●9月月例ネット句会/入賞発表


■2019年9月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年9月9日

【金賞】
13.爽やかや渓流の音身の内に/小口泰與
渓流にしばらく佇むと、渓流の音が身の内に沁みこんで来るような気がする。自身が渓流と一つになったような感覚。無理なく素直に爽やかさが詠まれた。(高橋正子)

【銀賞/2句】
35.稔田をはるかに飛機雲伸びゆけり/柳原美知子
熟れた稲の色と青空をはるかへと伸びて行く飛行機雲の色の対比が自然の現象のなかで美しい。澄んだ秋の空気を思い切り吸いたい気持ちになる。(高橋正子)

23.音たてて木曽駒ケ岳(きそこま)流す秋の水/古田敬二
駒ヶ岳と呼ばれる山は、日本にどれくらいあるだろう。作者の詠んだのは名だたる木曽駒ヶ岳。そこに秋の水が音を立てて流れている。大いなる山の秋の水だ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
28.採れたての野菜頂き秋の風/廣田洋一
採れたての野菜を頂いた。秋の風がそっと吹いてきた。畑で採れたてを手渡されたのだろうか。庭先だろうか。秋の風が爽やかないい関係を忍ばせている。(高橋正子)

18.稲光車内に本を読みふけて/西村友宏
通勤の電車内か。本を読みふけっていると、窓から稲光が差し込み、本を光らせた。外の天気の変わりように、我に戻ってはっと驚いたのだ。(高橋正子)

01.大阪港の西に大きく秋の空/高橋秀之
地図を見れば、あきらかだが、大阪湾は西に向かって開かれている。大阪港もしかり。大きな船が出入りする港湾の空も大きな秋の空なのだ。おおからな、とらわれのない句だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
07.秋雷の後に鳴らして豆腐売り/祝恵子
激しい雷鳴の後に聞こえてくる豆腐売りのラッパの音でしょうか。ゆっくりとのどかな調子に緊張感がほぐれ、ほっとしたことでしょう。 (柳原美知子)

08.西瓜切り子供へ無料の張り紙/祝恵子
13.爽やかや渓流の音身の内に/小口泰與
24.秋の夜や静かに語る満蒙談/古田敬二
26.葛の花の匂いここまで川はさみ/高橋正子
28.採れたての野菜頂き秋の風/廣田洋一
35.稔田をはるかに飛機雲伸びゆけり/柳原美知子

【高橋正子特選/7句】
01.大阪港の西に大きく秋の空/高橋秀之
大阪港の西には大阪湾が広がります。瀬戸内海あるいは紀淡海峡を抜けて大阪湾にいたる船の航行が多く活気に満ちた海です。その上に広々と広がる秋の空です。 (多田有花)

13.爽やかや渓流の音身の内に/小口泰與
18.稲光車内に本を読みふけて/西村友宏
19.夏山に木を伐り倒す音立てて/高橋信之
20.卓上の芒が風に吹かれいる/高橋信之
23.音たてて木曽駒ケ岳(きそこま)流す秋の水/古田敬二
34.朝露に濡れて白猫帰りくる/柳原美知子

【入選12句】
06.かなかなの峡の静寂や母の里/桑本栄太郎
夕方に聴く日暮しはひときわ寂しい響きである。母の里で聴くそれは更に静寂感を催す。(古田敬二)

11.稲の波広々続く播磨の野/多田有花
一面の広々の稲田、その稲穂の波が次々となびく播磨の景が涼やかです。 (祝恵子)

16.一泳ぎゴーグル外せば鰯雲/西村友宏
海か屋外プールか、それとも川か、とにかく外で泳いでおられます。まだまだ残暑も厳しく、心地よいひと泳ぎ。しかし、ふと空をみれば鰯雲。さわやかな情景です。(多田有花)

31.秋場所の初日の空の高く晴れ/髙橋句美子
まちに待った大相撲秋場所の初日を迎えた嬉しさと爽やかな澄んだ秋の空の素晴らしさとのうれしさの対比が素晴らしい素敵な句ですね。(小口泰與)

32.秋茄子の母の煮びたし薬味の香/髙橋句美子
秋茄子も終わりごろともなれば少し硬くなり、あくも出るとも言われています。しかし、料理自慢の母の手にかかれば、柔らかくこの上ない美味し秋茄子は、煮びたしが美味しい。中でも母の煮びたしには隠し味のような薬味も乗せられて良い香りがする。 (桑本栄太郎)

04.綾子忌の豆殻焚いて早風呂に/桑本栄太郎
細見綾子の忌日は9月6日。「そら豆はまことに青き味したり」などが代表句です。豆殻焚を焚かれたあたりに綾子への思いが感じられます。 (多田有花)

