■8月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年8月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年8月10日

【金賞】
39.朝顔のつぼみの先に明日の色/川名ますみ
「明日の色」は、実際に明日朝開く朝顔の色でもあるし、未来の色でもある。この二つのことを思うと、朝顔のつぼみに期待と希望を抱く。「つぼみ」が漢字の「蕾」でなく、平仮名であることがいい。(高橋正子)

【銀賞/2句】
36.手花火の煙の中に子と居りて/吉田晃
手花火に興じる子どもといると、次から次に火を点けて煙がもうもうと立つ。それもおかまいなしの子とそれを見守る親の姿が温かい。(高橋正子)

33.山風にひらく朝顔海の色/柳原美知子
今朝顔は山から吹いてくる風に花びらを揺らしている。でも、その花の色は、海の青い色。「海」には、作者の思いがいろいろと籠められているのだろう。山がちなところに住まいながらも海近く暮らした生活が親しく思い起こされる。(高橋正子)

【銅賞/3句】
04.何処までも暗き地底や蝉の穴/桑本栄太郎
蝉の穴の暗さにふと見入る。覗いて覗ききれるものではなく、どこまでも暗い地底に繋がっている。こんな暗い地底から生まれた蝉が夏を謳歌するのもひととき。(高橋正子)

05.遠富士の風新涼でありにけり/廣田洋一
富士山が遠くに見える。たしかに新涼の風は姿正しい富士山から吹いてくる。「新涼でありにけり」と風格をもって詠まれ、句の姿が美しい。(高橋正子)

10.夏日はじく鐘撞堂の鬼瓦/祝 恵子
昭和時代の夏を回想してしまうような句。鐘撞堂があって、どっしりと鬼瓦が座っている。その鬼瓦が夏日をはじき、まさに炎暑。人々の生活が暑さの中にも楽しく繰り広げられて、良き時代の生活が今も続いている。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
08.炎昼の街に立ちたり日章旗/多田有花
昭和20年8月15日は太平洋戦争に敗戦終了した年であります。それ以降、毎年8月は広島・長崎への原爆投下、15日の終戦日と多大な戦争犠牲者と被爆者を偲び、鎮魂と懴悔の月であります。それでも先人達の多大な努力の賜物により、我が国もここ迄立ち直りました。炎昼の街に翻る日章旗を見るたびに、感慨深いものを感ずる日本人です。 (桑本栄太郎)

28.立秋の風に高々雲動く/高橋正子
今年の立秋は良く晴れていた。 雲も白く浮かんでいた。この様な空の動きを良く捕らえている。 (廣田洋一)

29.萩を吹く風に出でけり試歩のため/高橋正子
「萩を吹く風」の表現が気持ちよく、秋が来たことを優しく教えてくれている。季節の変わり目を肌に感じ、歩いてみようとする前向きの気持ちになったのであろう。季節の移り変わり、特に秋への移りは人の心をそうさせてくれるのだろう。 (吉田晃)

39.朝顔のつぼみの先に明日の色/川名ますみ
明朝咲く朝顔。その色は何か、その色が蕾の先に既に見える。明日の確かな約束に生きる喜びが感じられる。 (古田敬二)
朝顔のつぼみはこれから花が開く期待に満ちてます。まさにつぼみの先に明日の色があります。 (高橋秀之)

04.何処までも暗き地底や蝉の穴/桑本栄太郎
06.赤き顔挙げて歓声夜振りの子/桑本栄太郎
36.手花火の煙の中に子と居りて/吉田晃

【高橋正子特選/7句】
15.遠富士の風新涼でありにけり/廣田洋一
遠くに富士山が見える晴れた日、それでもどこかから吹いてきた風には秋の香りがしました。晴れ晴れと富士を見ておられる作者、その背後に広がる初秋の空、頬を撫でる秋の風それらが感じられます。 (多田有花)

36.手花火の煙の中に子と居りて/吉田晃
庭先に消火用のバケツを用意し、家族そろって手花火に興する様は、素晴らしい家族の夏の風物詩ですね。有難う御座います。 (小口泰與)

06.赤き顔挙げて歓声夜振りの子/桑本栄太郎
10.夏日はじく鐘撞堂の鬼瓦/祝 恵子
32.上布まだ仕付けも解かず夫逝けり/ 柳原美知子
33.山風にひらく朝顔海の色/柳原美知子
39.朝顔のつぼみの先に明日の色/川名ますみ

