋正子)

★乳母車児が伸びをする冬日かな/廣田洋一
うららかな冬の日。乳母車で運ばれて行く嬰児が伸びをしている。嬰児さえもうららかな冬日を享受して、微笑ましい。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★運動会駆け抜ける子の光る汗/西村友宏
運動会といえばかけっこかリレー!。目の前を駆け抜ける子どもたちは誰もが輝いていて汗も光って見えます。すごく躍動的で子らを思う親の気持ちが伝わってきます。 (高橋秀之)

★銀杏を拾って進む散歩道/西村友宏
普段の散歩道も銀杏を拾いながら歩くと秋の深まりが感じられ、楽しい散歩になるのではないでしょうか。 (高橋秀之)

★街道の故郷へつづく夕紅葉/桑本栄太郎
★石数多十一月の川の音/小口泰與
★幼な子の積み木遊びや菊の花/河野啓一
★乳母車児が伸びをする冬日かな/廣田洋一
★菊香る通路がありて夫見舞う/高橋正子

【高橋正子特選/7句】
★天高し鶴捧げ持つ少女像/多田有花
原爆忌を悼む全人類の願いを直截に言い切っておられるように思います。爽やかで大変印象的でした。 (河野啓一)

★伐採の目印ありぬ秋惜しむ/桑本栄太郎
樹を切る目印を見つけたのですね。秋の終り、樹の寿命、何のとなく寂しい気持ちになりますね。 (祝恵子)

★冬立てり晴れ間に港は煌めいて/高橋秀之
立冬の港に日が差し、波の煌めき、海の色にも新たな季節の訪れが感じられます。広々と静かな美しい初冬の海の景に心洗われるようです。 (柳原美知子)
今日から冬、とはいえ、暖かく晴れて、日差しが降り注ぎます。風も無く穏やかでゆったりとした波のきらめきが心地よく感じられます。 (多田有花)

★ふと入る柚子の香りの定食屋/高橋句美子
定食屋は、特徴のある材料が入ると外まで匂う。作者は、柚子の香りに釣られて入ってしまった。美味しい食事を頂いたことでしょう。 (廣田洋一)

★秋の虹二重を窓に新幹線/柳原美知子
新幹線の車窓ということは、どこかへご旅行でしょうか?二重の虹、それだけで心が躍りますね。 (多田有花)

★石数多十一月の川の音/小口泰與
★幼な子の積み木遊びや菊の花/河野啓一

【入選/13句】
★白無垢の姪に秋日と雅楽降る/柳原美知子
この晩秋は秋晴れの好天の日が続きました。白無垢姿の姪御さんに、秋の日差しが燦々と降り注ぎ、神殿の厳かな雅楽にも包まれて晴れ姿が浮き立つようです。皆様にご結婚の祝福を述べられた事でしょう。 (桑本栄太郎)
雲一つなく晴れた秋の日。白無垢に身を包んだ姪の結婚式。秋の陽と雅楽が姪を包むように響く。 (古田敬二)

★展示会新米おにぎりふるまわれ/祝 恵子
何かの食材か炊飯器などの機材の展示会なんでしょうか。いずれにしてもその場で振舞われる新米のおにぎりは、展示会をより一層盛り上げてくれたことでしょう。 (高橋秀之)

★逆光の水面きらめく秋の川/桑本栄太郎
秋晴れの川面の煌めきと真青な空、静かに澄んだ流れを包む田園風景が目に浮かびます。 (柳原美知子)

★かさかさと枯葉駆けたる峠かな/小口泰與
峠は枯葉の道となっている。風が来て枯葉をカサコソとと鳴らす。いよいよ冬の始まりである。 (古田敬二)

★山に入る山茶花散り敷くところから/古田敬二
山茶花が咲き始めました。咲いては散り、咲いては散りして、これから長い冬の間咲きつづけます。山に入っていく道の入口に散っている山茶花にこれから始まる冬へに思いが感じられます。 (多田有花)

★柿剥いてみずみずしさに笑みが出る/西村友宏
木から採ってきたばかりの柿。ほどよく熟れて?いた時の甘い匂いと太陽をたっぷり吸いこんだ深い柿色に思わず笑みがこぼれます。 (柳原美知子)

★重なりて眠る子犬や枇杷の花/小口泰與
生まれてまだ日も浅い子犬でしょうか。それらが身を寄せ合って眠っています。窓の外には白い琵琶の花。初冬の暖かそうな風景です。 (多田有花)

★秋うらら元安川に鳥憩う/多田有花
広島の元安川は、8月6日の原爆投下のとき、放射線や熱線は爆風を受けて傷ついた多くの被爆者が飛び込んで川。うららかな秋日和に、鳥たちが憩う平和な景色が見られた。(高橋正子)

