10月14日(水)

曇。
コスモスにあたたかそうに陽があたり 正子
コスモスの色だんだらに赤系統    正子
砂土に鶏頭芽生え花高く       正子
●『かえでがおか農場のなかまたち』の絵本の案内がくる。前買ったと思って調べると、『かえでがおか農場のいちねん』だった。童話館から元希のもとへ、140冊ぐらい届けてもらっている。題名を見ると、徐々に成長している。
昨日、天一書房に『狐』(新美南吉著/偕成社)を注文。『ごんぎつね』じゃないのかと、書店員に言われたが、欲しいのは『狐』のほう。明日届く。
●『俳壇11月号』が届く。添削教室を見る。なんと上手に、含蓄深く、中にはもとの句のかけらもなく上手に。外国の詩人って、添削してもらうのだろうか。日本の添削制度はどうなんだろう。外国の詩人に聞いてみたい。
●学術会議のこと。政治家は、ノーベル賞をもらったときは喜ぶが、学者の仕事をなんだと思っておられるのだろうか。「総合的・俯瞰的」であるので、理由が付かない。「偏った理由で」であれば、理由がつく。そうなれば、違った次元では、なんで偏るの?ってなる。言えばいうほど、深みにはまっている。

10月13日(火)

晴れ。
●朝顔、小さいながら葉があおあお育ち、毎朝花を咲かせる。春から植えている花が、気候がよくなって、花を咲かせている。心なし、花に風格みたいなものが感じられる。力をなくしたかに見えるものも、見守って復活を待つべきなのだろう。春の花とか、秋の花と言えなくなる。
コッズウォルズで花を見たとき、この気候にしてこの花なんだと思った。長く咲いた紫陽花の色の変化が非常にきれいだった。ロココ調の貴婦人の服の色合いを見ているようだった。ハワースの牧師館のそばの紫陽花も枯れかけてなお美しかった。気候のせいもあるだろうが。
●リハビリの予約時間に遅れて10分のみの治療。ちょっと働きすぎではと言われる。そうかも。リハビリから帰る途中脈が速くなる。不整脈の出現か。仕事を早退。

10月12日(月)

うすぐもり。
●10月月例ネット句会入賞発表。
朝10時半の発表。句のコメントを書いていて、どうも書きづらいと思って考えていると、その句に少し問題があることに気づく。季節感に無理がある。いいんだけど、入賞句から外す。
●『宇宙の音符』の礼状を出す。

■10月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年10月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年10月12日

【金賞】
16.山の水たっぷり流し甘藷洗う/柳原美知子
甘藷を洗うのに山の水をたっぷりと使った。ふんだんな山の水に甘藷はつやつやとしてきて、充実の太り具合を見せてくれる。山の水も、甘藷も生きがいいのだ。(高橋正子)

【銀賞/2句】
17.間引菜の緑とりどり今朝の皿/柳原美知子
野菜の種を蒔いたあと、芽生えれば間引き作業がある。いろいろ野菜を蒔いたので、葉の色が違う間引き菜がたくさんとれた。今朝のお菜の皿には、間引き菜のいろいろが緑の色を違えて並んでいる。間引き菜が食べれるわずかな時のうれしい食卓である。(高橋正子)

37.硝子器に挿せし木犀玄関へ/川名ますみ
木犀が硝子器に挿されると、そのいい匂いが、硝子のようにきらきらして来る。それを人を迎える玄関に置いた。その家も木犀の香に染まる。(高橋正子)

【銅賞/3句】
09.静けさやひとり歩きの星月夜/高橋秀之
ひとり歩けば、きれいな星月夜が身に沁みる。静けさがいっそう感じられる。昼間の喧噪の消えた家々の間の路地か、桟橋へつながる道か、場所は、好きなところでいい。(高橋正子)

10.新米炊く届きしばかりの炊飯器/祝 恵子
長年使った炊飯器も年季を終えて、炊飯器を新しくした。新米用というわけではないが、ちょうどうまく新米の時期になった。新しい炊飯器は、ほこらしげに新米を炊いてくれたことだろう。家族の笑顔が浮かぶ。(高橋正子)