【入選/17句】
02.乙女らの脛を惜しまず水遊び/小口泰與
楽し気な様子が伺える。脛を惜しまずは、水遊びに興じている屈託のない姿。作者も乙女らと同じ気持ちになっているのだろう。 (吉田 晃)

09.秋立つや青色深きトルコ石/多田有花
トルコ石に注ぐ作者の瞳がいい。秋の光の中のトルコ石の深い青。きっと美しいことだろう。深い青は、秋の色、作者の心の色でもあると思う。 (吉田晃)

13.鎮魂の歌しめやかに長崎忌/廣田洋一
コロナの影響で参列は500名ほどに絞られたようだが、参列できなかった人たちの、しめやかな唱和の歌声が聞こえてくる。作者の優しさが窺える。 (吉田 晃)

16.友と会うまずは注文冷奴/高橋秀之
冷奴は料理ともいえないような料理なのに、暑い季節には欠かせません。このあと、「とりあえずビール」となるのでしょうか。気の置けない旧友と会って美味しいものを食べるひとときの楽しさ、いいですね。 (多田有花)

17.青き海広がる大空夏の虹/高橋秀之
暑い夏だが、この句からは涼しさが伝わって来る。青い海、大空、虹、作者の開かれた心が感じられて読み手もいい気持ちになった。 (吉田 晃)

21.手に取れば赤々光る初トマト/西村友宏
作者自らが菜園に植えたものであろう。水をやりながら毎日成長を楽しみにしていたトマトを摘果した。だから一層トマトの 赤が映えるのだと思う。 (吉田晃)

22.蝉の羽透ける木陰を歩き出す/ 高橋句美子
 「蝉の羽透ける木陰」は好きな表現。緑陰と言ってもいいのではないかと思うが、この表現の方がずっといい。緑陰以上に涼しさを感じる。 (吉田 晃)

24.白桃の冷えが占めてる頬一杯/高橋句美子
白桃のとろけるような甘さ、香り、それを頬ばる楽しさ。旬の果物を思い切り味わうことのだいご味が感じられます。 (多田有花)

31.渓流に素足遊ばす石に座し/柳原美知子
気持ちよさそうです。渓流の音と水しぶきが涼しげで、こちらにまでその涼感が届きます。足を浸した渓流の冷たさ、心地よさも想像できます。 (多田有花)
石に座りながら、川の流れに足を入れ涼んでいる様子が楽しげです。 (髙橋句美子)

34.夜濯ぎの水汲むつるべ月の井戸/吉田 晃
つるべで水を汲む井戸の涼しさと水に映る月。昔ながらの日本情緒あふれる美しくも懐かしい光景です。 (柳原美知子)

40.鷺草の群舞の構えに咲きそろう/古田敬二
今にも飛び立とうと見える鷺草、群れが広がって咲いています。 (祝 恵子)

42.梅雨明けや妻の顔も晴れやかに/古田敬二
敬二さんとお会いしたのはずいぶん昔。お二人が 健在であることが句から伺え安心。 (吉田 晃)

05.行水の妻覗かばや草田男忌/桑本栄太郎
20.快方へとろろご飯と朝の風/西村友宏
35.合歓の花てんでに触れて眠らせる/吉田 晃
38.朝蝉の空を鳴らして飛び立てり/川名ますみ
41.天を指す芝生に一本ねじり花/古田敬二

■選者詠/高橋信之
25.湯の音に母思い出す夏夕べ
暑い夏の一日、家事を早めに終え、ゆっくりとお湯に浸かるのは、主婦にとってほっと安らげるひととき。お湯をつかう音にも涼しさが感じられ、湯上りの清々しいお母さまの姿が思い出されるようです。(柳原美知子)

26.夜の秋机上に数字書き並べ
27.スタンドの明かりが照らす夜の秋

■選者詠/高橋正子
28.立秋の風に高々雲動く/高橋正子
今年の立秋は良く晴れていた。 雲も白く浮かんでいた。この様な空の動きを良く捕らえている。 (廣田洋一)

29.萩を吹く風に出でけり試歩のため/高橋正子
「萩を吹く風」の表現が気持ちよく、秋が来たことを優しく教えてくれている。季節の変わり目を肌に感じ、歩いてみようとする前向きの気持ちになったのであろう。季節の移り変わり、特に秋への移りは人の心をそうさせてくれるのだろう。 (吉田晃)