★何処より囃子も聞こえ鵙高鳴/祝 恵子
鵙の高鳴きに耳を取られておれば、どこかから祭りのお囃子が聞こえてくる。鵙の高音とお囃子に、今こそが秋のただなかだ。(高橋正子)

★食卓に並ぶ秋刀魚は子らの数/高橋秀之
食卓に子どもたちの数だけ並べられている秋刀魚。それは、そのまま長男次男三男の座る場所。健やかで楽しい家族の夕食が想像できる。ユーモラスな句。(高橋正子)

★小鳥来て熟柿をつつく朝かな/河野啓一
朝日が射す庭の熟柿に小鳥が来る。熟柿をつつく小鳥の可愛い姿に和まされる。(高橋正子)

★テラスにて一杯のカフェ小春かな/廣田洋一
テラスに小春日和の日が差す。一杯のカフェのおいしさに、幸せな気持ちが湧く。(高橋正子)

★馬匂う時代祭の武者寄り来/柳原美知子
京都の時代祭。武者の格好をした男が近寄ってくると馬の匂いがした。馬を引いていたのだろう。馬の匂いで、時代祭の武者が現実味を帯びて、面白い。(高橋正子)
 
■選者詠/高橋信之
★秋の午後散歩の自由を得て楽し
秋の清々しい時に病から退院を出来て自由に散歩が出来る嬉しさが見事に詠われていると思います。無事退院おめでとう御座います。 (小口泰與)
入院中の不自由さから逃れ出て散歩の自由を得た。病気の回復が認められた楽しさを満喫する。 (古田敬二)

★独り居て寺苑の秋天ひろびろと
いつものお寺さんだろうか、一人で来てみた。雲もなく広々とした秋天に無事退院できたこと感謝。 (古田敬二)

★胸開き両手を挙げる秋天へ

■選者詠/高橋正子
★菊香る通路がありて夫見舞う
夫の様子を案じながら、病室へと向かう通路に置かれた丹精のとりどりの菊。その芳香と清らかな輝きにひと時の安らぎを覚え、穏やかな気持ちで病室に向かわれたことでしょう。 (柳原美知子)

★薬局へ渡る道なり秋時雨
★学生も銀杏黄葉もどっと暮れ

■互選高点句
●最高点(5点)
★山に入る山茶花散り敷くところから/古田敬二

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■11月月例ネット句清記

■11月月例ネット句清記
2018年11月11日
13名39句

22番の句に間違いがありました。おわびして訂正いたします。
(誤)22.衣場の電気ストーブ付ける朝
(正)22.脱衣場の電気ストーブ付ける朝

01.秋天が縁取るドームの鉄骨
02.天高し鶴捧げ持つ少女像
03.秋うらら元安川に鳥憩う
04.何処より囃子も聞こえ鵙高鳴
05.ほっこりと足湯にひたる森の秋
06.展示会新米おにぎりふるまわれ
07.逆光の水面きらめく秋の川
08.伐採の目印ありぬ秋惜しむ
09.街道の故郷へつづく夕紅葉
10.かさかさと枯葉駆けたる峠かな

11.石数多十一月の川の音
12.重なりて眠る子犬や枇杷の花
13.食卓に並ぶ秋刀魚は子らの数
14.冬立てり晴れ間に港は煌めいて
15.冬の蚊の羽音が耳に眠れぬ夜
16.冬立ちぬ地下鉄階段登りきる
17.百余段地下鉄階段冬立ちぬ
18.山に入る山茶花散り敷くところから
19.小鳥来て熟柿をつつく朝かな
20.鰯雲果てもなき旗青空に

21.幼な子の積み木遊びや菊の花
22.脱衣場の電気ストーブ付ける朝
23.乳母車児が伸びをする冬日かな
24.テラスにて一杯のカフェ小春かな
25.秋の虹二重を窓に新幹線
26.白無垢の姪に秋日と雅楽降る
27.馬匂う時代祭の武者寄り来
28.秋の午後散歩の自由を得て楽し
29.胸開き両手を挙げる秋天へ
30.独り居て寺苑の秋天ひろびろと

31.そぞろ寒む東京を歩く足早に
32.ふと入る柚子の香りの定食屋
33.秋時雨地面一面色を濃く
34.菊香る通路がありて夫見舞う
35.薬局へ渡る道なり秋時雨
36.学生も銀杏黄葉もどっと暮れ
37.運動会駆け抜ける子の光る汗
38.柿剥いてみずみずしさに笑みが出る
39.銀杏を拾って進む散歩道

