9月24日(木)

曇。
菊苗の小菊に雨のよくかかり   正子
秋風に大き蓮葉のゆれやすい   正子
秋風に卵の白の目にさやか    正子
●夕べ雨が降ったあと。台風12号は、日本列島の東端に沿って逸れた。一度に秋の終わりが来た。
●鯛ヶ崎から登って高田東2丁目、3丁目を歩く。鯛ヶ崎のお地蔵さんのほとりに彼岸花が咲き始めるた。くさぎの実がきれいに色づく。くさぎの実と水引草を摘んで帰る。高田東に来るのは久しぶりで、ここは丘の上。眺めると町中が霧雨に包まれている。屋敷林があるのも、広い畑がある景色もすっかり忘れていた。住宅の外れに行くと、崩落危険地域の看板。家は道の下にふかぶかとある。雨水はどこに流れるのだろう。傘を持たずに出たので、1時間少しで帰った。パーカーを着来てよかったというもの。台風余波の風と霧雨。
●紀文のおでんセットでおでんを作る。昔食べていた「関東だき」と言われていたおでんの方がなんか、いい。こちらの作り方、いまいち忘れている。雑貨屋のおばあさんが、店先で何日も煮ていた蒟蒻なんかは、おいしかった。

9月23日(水)

曇。ときどき小雨。
●涼しくなったので、昼ご飯に焼きカレーと葡萄。
●注文していたお月見上用が届く。柿渋が入っている感じが少し。脱酸素剤のせい?
♪「20のアイルランド歌曲集」をネットで探したがなかなか見つからない。6番目の「庭の千草」のベートーベンがつけた題名 “Sad and Luckless Was the Season”を入れてやっと聞けた。

9月22日(火)

曇。
●今朝は、早暁4時半ごろからウォーキングに出た。星座も少し見える。
昨日は朝5時半ごろ。朝顔の鉢植えをたくさん植えている家があった。前、偶然に表にいたご主人らしい人と出会って、どの花も種から育てていると聞いた家だ。だれも居ないので、ゆっくり見せ貰って、いったい幾鉢あるのかと目で数えると、20鉢は超えている。どの色も古代色がかって花は小さい。蔓にすがるように咲いて、浅黄、古代紫がきれいだ。わが家の朝顔はだんだん花が小さくなったが、一鉢に毎朝4つか5つ花をつける。
●小菊の苗を一つ植えた。
♪ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 第10番 ト長調 第1楽章,Op.96
金田 真理子 : Mariko KANEDA 共演:Vn. Paul Roby
初めて聞いた。今日のような曇りの秋空が似合う。秋篠寺みたいかな。
♪ベートーヴェン:交響曲第8番 ヘ長調 Op. 93 / カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1972年9月。
(生がききたくなった。)
♪Beethoven: Symphony No. 7 – Royal Concertgebouw Orchestra & Iván Fischer
(今87歳だが、14歳からベートーベンを聞いている。天国でも聞きたい、なんと天国のような。と英語で書いてあった。)

9月21日(月)

曇り。
●ベートーベンの生誕250年。コンサートもコロナで多くが中止になっている。またしても、彼にかかる苦悩かも。いや、我々への励ましかも。涼しくなったので、いろいろ聞いてみたくなる。
①「ウェリントンの勝利」(カラヤン 1969年)を聞く約15分。戦争の絵本繰っているよう。イギリス国家が急に聞こえて耳を疑った。聞いているうち面白い曲と思った。
②「ピアノ三重奏のためのアレグレット 変ロ長調(第8番)」を聞く。約5分。可憐。

9月20日(日)

曇。ときどき小雨。
●朝、窓を開けていると涼しすぎるほど。朝顔に肥料を足す。いつまで咲いてくれるか。
●紀伊国屋で7月発行の『オオカミ王 ロボ』(あべ弘士絵・文)(学研プラス)と、『注文の多い料理店』(日本名作どうわ)(講談社)を買う。ロボの絵と文は旭川動物園での飼育係としての25年の経験と探検心が感じられた。注文の多い料理店は、イギリスの兵隊のグリーンの服の色がイギリス兵らしくて気に入った。西洋料理店は、木組みの家。繊細華麗でロマンティックな絵らしい。買ったものの、元希に渡すには、ちょっとはやいかも。