30.みんみんの中の蜩水のごと

■互選高点句
●最高点(6点)
39.朝顔のつぼみの先に明日の色/川名ますみ

※コメントのない句に、コメントをお願いいたします。コメントをいただくと嬉しいものですので、ぜひ、よろしくお願いします。

■8月月例ネット句会清記■


■8月月例ネット句会清記■
2020年8月9日
14名(42句)

01.夏行くや空蒼くして深深と
02.乙女らの脛を惜しまず水遊び
03.初秋やいよよ渓流透き通る
04.何処までも暗き地底や蝉の穴
05.行水の妻覗かばや草田男忌
06.赤き顔挙げて歓声夜振りの子
07.振り仰ぐ空の青さよ広島忌
08.炎昼の街に立ちたり日章旗
09.秋立つや青色深きトルコ石
10.夏日はじく鐘撞堂の鬼瓦

11.蝉を手にスケボー遊ぶ男の子
12.皮をむき夜は漬物初スイカ
13.鎮魂の歌しめやかに長崎忌
14.焼き唐黍醤油の匂ひ広がりぬ
15.遠富士の風新涼でありにけり
16.友と会うまずは注文冷奴
17.青き海広がる大空夏の虹
18.一輪の向日葵我より背が高く
19.食卓に西瓜が並ぶ日曜日
20.快方へとろろご飯と朝の風

21.手に取れば赤々光る初トマト
22.蝉の羽透ける木陰を歩き出す
23.旱道アイスティーの滴りて
24.白桃の冷えが占めてる頬一杯
25.湯の音に母思い出す夏夕べ
26.夜の秋机上に数字書き並べ
27.スタンドの明かりが照らす夜の秋
28.立秋の風に高々雲動く
29.萩を吹く風に出でけり試歩のため
30.みんみんの中の蜩水のごと

31.渓流に素足遊ばす石に座し
32.上布まだ仕付けも解かず夫逝けり
33.山風にひらく朝顔海の色
34.夜濯ぎの水汲むつるべ月の井戸
35.合歓の花てんでに触れて眠らせる
36.手花火の煙の中に子と居りて
37.山の端や梅雨の日暮れの穏やかに
38.朝蝉の空を鳴らして飛び立てり
39.朝顔のつぼみの先に明日の色
40.鷺草の群舞の構えに咲きそろう

41.天を指す芝生に一本ねじり花
42.梅雨明けや妻の顔も晴れやかに

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

8月9日(日)


曇り。

●8月月例ネット句会。
https://blog.goo.ne.jp/kakan02d/

【投句】
28.立秋の風に高々雲動く/高橋正子
今年の立秋は良く晴れていた。 雲も白く浮かんでいた。この様な空の動きを良く捕らえている。 (廣田洋一)
29.萩を吹く風に出でけり試歩のため/高橋正子
「萩を吹く風」の表現が気持ちよく、秋が来たことを優しく教えてくれている。季節の変わり目を肌に感じ、歩いてみようとする前向きの気持ちになったのであろう。季節の移り変わり、特に秋への移りは人の心をそうさせてくれるのだろう。 (吉田晃)
30.みんみんの中の蜩水のごと

●脚がかなりよくなった。はじめそろりと歩いた2丁目だが、今朝は、気になるところまで足を延ばした。山裾にあるお屋敷。農家のお屋敷が4件ほどある。こんもり茂った庭もよく手入れされ涼しそうだが、前にある畑が面白い。帚木がまばらに生えて、むらさきつゆ草が思い出したかのように一本咲いていたり、野菜があったり、植えられてない土が明るかったり。お盆の畑らしく、のんびりしていて、どこか秋めいている。

8月8日(土)


曇。

シャーベットひやひや匙に秋立つ日   正子
逃がしやるみんみん蝉の羽ばたく真似  正子
黄金虫みどり美し死ののちも      正子

●お茶を買いに日吉東急へ。「荒茶」というのがあったので買ってみた。ついでに天一書房により、山本健吉の『ことばの歳時記』を買う。文春文庫から1983年刊行されているが、今日買ったのは、角川ソフィア文庫平成28年初版、令和2年4版発行のもの。昭和を感じる。「国語と国土」がテーマのようだ。