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

●11月月例ネット句会投句ご案内●


●11月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(秋の句)3句
②投句期間:2018年11月7日(日)午前10時~2018年10月11日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:11月11日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:11月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、11月12日(月)正午~11月15日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

10月17日(水)

★林檎手に送られ来しが赤ほのと  正子
送り届けられた林檎を手にして、胸の内までがぽっと明るく灯されたような、「赤ほのと」のあたたかさです。新鮮な季節の実りをいただく喜び、送り手への感謝の気持ちが感じとれます。 (藤田洋子)

○今日の俳句
真珠筏浸し秋の海澄めり/藤田洋子
「浸し」が秋海の澄んだ水をよく感じさせてくれる。秋海の澄んだ水に浸され殻を育てている真珠は、美しく輝く珠となることであろう。(高橋正子)

●夕べは知らぬ間に熟睡。それもラジオで上手な眠り方の放送を聞いていて、と思う。冬は掛け布団を足すよりも、綿毛布など敷くとよい。羽毛蒲団は肌に直に。羽毛というより、鳥の羽にくるまれて・・のほうが面白そう。
月例ネット句会のコメントを貼り付ける。

ふっと紫苑のことが思い浮かんだ。家の庭先などに結構あったのだが、こちらでは、鎌倉の東慶寺でしかみ見ていない。そういえば、前に座ったことのある東慶寺のお茶席がある。申し込めば3千円ぐらいで参加できる。名残りのお茶などいいだろうなあと。

○孔雀草(くじゃくそう)

[孔雀草/横浜日吉本町]

★開ききり咲き重なって孔雀草/高橋正子
 
 孔雀草(くじゃくそう、学名:Aster hybridus 英名:Frost aster)は、キク科シオン属の多年草。Aster : シオン属、hybridus : 雑種の、Aster(アスター)は、ギリシャ語の「aster(星)」から。花のつき方のようすに由来。北アメリカ原産で、わが国には昭和30年代に導入された。花壇や切り花によく用いられている。よく分枝して株立ちし、高さは40~120センチになる。葉は披針形から倒披針形で互生し、7月から9月ごろ、白色から淡紫色の花をいっぱい咲かす。別名で孔雀アスター、キダチコンギク(木立紺菊とも呼ばれます。9月5日、11月23日の誕生花(孔雀草)。花言葉は 「いつも愉快、ひとめぼれ」。似ている花は、都忘れ、紫苑、紺菊、関東嫁菜。

◇生活する花たち「十月桜・白ほととぎす・野葡萄」(横浜・東慶寺)

10月16日(火)

★色ようやく見えてくれない菊蕾   正子
 垣根や畑の隅に乱れ咲くものをはじめ、菊作りに栽培された豊麗な大輪の花など、その種類は数千、色も形もさまざまだが、ようやく菊のつぼみがふふみて紅色の菊が咲く予感を感じさせてくれる。楽しみな時期です。(小口泰與)

○今日の俳句
★直立の日矢や藁塚一列に/小口泰與
朝早くだろう。山里などでは日が高く昇り、日矢は真上近くから差し込んでくる。それを「直立の日矢」といった。その日矢が一列に並ぶ藁塚に差し、山里は神々しいまでの朝だ。(高橋正子)

●曇り。10月月例ネット句会、信之先生の選がもらえたので、最終入賞発表。
元希の七五三のお祝。七五三の写真は写真館で撮ったのをもってきてくれた。
今年の「つがる」のりんごジュースが販売になった。さっぱりと美味しい。元、句美子、妹に送る。

○零余子(むかご)

[零余子/横浜日吉本町]           [零余子/ネットより]

むかご(零余子,珠芽[1])とは植物の栄養繁殖器官のひとつ。主として地上部に生じるものをいい、葉腋や花序に形成され、離脱後に新たな植物体となる。葉が肉質となることにより形成される鱗芽と、茎が肥大化して形成された肉芽とに分けられ、前者はオニユリなど、後者はヤマノイモ科などに見られる。両者の働きは似ているが、形態的には大きく異なり、前者は小さな球根のような形、後者は芋の形になる。いずれにせよ根茎の形になる。ヤマノイモなどで栽培に利用される。
食材として単に「むかご」と呼ぶ場合、一般にはヤマノイモ・ナガイモなど山芋類のむかごを指す。灰色で球形から楕円形、表面に少数の突起があり、葉腋につく。塩ゆでする、煎る、米と一緒に炊き込むなどの調理法がある。また零余子飯(むかごめし)は晩秋・生活の季語である。

◇生活する花たち「十月桜・白ほととぎす・野葡萄」(横浜・東慶寺)