36.青銀杏吹きあぐる風身に透けり/柳原美知子
銀杏は大木となるものが多く、晩秋には見事な黄葉を楽しめます。その木が今は濃い緑を保ち、強い風の中に立っています。銀杏とともにその風に吹かれている詠者です。 (多田有花)

12.唐辛子赤し快晴の空青し/多田有花
唐辛子の赤と快晴の空の青の対比と韻を踏んだリズムも楽しく、さわやかです。(柳原美知子)

05.暮れ残る嶺の茜やあきつ飛ぶ/桑本栄太郎
14.秋の朝利根上流の堅き水/小口泰與
30.海べりの波打つ如き尾花かな/廣田洋一
33.駅ホーム秋雨の叩く音響き/髙橋句美子

■選者詠/高橋信之
19.夏山に木を伐り倒す音立てて
夏山に青々と茂る大木と逞しい樵の姿が眼に浮かび、切り倒された大木の音の余韻が響いてくるようです。(柳原美知子)

20.卓上の芒が風に吹かれいる
21.しんとして夏の暑さの中に居る

■選者詠/高橋正子
25.芒の穂若きみどりが金を帯ぶ
芒の色の変化が綺麗です。輝くような色が想像できます。(髙橋句美子)

26.葛の花の匂いここまで川はさみ/高橋正子
川むこうに咲いている葛の花のむせ返るような芳香と澄みきった川の水音に包まれ、秋の到来が実感されるうれしいひと時です。(柳原美知子)

27.家づとに芒・露草・葛の花

■互選高点句
●最高点(5点)
13.爽やかや渓流の音身の内に/小口泰與

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■9月月例ネット句清記


■9月月例ネット句清記
2019年9月8日
12名36句

01.大阪港の西に大きく秋の空
02.秋風が吹き寄す海に鳥一羽
03.台風の進路はいずこニュース見る
04.綾子忌の豆殻焚いて早風呂に
05.暮れ残る嶺の茜やあきつ飛ぶ
06.かなかなの峡の静寂や母の里
07.秋雷の後に鳴らして豆腐売り
08.西瓜切り子供へ無料の張り紙
09.秋初めお食い初めの鯛や汁
10.福岡の豊水店頭に高く

11.稲の波広々続く播磨の野
12.唐辛子赤し快晴の空青し
13.爽やかや渓流の音身の内に
14.秋の朝利根上流の堅き水
15.背(せな)ふたつ遠目に月の湖畔かな
16.一泳ぎゴーグル外せば鰯雲
17.靴ひもを結びて誓う墓参り
18.稲光車内に本を読みふけて
19.夏山に木を伐り倒す音立てて
20.卓上の芒が風に吹かれいる

21.しんとして夏の暑さの中に居る
22.天辺から楓紅葉木曽ホテル
23.音たてて木曽駒ケ岳(きそこま)流す秋の水
24.秋の夜や静かに語る満蒙談
25.芒の穂若きみどりが金を帯ぶ
26.葛の花の匂いここまで川はさみ
27.家づとに芒・露草・葛の花
28.採れたての野菜頂き秋の風
29.たらたらと肘に流れる桃の水
30.海べりの波打つ如き尾花かな

31.秋場所の初日の空の高く晴れ
32.秋茄子の母の煮びたし薬味の香
33.駅ホーム秋雨の叩く音響き
34.朝露に濡れて白猫帰りくる
35.稔田をはるかに飛機雲伸びゆけり
36.青銀杏吹きあぐる風身に透けり

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

9月8日(日)


台風15号が9時ごろ横須賀から千葉に上陸。
夜強い風と雨が降り出すまでは、台風の気配はなかったが、8時ごろから急に雨と風が強まる。朝方まで窓が鳴って、恐ろしい。これほど窓が鳴ったのは初めての経験。

9月月例ネット句会開催。
https://blog.goo.ne.jp/kakan02d
いい句なのに、表現が足らず特選に入れることができない句が何句かある。

 句会投句
芒の穂若きみどりが金を帯ぶ  正子
葛の花の匂いここまで川はさみ 正子
家づとに芒・露草・葛の花   正子

9月7日(土)


昨日は33度、今日もそれくらい。一時涼しくなっていたが、暑さが戻る。

朝、5丁目の丘に一人吟行。
芒、葛の花。ペパーミントの花、露草をお土産に持ち帰る。芒を折ろうとしたがおれない。穂先を抜くと、すっと抜けた。葛の花の匂いが、空気を染めて匂っている。持ち帰った花を咲き残っている白竜胆と合わせてガラスコップに。秋草らしくなりにける。

