■5月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年5月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年5月10日

【金賞】
07.風を待つヨットに海のきらきらと/多田有花
はつらつと、明るさに満ちた快い句。きらきらと輝く海へこれから乗り出そうと風を待つヨット。「風を待つヨット」に明らかな思いがあってよい。(高橋正子)

【銀賞】
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る/柳原美知子
湧き水に差し出された水を掬おうとする手。その手元に野ばらが垂れ下がる。初夏の爽やかさ、やさしさが遺憾なく伝わる句。(高橋正子)

15.筍を掘って行けやと美濃の藪/古田けいじ
「筍を掘って行けや」と言ったのは、ふるさと美濃の藪。美濃の藪を見ると、藪はいまは亡き父母に代わり、「筍を掘って行けや」と言ってくれているようだというのだ。掘らずに帰るわけにはいかない。うれしい里土産となったことだろう。めずらしい表現だが、全く自然だ。

【銅賞/3句】
39.麦刈られ藁束どっと土に匂う/柳原美知子
麦を刈り藁を束ねると、土の匂いが強烈にする。経験しないとわからないと思うが、土の匂いもいろいろあって、麦畑には麦畑特有の土の匂いがある。麦秋の季節が持つ畑土の匂いが、実感をもって詠まれている。(高橋正子)

12.自転車も吾も棚下藤枝垂る/祝恵子
自転車でちょっと、藤棚の藤を見に出かけた来たのだ。自転車を踏んで少し汗ばむと藤棚の下が快い。銀輪輝く自転車も藤棚の下に入れて、藤の花を楽しむ。きれいな風が吹いていそうだ。(高橋正子)

24.葉桜を風だけが過ぐつややかに/川名ますみ
葉桜を過ぎるのは風だけ。葉桜の大きな茂りが、風だけを見せている。それだけに葉桜はつややかにそよいでいる。気持ちが広がる句だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る/柳原美知子
透き通った湧き水と咲きかけの白い野ばら。気持ちの良い組み合わせの句である。 (古田けいじ)

07.風を待つヨットに海のきらきらと/多田有花
愈々夏到来です。夏と云えば「海」であり、海と云えば「ヨット」と喜びの連想が続きます。きらきら輝く波間の白帆に、潮の香まで想われます。(桑本栄太郎)

12.自転車も吾も棚下藤枝垂る/祝恵子
15.筍を掘って行けやと美濃の藪/古田けいじ
28.玉ねぎが目に染む初のお手伝い/西村友宏
36.薄暑の朝洗濯物を重ね置く/高橋句美子
39.麦刈られ藁束どっと土に匂う/柳原美知子

【高橋正子特選/7句】
24.葉桜を風だけが過ぐつややかに/川名ますみ
初夏の爽やかな景色が想像できます。 (髙橋句美子)

34.若葉伸び小さな花瓶を台所に/高橋句美子
若葉が伸びてきたので、枝を剪定したのでしょうか。その枝を挿した花瓶が台所に春を連れてきてくれました。 (高橋秀之)

07.風を待つヨットに海のきらきらと/多田有花
12.自転車も吾も棚下藤枝垂る/祝恵子
15.筍を掘って行けやと美濃の藪/古田けいじ
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る/柳原美知子
39.麦刈られ藁束どっと土に匂う/柳原美知子

【入選/13句】
02.麦笛や少年の日の哀しみに/桑本栄太郎
少年も少女も哀しみは持つものですが、麦笛が似合うのは少年という気がします。 (多田有花)

03.好きな子に思い込め居り草矢射る/桑本栄太郎
青青とした茅草などを抜きとって作った草矢を大好きな子に飛ばして嫌われた経験は男の子には誰しも有る懐かしく切ない思い出ですね。 (小口泰與)

04.薄暑はや木陰うれしき鳥の声/小口泰與
つい先日までまだ肌寒い日もあったのに、すでに日向が暑く感じられるようになってきました。湿気のないからりとした暑さで心地よいものです。 (多田有花)

06.雨蛙昨夜(よべ)の雨をば零しける/小口泰與
雨蛙の声があちこちから聞こえてくるようになりました。昨夜(よべ)の雨を零したのが雨蛙なのですね。まだこちらは姿を見せません。 (祝恵子)

10.鯉のぼり園児の姿なき空に/祝恵子
青空の下、休園している施設の庭に鯉幟がはためいている。子供がいないのは寂しいが、子を思う気持ちが見える句です。 (廣田洋一)