9月19日(土)

曇。
鉄橋より左右に見えて秋の川    正子
籠り居の心ほどきぬ秋の川     正子
さるすべり真白き花は湧くごとし  正子
●ラジオR1の「山カフェ」を聞く。草紅葉はどこが美しいかの話。3カ所ほどあがっていたが、行ったことがあるのは、尾瀬ヶ原。草紅葉のなかに立つ吾亦紅、沢桔梗、そして、水色のほそい蜻蛉の景色が今でも目に浮かぶ。
●横浜へ出かける。横浜港にコロナの患者を乗せたクルーズ船が寄港してから、ずっと横浜を避けていた。結婚のお祝いとか、贈り物とか、洋服の用意とか、いろいろ溜まってしまった。デパートに。
●高島屋とそごうに。「おうちで食事を!」キャンペーン中。総菜売り場がにぎわっている。台湾料理、韓国料理のコーナーが加わっている。行列に圧倒される。パンを買おうと思うが、パンの山は見えるものの、買い方がわからない。店員に買い方を聞いて買った。外国へ行ったみたい。これも感染予防。

9月18日(金)

晴れ。暑さが戻る。30度を超える。
厨房のものに重ねて秋団扇   正子
紅萩の風に大きく捌かるる   正子
秋暑し何故に風にひゅうと音  正子
●千住真理子さんの昨日のラジオでの話。「千住家のルールに何事も趣味ではいけないというのがある。」これを聞いて今から心を入れ替えるか、とふと。

9月17日(木)

晴れ。
秋の蚊の咬み痕小さくも薬指 正子
朝顔のまた咲きはじめ紅の縞 正子
朝顔を摘んで挿しおく氷水  正子
●涼しいが、蚊にあちこち食われる。
●角川の原稿、句美子に見せると、一ヶ所よくわからないところがあるとメールがきた。その句を直して信之先生に見せると、馬鹿の、チョンの。昨日言ったことと違うじゃないかと思いつつ、また俳句を差し替える。エッセイについては120字だが「終わりがどうしてうまいの。」の拍子抜けた感想。午後3時過ぎ、角川にメールして事が片付いた。

9月16日(水)

晴れ。ずいぶん涼しくなった。
石たたき路地を河原と思い踏む 正子
秋空のかなた羽ばたき打つ翼  正子
有明の月の寒さよ足元に    正子
黒き斑のくぬぎ黄葉はあたたかし 正子
棒樫の指して立つ宙星月夜    正子
団欒の窓の下より鉦叩      正子
風が吹き間遠くなりしぎすの声  正子
灯ともせる物や水やと台風裡 正子
9月定例句会投句
曲がる道曲がるとおりに虫の声
秋暁のオリオン星をひとつ欠く
●角川の俳句7句とエッセイがようやく決着。明日メールの予定。7句とは言え一句差し替えてようやく完成させる気になった。差し替えた一句で気分が軽くなった。エッセイは、30分もかからなくてスムーズにいった。
著名俳人は、締め切り日をいくつもこなして来て上達されたのではと思わないでもない。
●秋刀魚を買いに行って驚く。ディスカウントスーパーで細身の一匹が300円。トレーには、一匹載っている。一匹千円とも聞くから安いほうかもしれない。大根おろしで普通に食べたがアツアツがおいしい。

■9月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年9月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年9月14日

【金賞】
34.水抜かれ風に真白き稲の花/吉田晃
稲の生育には、水の管理が大切とされるが、出穂後は、特にこまめな水の管理が必要と言われる。この句では、水を抜かれた田。稲の花の咲きはじめはやや黄色みを帯びているが、咲いてしまうと、白い花と言える。風に小さくちらちらと震える花は綺麗な白。稲の花言葉は、「神聖」ということだが、それにふさわしい。日本人の命を支えてきた稲の神聖さを思う。(高橋正子)