●幸水のシーズン。そのままが一番だが、歯の悪い人用に、昨日はコンポートを作った。思いのほかおいしくできた。梨を切ってスチーム用のタッパーに入れ、はちみつとレモン汁をかけて、電子レンジにかける。梨大1個で500w10分。出来上がりの様子を見ようと蓋を開けたとたん、暑い蒸気が手首に。危ないところだったが、すぐに水道水を流して手首を冷やして無事。

コンポートの残りの蜜と梨一個でシャーベットに。それだけでは甘すぎるので水とレモン汁を加え、できあがり。さっぱり感は夢の中のよう。

8月7日(金)立秋


晴れ。

からまりて風のままなり風船かずら    正子
空蝉は耳にさびしき音であり       正子
空蝉の止まる萩の葉おもしろし      正子
老眼にはっきりもせず白芙蓉       正子      

●朝、7時半。日は暑そうだが、URの緑地を歩く。木陰が多く風がよく吹く。景色が秋めいた感じなので、もしや立秋と思ったら、その通り。熊蝉を今年初めて聞く。空蝉、萩、百日紅、芙蓉、槿、柘榴の実を見る。

8月6日(木)


晴れ。原爆の日。

晴るる空けれど濁れる原爆忌     正子
皆午睡遠き蝉音を聞き集む      正子
 昔ライン川で 
空耳に蝉音湧きくるラインべり    正子

●今日の歩きは、URのコンフォール南日吉の中。芙蓉、槿、萩、紫式部の花がよく咲く。

●ちょっと頑張る癖があるようで、反省。「年寄りの冷や水」という諺があったなあ。
ほぼ同じ世代ながら、引っ越して来て原爆を知らない日本人に何人かであった。広島県生まれには、信じられないことだ。よその県ではどんな教育がされてきたのだろう。被爆二世の身ではあるが、原爆のことで落ち込むのはもうやめよう。数日前父のいた広島の被服廠の記事が朝日に載っていた。

8月5日(水)


曇りのち晴れ。

ほおずきの朱をくくりて盆の品    正子
一日の熱にトマトの真っ赤なる    正子
日の温みまだあるトマト一籠に    正子

●今夜は満月のようだった。

●生協の配達、葡萄、梨が不出来な感じ。産地変更とある。雨が多すぎたようだ。
尾花沢の西瓜は、お盆が近いだけあって、これまでで一番おいしい。暑くて果物に頼りがち。

●リハビリに行くが、今週、月火水金が病院とは。友人に子供のころのおけいこ通いみたいと言われる。歩くのは休み。

8月4日(火)


晴れ。

百合ひらく花粉の汚れひとつなく    正子
遠巻きの蝉音に耳の鋭く澄めり     正子
朝顔のくれいない白き雲が浮き     正子 

●すかし百合が咲く。今朝は5時半から2丁目を歩く。きっかり30分。6時ごろ日が昇った。

8月3日(月)


曇。8月1日に晴れたのが、梅雨明け。

●今朝の朝顔は大きめ。2丁目を歩く。このごろ予定時間がぴたりと合う。これには、信之先生も感心するくらい。そもそもはじめから少し余分に、途中とろとろしてもいいように時間をとって仕事なり、外出なりしている。最後を整えるためには、ゆるみや遊びが必要と思うようになった。

●昨日のラジオで「伝統文化ジャーナリスト」と呼ばれるジャーナリストがいることを初めて知った。東山文化についての講演だが、その中で、「伝統は引き継がれなければ伝統にならない。」と言っていた。それはそうだ。引き継ぐための苦労がある。伝統は古いとおもうかもしれないが、新しくしていかないと引き継がれない。それに、勝手な自論だが、伝統はらせん状に繋ぐべし。螺旋ということは、坪田譲治も言っていたと思う。

●花火について。今年はコロナのせいで、花火大会が中止になっている。花火の季語はもとは「秋」。送り火と関係している。私の「遠花火草に座り子供らと」の句評に洋子さんが、「初秋の・・云々」と書いてくれた。花火にある幾分の寂寥感は、やはり秋のものと思う。彼女の句評をうれしく思った。

●「緑さす」について。ものが緑がかってみえたり、単に感覚的にそう思えたりすることがある。外の木陰もそうであるが、家の中にいても外の緑を感じることがある。木々が周囲にしげっている昔ながらの家。昔の家でなくてもいいが。風が通り抜ければ、緑がさす感じになる。「笊にあげ緑さしたる冷そうめん」の有花さんの句評は、家内にさす緑であった。同じような経験をされたのかと思う。これもうれしい句評である。