11.花水木ピンクに透けて瓦紋/祝恵子
晩春から初夏に移るころ、ハナミズキのピンクと白の花が咲きそろいます。吹く風も心地よく、街路が最も明るく感じられるときです。 (多田有花)

14.初物の蚕豆二人で剥く夕餉/古田けいじ
初物の蚕豆に初夏の訪れを喜び、ご夫婦で剥くかけがえのないひと時、四季を大切に楽しまれる丁寧なお暮しがうかがえます。 (柳原美知子)

20.黒揚羽止まる花なく飛び去りぬ/廣田洋一
大きく羽ばたいて飛んできた黒揚羽も止まるところがなければずぐ飛び去って行きます。あっという間の黒揚羽がそこにありました。 (高橋秀之)

36.薄暑の朝洗濯物を重ね置く/高橋句美子
分厚い冬物から薄着の夏物への過渡期の薄暑の洗濯物。洗濯機から出して重ね置く洗濯物に程よい季節感があります。(高橋秀之)

38.谷若葉映す水音風の音/柳原美知子
尾根から谷を見下ろされているのでしょう。谷を風が通り過ぎ若葉を揺らしていきます。その先には心地よい清流のせせらぎの音があります。 (多田有花)

08.本堂の扉は若葉に開かれて/多田有花
17.初蝶の飛び行く先の空青き/高橋秀之
21.一切れの生姜を加へ一夜酒/廣田洋一
29.朝練や坂登り切り風薫る/西村友宏

■選者詠/高橋信之
25.朝日さんさん五月の窓を大きく開け
26.五月の窓開けて朝日に身を入れる
27.五月の野がひろびろ拡がる窓の外

■選者詠/高橋正子
31.雷の走る夜空を胸に寝る
32.夏雲と富士の雪嶺とおなじ白
33.野茨らし白きマッスが月の下

■互選高点句
●最高点(6点)
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る/柳原美知子

※コメントのない句にコメントをお願いします。

■5月月例ネット句会清記■


■5月月例ネット句会清記■
2020年5月10日
13名(39句)

01.追憶と夢のうつつの朝寝かな
02.麦笛や少年の日の哀しみに
03.好きな子に思い込め居り草矢射る
04.薄暑はや木陰うれしき鳥の声
05.夏暁や寺に安全祈りける
06.雨蛙昨夜(よべ)の雨をば零しける
07.風を待つヨットに海のきらきらと
08.本堂の扉は若葉に開かれて
09.高きにて日が交差する若楓
10.鯉のぼり園児の姿なき空に

11.花水木ピンクに透けて瓦紋
12.自転車も吾も棚下藤枝垂る
13.衣変隣に妻の寝息かな
14.初物の蚕豆二人で剥く夕餉
15.筍を掘って行けやと美濃の藪
16.新緑を見れば青くて眩しくて
17.初蝶の飛び行く先の空青き
18.表札の横に小さな鯉のぼり
19.薔薇活けて思ひ出したりバッキンガム
20.黒揚羽止まる花なく飛び去りぬ

21.一切れの生姜を加へ一夜酒
22.並木路隣の花は伐られけり
23.石楠花のめいっぱいなる花よ芽よ
24.葉桜を風だけが過ぐつややかに
25.朝日さんさん五月の窓を大きく開け
26.五月の窓開けて朝日に身を入れる
27.五月の野がひろびろ拡がる窓の外
28.玉ねぎが目に染む初のお手伝い
29.朝練や坂登り切り風薫る
30.マスクして散歩帰りにあやめ咲く

31.雷の走る夜空を胸に寝る
32.夏雲と富士の雪嶺とおなじ白
33.野茨らし白きマッスが月の下
34.若葉伸び小さな花瓶を台所に
35.母の日の薔薇を届けて写真貰う
36.薄暑の朝洗濯物を重ね置く
37.湧き水を掬う手元に野ばら垂る
38.谷若葉映す水音風の音
39.麦刈られ藁束どっと土に匂う

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

5月9日(土)



曇り。

見えている野をやわらかにハルジオン  正子
純白を選りて摘みたるクローバー    正子
要塞を埋めて群れ立つクローバー    正子
月光の端が初夏の屋根の上       正子
つま立てば夏満月は屋根向こう     正子