15.軒下に日差し呼び込みつるし柿/多田有花
軒下につるし柿が吊るされると、軒下がぱっと明るくなる。軒下に日差しを呼び込んでいるように、思える。あたたかい句だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
10.新米炊く届きしばかりの炊飯器/祝 恵子
16.山の水たっぷり流し甘藷洗う/柳原美知子
17.間引菜の緑とりどり今朝の皿/柳原美知子
29.ぎす鳴けり草の平らを踏みおれば/高橋正子
30.赤ままを摘みて何せむ瓶に挿す/高橋正子
37.硝子器に挿せし木犀玄関へ/川名ますみ
38.木犀を挿してやさしい家になる/川名ますみ

【高橋正子特選/7句】
15.軒下に日差し呼び込みつるし柿/多田有花
軒下につるし柿を干せば明るい柿簾が出来、軒下がぱっと明るくなります。まさに秋の日差しを呼び込むようである。 (桑本栄太郎)

27.小鰯の干されて蒼き秋の浜/吉田晃
天高き快晴の秋の浜、鰯の背も青く、干されている鰯たちの姿が見えてくるようです。(多田有花)

31.銀杏の落ちしを避けてバスを待つ/髙橋句美子
イチョウの巨樹のそばにあるバス停、足元には銀杏がたくさん落ちています。それを踏まないように気を付けてバスを待っておられます。(多田有花)

09.静けさやひとり歩きの星月夜/高橋秀之
10.新米炊く届きしばかりの炊飯器/祝 恵子
16.山の水たっぷり流し甘藷洗う/柳原美知子
17.間引菜の緑とりどり今朝の皿/柳原美知子

【入選/10句】
34.高きにも地にも満開萩の花/古田敬二
満開の萩の花。白、紅、が咲き乱れていて、風も吹き抜け、幸せな一時なのでしょうね。 (祝恵子)
高きにも地にもというのがいいです。視点が多角的になって萩の特性がよく表れていると思います。 (高橋秀之)

08.一匹の秋刀魚をきれいに食べ尽くす/高橋秀之
今年はさんまが大変な不漁ときいています。秋の味覚の代表格であるのに寂しいことです。脂ののった旬のさんまはまことに美味。味わってきれいに食べつくされました。合掌。 (多田有花)

24.ひっそりと店畳みけり秋の雨/西村友宏
コロナの影響で客が来なくなった飲食店でしょうか。ひっそりと閉店する寂しさを季語が良く表わしている。(廣田洋一)

32.萩の花明るい紅を道かげに/髙橋句美子
萩は秋の七草に数えられている。紅紫色の可憐な花をひらき仲秋の頃ちりこぼれる。明るい紅を道の陰に散りひく景は素晴らしいですね。 (小口泰與)

12.ひとりごと言っては笑いいわし雲/祝 恵子
こういうこと、あるある、です。自分で自分を笑う、それも楽しいです。いわし雲の出る心地よい青空の下ならでは。(多田有花)

03.雨ながらもみづる庭となりしかな/桑本栄太郎
庭の木も紅葉が始まり、雨の中にしっとりと濡れた美しい色合いを見せてくれています。新たな季節を迎えられた喜びが感じられます。 (柳原美知子)

04.コスモスや空青青と山聳(そそ)る/小口泰與
真青な秋天の下にそよぐコスモスと稜線もくっきりと聳え立つ山。伸びやかで心地よい秋晴れの景です。 (柳原美知子)

19.霧深し車は車庫に留まれり/廣田洋一
21.庭の隅群れて明るき小菊かな/廣田洋一
23.秋風に襟を正して出勤す/西村友宏

■選者詠/高橋信之
41.陽が沈む秋の野の遠くに沈む
先ず、「秋の野の遠くに」で距離がわかるが、この「遠くに」に秋の夕暮れの寂しさが表現されている。そして、「沈む」の繰り返しによって一層秋の夕暮れの静かさ・寂しさが強調される。一方、夕陽の温かさも感じとることができる。深い句だと思う。 (吉田晃)

40.卓上に落ち来し光秋夕べ
42.夕食を終えてじみじみ秋灯し

■選者詠/高橋正子
28.コスモスの丈を掬いて大きな風
丈も伸び、ようやく咲きそろったとりどりの色のコスモスを吹く台風の風の吹きようが「丈を掬いて」によく表されています。横倒しになりそうでも折れないコスモスのしなやかさも感じられます。(柳原美知子)