【銀賞/2句】
04.星影を溜めて木犀香りけり/小口泰與
「星影」という綺麗な言葉が、木犀の花と香りを綺羅と輝かせている。星の光を溜めた夜の木犀は、匂いが露けく思えて来る。(高橋正子)

08.通勤電車山と稲田のあわいゆく/多田有花
電車の線路は、建物などの障害物を避けて設置されるので、山と田んぼの間などは敷設に残された場所だろう。通勤に毎日使う電車は、乗って居ながらにして、紅葉する秋山や、実りに色づく稲田が触れんばかりに見える。通勤電車ながら、旅をゆく気持ちが湧く。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
26.読み耽けて栞挟めば良夜かな/西村友宏
本に引き込まれて夜も深くなった。今日はここまでと栞を挟み、目を外に映すと、月のきれいな夜。読書で満ち足りた心に良夜の美しさが響く。(高橋正子)

32.鈴虫の夜道に添って響く鈴/髙橋句美子
鈴虫が鳴いている夜道に添って歩いて行くと、道を歩くかぎり、鈴虫が鳴いている。耳も次第に鋭くなって、聞けば聞く程に、鈴の音色に聞こえてくる。(高橋正子)

36.かげろうの月夜に透けて飛ぶ軽さ/吉田晃
この句の良さは、「軽さ」にある。情を消したように「軽さ」と言った。かげろうの命は成虫になって数時間とも言われる。月の光を透かすようなうすい翅。軽いが上にも軽い命、はかない命が愛おしい故に軽さなのだ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
04.星影を溜めて木犀香りけり/小口泰與
夜、路地を歩いていたらふとどこかから木犀の香りがしました。もう木犀が咲き始めたのか、どこで咲いているのだろう、と辺りを見回されました。夜空には秋の星。木犀が香り始める季節らしい一句です。 (多田有花)
星に照らされた木犀は、その香りとともに存在感があります。秋の到来を感じる句です。(髙橋句美子)
木犀の花は星と一体となって光る。空に星があり、地にも星があって豊かに香る。作者の心も豊かなのだと想像する。 (吉田晃)

35.秋アカネ干されて白き割烹着/吉田晃
秋茜は日本で最もよく見られるトンボで雄は成熟すると赤色になり、秋になると平地に群れる。割烹着の白さと赤とんぼの対比が素晴らしいですね。(小口泰與)

28.初秋の山麓より虹大空に/柳原美知子
山、虹、大空。大きなものをとらえすぎという感じもありますが、逆にそこが自然の雄大さを物語ってくれていると感じます。 (高橋秀之)

07.新涼に白きにんにく咲きにけり/多田有花
日常よく見かける花ではない。そこに目を向けた作者の豊かな心情がいいと思う。新涼に咲くにんにくの花の風景を想像すると心が安らぐ。 (吉田晃)

08.通勤電車山と稲田のあわいゆく/多田有花
32.鈴虫の夜道に添って響く鈴/髙橋句美子
34.水抜かれ風に真白き稲の花/吉田晃

【高橋正子特選/7句】
26.読み耽けて栞挟めば良夜かな/西村友宏
夜ともなれば心地良く、まさに燈火親しむ候となりました。本を読み耽っていても明日の為栞を挟めば、満月の月明りが何と明るい事でしょう。 (桑本栄太郎)
夜の更けゆくに気づかず、つい読み耽ってしまうほど没頭している作者の姿がいい。栞を挟んで観た月は満ち足りた心にさぞ美しく映ったことと思う。 (吉田晃)

36.かげろうの月夜に透けて飛ぶ軽さ/吉田晃
はかなさの象徴がかげろう。秋に月夜に飛ぶかげろうは月と相まってますますはかなく見える。 (古田敬二)

30.谺して太古の地層や秋の滝/柳原美知子
滝の姿ではなく、その周りに見える地層とそこに響く滝の音を詠まれました。それがかえって滝の大きさと迫力を眼前に見る思いに誘ってくれます。 (多田有花)
秋、滝、地層。どれもが大自然でありこれらの営みが谺となって作者を包む。これほどの贅沢があるだろうか。 (吉田晃)