●5丁目の丘に上る。5丁目の端は見晴らしが開け、坂がすとんと落ちている。こんもりとした丘の樹で大きな声でよく鳴く鳥がいるが、姿を見せない。崖に凭れて樹を見上げ、鳥が姿を見せるのを待っていたら、通りがかりの老人が何がいるのかと聞く。鳥がいるがなんの鳥かわからないので姿を見せるのを待っているというと、しばらく耳を傾けていたが、小綬鶏だよ、と教えてくれた。生まれたときからここに住んでいるとのこと。小綬鶏はこのあたりの竹藪にいたが、今は藪を追われてしまってるよ、とのこと。「チョットコイ」と鳴いて、姿を見せない鳥らしい。

●ハンバーグの紙包みを初めて食べる。焼いたハンバーグ、フライドポテト、ブロッコリー、茄子の揚げたものが紙に包まれて冷凍されて、500Wのレンジで7分加熱すればできあがり。味も上々。

5月8日(金)



晴れ。薫風。

蜜柑の花匂えば睡り深からず  正子
若葉きらきら雀の声の弾けたる 正子
アダージョの三楽章より泉噴く 正子

●風に乗っていい匂い。柑橘の花の匂い。それにまじり、おがたまの花の匂い。もったいないくらいいい天気。

●句美子に昨日送る予定の宅急便を出しそびれた。今朝9時過ぎに浜銀通りのヤマトの営業所にもって行くと、都内なら今日夕方には届くとのこと。予定より、数時間遅れぐらいで届く。ここまで便利になったかと。送るものを夜準備して、朝早く持参すれば、その日の夕方着く。

5月7日(木)



晴れ。

薔薇冷えるかたちあるもの皆冷えて  正子
夏来たり雲のなかより朝の空     正子
階段を昇りて数歩若葉冷ゆ      正子
夏雲と富士の雪嶺とあい耀き     正子
学校がなくて若葉に子等の声     正子
夏来たり丘に座れば空を統べ     正子

5丁目の端の丘へ。富士山の頂上が見える。春の間は霞んで見えなかったが、よく見えた。夏が来た証拠。

5月6日(水)



曇り。雨ばらつく。雷。

古き良きおがたまの花香る  正子
雷の走る夜空を胸に寝る   正子
開け放す本堂固めあやめ草  正子

●林誠司さんから『紅の挽歌』(中村猛虎著)が送られた。中村猛虎さんは、60歳。先月だったか、『踝』(近澤有孝著)が著者より送られてきたが、その近澤有孝さんも60歳か61歳ぐらい。この世代の俳人に共通する表現の仕方、表現の癖。

句集の編集からは、作品の読み方が規定される。
ずっと以前は評論的な読み方が流行った。昭和40年代半ばからは、評論的読み方を基礎におきながらも、作品中心の読み方となった。今は、作品だけの読みとなった。作品だけで読ませる句集は、めったにないかもしれない。

●句美子が母の日の花にばらの鉢をくれる。ホワイトピーチオベーション。その付録に花の種、メランポディウムがあったので、播いた。

5月5日(火)立夏



晴れ。

白く咲いて野茨らしい月の下  正子

●早暁より起こされる。信之先生は、バナナスコーンとコーヒー、オレンジで朝ご飯。私は、夕べのおにぎりとインスタントみそ汁。

●向かいの家にえごの花が咲いている。白雲木も咲いているのではと思い、買い物の帰り、金蔵寺に寄る。白雲木も見ごろ。金蔵寺の講堂が開けられて、ご住職が掃除機をかけていた。金蔵寺の講堂が開かれたのを初めて見たが、コロナの影響で、空気を入れ替えているのかも。金蔵寺はあやめも盛り。

●柏餅をコープに予約注文しているが、明日配達。ちょっとずれているが。柏餅が本当においしいのは、旧暦の5月5日ごろ。山帰来の葉が青々となるころ。少し汗ばむようになって、部屋を開け放ち風を入れて食べる。縁側でも食べる。粒あんではなく、こしあん。

5月4日(月)



雨のち曇り

四日はや夕べ菖蒲湯を立てり    正子
菖蒲の葉湯浴みのあとも青あおと  正子
風薫る見知らぬ花も良き香り    正子

●昨日の続きにバナナスコーン、チョコクッキーとサブレを焼く。電子レンジのオーブン機能で焼くが、どうもこの機能信用できない。つきっきりで焼く。子供の日のお菓子として宅急便で元希に送る。子供の日は、柏餅、粽と決まっているが、この季節傷んでもいけないし、手作りということで勘弁してもらう。

●近くのマンションの植栽にいい匂いの花がある。山茶花のような葉で、濃い紫の3センチぐらいの花びらが厚い花。名前がわからない。多分、おがたまの木。