29.ぎす鳴けり草の平らを踏みおれば
30.赤ままを摘みて何せむ瓶に挿す

■互選高点句
●最高点(5点)
17.間引菜の緑とりどり今朝の皿/柳原美知子

■10月月例ネット句会清記■


■10月月例ネット句会清記■
2020年10月11日
14名(42句)

01.望郷のつのる想いや秋黴雨
02.酔うほどにやおら唄出で秋収め
03.雨ながらもみづる庭となりしかな
04.コスモスや空青青と山聳(そそ)る
05.螻蛄鳴くや土木工事の進ざる
06.夕映えの火の山を見て熟柿みて
07.人の輪に笑顔の連鎖長き夜
08.一匹の秋刀魚をきれいに食べ尽くす
09.静けさやひとり歩きの星月夜
10.新米炊く届きしばかりの炊飯器

11.彼岸花手折る人あり雨あがる
12.ひとりごと言っては笑いいわし雲
13.路地ゆけば白萩咲かせる家に着き
14.宝石の如き青さよ臭木の実
15.軒下に日差し呼び込みつるし柿
16.山の水たっぷり流し甘藷洗う
17.間引菜の緑とりどり今朝の皿
18.刈田道幟も神輿もなく風に
19.霧深し車は車庫に留まれり
20.ワイン片手ファドに聞き入る夜長かな

21.庭の隅群れて明るき小菊かな
22.電線に雀が並ぶ秋高し
23.秋風に襟を正して出勤す
24.ひっそりと店畳みけり秋の雨
25.切り株に刈穂寝かせて刈り進む
26.秋雨に濡れて鉄路の長き野に
27.小鰯の干されて蒼き秋の浜
28.コスモスの丈を掬いて大きな風
29.ぎす鳴けり草の平らを踏みおれば
30.赤ままを摘みて何せむ瓶に挿す

31.銀杏の落ちしを避けてバスを待つ
32.萩の花明るい紅を道かげ に
33.毬栗の香りを甘く夕食前
34.高きにも地にも満開萩の花
35.塀を超え地まで満開萩の花
36.マスクばかりCOVID19秋の雨
37.硝子器に挿せし木犀玄関へ
38.木犀を挿してやさしい家になる
39.木犀の薫りは花器の一枝から
40.卓上に落ち来し光秋夕べ

41.陽が沈む秋の野の遠くに沈む
42.夕食を終えてじみじみ秋灯し

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

10月11日(日)

曇り。
●10月月例ネット句会。
正子投句3句
28.コスモスの丈を掬いて大きな風
丈も伸び、ようやく咲きそろったとりどりの色のコスモスを吹く台風の風の吹きようが「丈を掬いて」によく表されています。横倒しになりそうでも折れないコスモスのしなやかさも感じられます。(柳原美知子)
29.ぎす鳴けり草の平らを踏みおれば
30.赤ままを摘みて何せむ瓶に挿す
●『光年の星』の礼状を出す。
●『宇宙の音符』(豊里友行著/沖縄書房/2020年9月23日発行)より15句。あとがきの「私の俳句は想像力の翼を広げて地球を駆け巡る。」を鑑賞の基準として読む。
のあのはこぶねのはしごは揚雲雀
平凡な一日はずむポエムの卵
青空の画鋲のような戦闘機
こおろぎの投網の星のさざなみ
うみなりは心音の闇対馬丸
モノイワヌタミハホロビルヒキガエル
終戦はまだよさざなみのまらそん
翅も絮も奪って瓦礫のランドセル
軍港のいそぎんちゃくを内蔵し
かんからさんしんのねいろ天の川
参観日花火のような手があがる
枯れ向日葵のさみしくなんかない
りんりんと月を身籠る花月桃
みんな武器すて鉄砲百合が痛快
ホームラン虹の根ぐいぐい伸ばしてく

10月10日(土)