百日紅百日十日の秋暑し       正子
秋暑し甘藷畑に葉が熟れて      正子
すすきの穂若きみどりも金を帯ぶ   正子
ぽっかりと畑あり葛の花匂い     正子
葛の花ここまで空気を染め匂う    正子
つゆ草の青が溶け出しシャワー浴ぶ  正子
丘の道突き当りに湧く秋の雲     正子
砂糖黍の匂いが芒の茎にある     正子

●レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』を二度繰り返し読んだ。作中の作家ウェイドは、自分のある手紙で、自身の名にスコット・フェッジラルドを名を加えている。ウェイドは、フェッジラルド同様に酒飲み。それに重ねたか。ハリウッドがメイン舞台。フィッジェラルドもハリウッドで仕事をしていた。現実と話がクロスオーバーしそう。

ジョン・グラシャムの推理小説『カミノ・アイランド』を読みはじめた。時代はアップルのiPhone5の時代。翻訳がないので、原書なのだが、この本は、プリンストン大学のファイアストーン図書館にあるフィッジェラルドの手書き原稿を盗む話。オリジナルは粗末な紙なので、精巧なコピーをして、閲覧させている。3億円ばかりの値打ちか。フィッジェラルドは、実際プリンストン大学に入学し、兵役の関係か中退している。なぜこうもフィッジェラルドが出てくるのか。文学やアートに関した犯罪をネタにするのは、日本ではちょっと珍しいかも。それで興味がわいて読み始めた。

9月6日(金)


8月24日から今日まで、いろいろあった。

●8月27日、信之先生が、急に仰向けに倒れて強い脳震盪を起こす。血圧降下剤の効きすぎと思う。一晩様子を見て、28日に脳神経科で、あたまのCTを撮ってもらった。異常なし。首を鞭打ちしている様子。頭痛と首の不快感あり。3か月は経過観察。水枕で頭を冷やしたり、食事に気を付けたり、また、倒れないかと神経を使う。
1日、日曜日、句美子が見舞いに来る。元は、心配して来るとはいったが、体調不良で来週くるという。

●9月3日に角川年鑑2010年の原稿「全国俳誌・結社ー一年の動向」をメールで送る。20×20の原稿用紙をダウンロードして使う。これがちょうどよかった。角川俳句の編集者が久しぶりに男性に代わる。

●客間のカーテン、2窓を新調。オーダーしようと思ったが、店員が既製品で大丈夫ということで、既製品に。シルバーグレーにした。フックにアジャスターがついていて、丈が調節できた。

●「子規新報」74号が「高橋信之の俳句」を特集した。5部送られてきたので、20部追加を頼んだら今日とどいた。三日だったか、編集者の小西昭夫くんにお礼の電話。彼は、船団にいるが、船団は来年5月に終刊になるとのこと。「廃刊ですか」と聞いたら、「終刊」だと訂正される。なるほどね。

●9月月例ネット句会投句ご案内●


●9月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(秋の句)3句
②投句期間:2019年9月2日(月)午前6時~2019年9月8日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:9月8日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:9月9日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、9月9日(月)正午~9月12日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

8月24日(土)


31度。しのぎやすくなった。

鳴きとぎれつくつくほうしはそれっきり  正子

角川俳句9月号が届く。隔月で広告を掲載しているため。
現代俳句協会の副会長の小林貴子氏、一物仕立ては、類句に落ちりやすいので、取り合わせの句を作りましょうと推奨していて、違和感を覚える。

長編『長いお別れ』を読み終わったが、犯人は特定できたもののいまいちあらすじがぼんやり。
私立探偵マーローの、嫌疑をかけられた友人が最後整形手術をして彼の前に別名で現れたのは、想定外。夜はすずしくなったし、はじめから読み返す。言葉一つに伏線があるのが、はっきりわかる。確かにハードボイルド。二度の戦争がやくざを生んだというセリフもある。戦争の後のハードボイルド小説が生まれている。50年前、英文科の女子学生たちが好んだヘミングウェイ。これもハードボイルド。ハードボイルドって、なんだって今思う。

介護保険の更新のため、主治医の先生に書類もって行く。本人の身長・体重の計測。

8月22日(木)


曇り 
東急で伊豆の天草を買ってきて心太を作る。城ヶ島に行ったときに天草を買ったが、その心太と比べると海藻臭さがない。買ったのは荒目という上等なものだが、ちょっと期待を裏切られた。
淡路島の天草から作った心太もおいしかった。城ヶ島のもおいしかったのだが。上等すぎたのかも。

天草に海の香しのびつつ煮出す  正子
ともしびのかけら散らばる心太  正子
ともしびも波になること心太   正子