04.星影を溜めて木犀香りけり/小口泰與
08.通勤電車山と稲田のあわいゆく/多田有花
32.鈴虫の夜道に添って響く鈴/髙橋句美子
34.水抜かれ風に真白き稲の花/吉田晃

【入選/13句】
05.包めるは農事新聞山の芋/小口泰與
農事新聞に包まれた採れたての山の芋をいただいた。農事新聞を読み、丹精された様子がうかがえる心のこもった嬉しいおくりものに、秋の到来が実感されます。 (柳原美知子)

02.余波なれどこの強きもの野分過ぐ/桑本栄太郎
先日の台風10号は風が強かったですね。関西では雨よりも風の印象が強かったのではと思います。特に台風の本体はすでに朝鮮半島なのに余波の風が強かったです。 (多田有花)

18.次々と友の指差す葡萄摘む/廣田洋一
美味しそうな葡萄がここにも、あそこにもと言われるままに摘んでいく友人との葡萄狩り、楽しそうですね。 (祝恵子)

11.秋風や生家の見える分かれ道/古田敬二
お生まれになった家を訪れられました。今はすでにご両親は亡く次の代のご兄弟がお住まいなのでしょう。ここまで来たら先はその家が見えなくなる地点まで来てお家を振り返られました。そのときの感慨が思われます。 (多田有花)
懐かしいふるさとであるが、生家があることが羨ましい。血縁に時を越えて受け継いで欲しい作者なのだと思う。一方の道は生家へ、もう一方の道は作者の現在の家に続く道なのだろう。 (吉田晃)

14.路地により風や匂いの違う秋/祝 恵子
 匂いにはその家独特のものがある。それが集まって路地の匂いが生まれる。そこに吹く風は、他の路地とは違う匂いがする。その匂いを心地よく鼻に感じさせてくれるのが秋なのだろう。 (吉田晃)

01.秋冷の哀しき夢を見たりけり/桑本栄太郎
 秋の肌寒さは冬のそれとは違い、思わぬ気持ちを起こさせる。感傷とでも言えばいいのだろうか。そんな心持ちの夜には哀しい夢を見るのだろう。 (吉田晃)

17.俄雨開きしままや秋日傘/廣田洋一
 気まぐれな雨。雨宿りするほどではなく、日傘で受けてやりすごした。雨から生まれたちょっと涼しい微風を作者は好ましく受け取ったのだと想像する。 (吉田晃)

31.無花果の甘さ柔らか帰省して/高橋句美子
 どこで食べても無花果の甘さややわらかさは物理的には同じもの。そうでない理由が「帰省して」にある。両親の元で食べる無花果はどこにもない甘さ、柔らかさなのである。 (吉田晃)

29.初秋の木洩れ日ゆれる湯に浸り/柳原美知子
03.ゑのころの風の売地のただならず/桑本栄太郎
06.落鮎を釣戻りたる無精髭/小口泰與
12.小節をずらして鳴けりつくつくし/古田敬二
13.稲の穂の色づき垂れて水の中/祝 恵子

■選者詠/高橋信之
19.葛の花妻が摘み来て卓上に
昔からの高橋家の生活がプンプン匂ってくる、たいへん好ましい句だと感じた。 (吉田晃)

20.秋の日の今日金曜の日がありぬ
21.有明の月が東に明け近し

■選者詠/高橋正
22.秋暁のオリオン星の一つ欠け
空気が澄み、星の光が美しく見える秋であるが、大小・強弱の光は明けが近づくにつれ薄れてゆく。朝の気配の中、星座を形作っている星が一つ視界から消えた。爽やかな今日を約束しているように感じた。 (吉田晃)

24.曲がる道曲がるとおりに虫の声
何処にいても虫の音が聞こえるのどかな風景が目に浮かびます。 (西村友宏)

23.虫の音の更地水栓光ち立つ

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
04.星影を溜めて木犀香りけり/小口泰與
36.かげろうの月夜に透けて飛ぶ軽さ/吉田晃