雨。
●台風14号が、伊豆諸島の方へ。直撃は免れたが、一日雨。
●明日は10月月例句会。自由な投句箱に案内を出し忘れたので、栄太郎さんより確認の電話がある。
●句集『光年の星』(川原正著)より好きな句10句
ノーサイド湯気の背中がたたえ合ふ
若葉風風邪の子ひとり保健室
?ぎたての野菜はじける夏カレー
青葉若葉奈良井の宿は木と生きる
胡桃和信濃育ちの妣の味
初任地は海と畑と揚雲雀
白き帆は夏の色なり滑走す
鷹の眼に深き野性の潜みけり
冬めくや一人で使ふ八畳間
光年の星と歩みしかたつむり
(著者の川原正さんは、現在は高校の体育教師を退職され、現在も箱根駅伝にかかわっておられるとのこと。勘どころ良い方ではないかと思った。)
●多蔵得三郎氏(「燎」編集長)に出した礼状が返送されてきた。虫メガネで確かめて書いた住所だったが、17番地を7番地と書いていた。書き直す。このごろ、確かに目がよくない。
●『Doctor Dolittle's Garden』(Red Fox Book)が本棚から見つかる。朝、冬みたいに冷え込んでいたので、布団ではじめの方をパラパラ読む。こんなに面白かったかと、思った。挿絵も可愛い。

10月9日(金)

雨。
暗がりの大樹となって金木犀    正子
金木犀散りては水漬く花十字    正子
ずぶ濡れてコスモスの色みな淡し  正子
●台風14号が明日接近。
●忘れ忘れになっていたが、チューリップと、カサブランカの球根を注文。ターシャ・チューダーさんは、花の球根や種を買うために絵を描いているんだとどこかに書いていた。いい色合いの花はそれなりの値段だけど、咲いた時がうれしい。
●『光年の星』が見つかる。雨で暗いので、部屋を一番明るくして、ガラス扉のある本棚を指呼確認のごとくにして探した。句集を入れてあるところに、一冊抜いてぽっかりと暗くなっているその隣、扉の枠で見えなくなったところにあった。部屋を明るくして、扉を全開して探したら、あるべきところにあった。目が悪く、勘が鈍くなったものだ。句美子が来たら、探してもらおうかとも思っていた。
●句集が見つかりほっとして、お茶の葉が少し古くなったのでほうじ茶にした。焙じたては、香ばしくて、おいしい。

10月8日(木)

小雨。台風14号くる。
●『浮世の画家』をおととい読み終わったのだが、小津映画の影響、日本の祖父母の家のイメージがあってか、戦後まもなくの日本家屋やそこに住む人たちの様子はこまかに描写されている。けれど、それは物語のなかのようで、靄っている。「ためらい橋」とか「みぎひだり」というバーの名前は日本人ならつけないだろう。原文を知らないが、「リラクタント ブリッジ」とか、「ライト アンド レフト」とかでも言うのだろうか。
『日の名残り』も確かにイングランドの風景が描かれている。地図にあたり、ネットで写真を見たり、思い出す限りのイギリス旅行のときの風景を目に浮かべながら読んだが、なんだか、景色が靄っている。
前、「嵐が丘」の舞台となったハワースへ観光ツアーでいったが、『嵐が丘』に書かれた風景は、ハワースに立って見ると実態としてなんとなく想像できる。イシグロは、5歳のときにイギリスに移住したという体験がその後のイシグロの故郷形成に大きく作用しているのではないかと思えた。故郷喪失という解説者もある。故郷を喪失した人へのいとおしみというものが湧いてくる感じだ。
ノーベル賞作家には、故郷というものが非常に大きな役割を果たしていると聞いている。イシグロの場合の故郷はなんだろうと、思う。故郷を喪失した人は、アイデンティティーを模索し続けなければならないのだろうかとも。
松山から横浜に引っ越して15年になるが、周りの景色、いうなれば風土が自分の体にようやく定着してきつつあるように思える。まだ、血肉となったとは言えない。引っ越し当初より、俳句が作りやすくなったという気がする。

10月7日(水)

曇、夕方から小雨。
野牡丹を花屋二軒が並べ売り 正子
椎茸の香りよきこと鍋にして 正子
金木犀雨糸とおる大樹なり  正子
●学術会議のメンバーに、拒否された6人の1人に東大の加藤陽子先生がおられて、びっくり。どこがどうなの? これじゃ普通にものが言えないじゃない。なにがどうなってどうなのか。
●『光年の星』を家探しするが、見つからない。これに一日大方の時間を費やす。とんでもないところにあるんだろう。まったく、見当がつかない。お風呂の棚とか、タンスの中とかを探す。
「 ANN OF GREENGABLES 」の読んでなさそうなのが出てきた。いつ買ったのだか。この前、紀伊国屋で買いたいな、と思ったけど買わないでよかった。英訳サザエさんも出てくる。