■12月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年12月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年12月13日

【金賞】
16.峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
「冬苺」は、クリスマスシーズンの今店頭にでているものではない。山峡の日当たりのよいところに自生し、9月から10月ごろ白い花を咲かせ、冬に小さな赤い粒が集まった実が赤く熟れるもの。枯れがすすむなかに、宝石のようにきらめく冬苺に愛らしさとあたたかさを感じる。大切なものへの慈しみに心。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
冬芽の白さが青空に際立っている。冬芽が日を浴びて白く、力強く、輝いているのだ。これほどまでの冬芽の力強さへの驚き。(髙橋正子)

17引きたての大根洗う速き流れ/柳原美知子
畑から引き抜いてきたばかりの、まだ泥がついている葉のふさふさした大根。それを急ぎ流れる水で洗う。「速き流れ」がいい。大根のみずみずしさが、さらに生きてくる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
19.年賀状あの子この子に絵柄変え/祝 恵子
今年は、新型コロナで、正月に家族が集まることもままならない。年賀状がこれまでに増して大切になる。あの子にはこの絵、この子には、こちらと、その子に相応しい絵を選んで書いている。年賀状を書くときの、円居のような楽しさが伝わってくる。(髙橋正子)

28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜/高橋句美子
ポインセチアは、どの葉も赤い。何枚も何枚も重なって赤い葉ばかりにちょっと小さい花がつく。そんな赤の重なりに、夜も明るくなる。「明るい夜」が、なんでもないようだが、効いている。(髙橋正子)

23.初雪やくるくる回る子と仔犬/西村友宏
初雪が降ると一番によろこびはしゃぐのは、子どもと仔犬。「くるくる回る」は本来は仔犬の仕草なのだが、子どもも仔犬と同じ。無垢な子どもと仔犬の喜びがそのまま伝わる句。(髙橋正子)

【高橋信之特選/7句】
07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
冬芽の息吹の強さが青空とのマッティングでさらに自然の強さが相俟って感じられました。 (高橋秀之)
冬芽の白さに冬の寒さと力強い生命が感じられます。 (高橋句美子)

15.柚子刻みその香も色も厨占む/高橋正子
柚子を刻むと黄色い皮とその香りが厨を満たす。良い香りを嗅いだ様な句です。 (廣田洋一)

23.初雪やくるくる回る子と仔犬/西村友宏
厳しい冬の寒さの到来を告げる初雪です。大人にとっては寒くて辛い初雪も子供や仔犬にとっては嬉しく、大はしゃぎです。 (桑本栄太郎)

28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜/高橋句美子
クリスマスが近づき、鉢植えのポインセチアを飾ると冬灯に赤の重なりが明るく照らされて、温かく夜の部屋を包んでくれるようです。(柳原美知子)

33.冬紅葉残せる一樹のそばに憩う/多田有花
紅葉が残っている木を見つけた時の嬉しさ。思わずその木のそばに寄り、名残りを惜しむ気持が伝わ
ってきます。(柳原美知子)

16.峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
17.引きたての大根洗う速き流れ/柳原美知子

【高橋正子選/7句】
22.聖菓店売り子も客も三角帽/西村友宏
クリスマス商戦が始まっているのでしょうか。売り手もお客も赤い帽子をかぶっている。活気が戻ればいいですね。(祝恵子)

04.朝霜の風に乗りくる汽車の音/小口泰與
霜の降りている早朝、冷たい風に乗って響いてくる汽車の音はどこか懐かしく、寒い中にも温かみが感じられ、一日の始まりを元気づけてくれるようです。(柳原美知子)

07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
16.峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
17.引きたての大根洗う速き流れ/柳原美知子
21.冬の灯やいつも洋ナシいびつなり/祝 恵子
28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜/高橋句美子

【入選/12句】
02.日溜りの猫の背伸びや漱石忌/桑本栄太郎
猫ずきの漱石と猫の背伸びとの対比が素晴らしいですね。 (小口泰與)

31.鴨の群浮かべ大河は悠々と/多田有花
寒さとともに鴨の大群がやってきた。いくつかの群れに分かれ悠々と流れる大河に泳いでいる。 (古田敬二)

03.枯野行く貨物列車のどこまでも/桑本栄太郎
果てしない枯野を行く貨物列車の存在感がよく表されていて、列車の音の余韻が聞こえてくるようです。(柳原美知子)

01.冬ざれの海鳴り聞こゆ夜もすがら/桑本栄太郎
05.縄のれん婆娑(ばさ)とコートの漢出づ/小口泰與
06.白鳥の夕映えの沼美(は)しきかな/小口泰與
08.鴨寄り来る二羽水脈を引っ張て/古田敬二
10.枯草や踏みて狭庭の広くなり/廣田洋一
29.ゆらゆらと青い火燃えて餅を焼く/高橋句美子
34.果てしなき霞に隠れて山眠る/髙橋秀之
37.柿落葉火の見櫓に鐘錆びて/吉田 晃
39.鳥渡る風の海峡佐田岬/吉田 晃

■選者詠/高橋信之
26.冬の夜の机上に雑多なもの多し
目の前の日常がリアルに述べられていて親しみを感じます。いつもの先生の生活です。 (吉田晃)

25.冬に入る野の広がりを窓越しに
27.日暮れ早き十二月となりにける

■選者詠/高橋正子
15.柚子刻みその香も色も厨占む
柚子を刻むと黄色い皮とその香りが厨を満たす。良い香りを嗅いだ様な句です。 (廣田洋一)

13.冬晴れやぴいーと長鳴く知らぬ鳥
14.水鳥の開き合う水脈重なりぬ

■互選高点句
●最高点(6点/同点2句)
07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
15.柚子刻みその香も色も厨占む/高橋正子

12月14日(月)

晴れ
●12月月例ネット句会入賞発表
●コロナの感染広がる。政府は手を打ってるようには見えない。
菅首相の言葉を分析した金田一秀穂教授によると、抽象的な語が多く、姑息のもと元の意味で姑息(その場かぎり)だということ。考えがないということ。
これでぴんときたが、俳句でも言えること。「考え」というのは、抽象的と思えるが、実際はそうではない。

■12月月例ネット句会清記/追加■


13日午後5時から午後6時の間に投句されました句を追加します。よろしければ、下記の投句から1句追加で選をお願いします。合計6句選となります。選の締め切りは、14日(月)正午とします。

34.果てしなき霞に隠れて山眠る
35.鶴ヶ城微かに薄日が差し込める
36.冬空に輝く星々流れくる
37.柿落葉火の見櫓に鐘錆びて
38.パソコンのスイッチ切れば月冴ゆる
39.鳥渡る風の海峡佐田岬

■12月月例ネット句会清記■


■12月月例ネット句会清記■
2020年12月13日
11名(33句)

01.冬ざれの海鳴り聞こゆ夜もすがら
02.日溜りの猫の背伸びや漱石忌
03.枯野行ゆく貨物列車のどこまでも
04.朝霜や風に乗りくる汽車の音
05.縄のれん婆娑(ばさ)とコートの漢出づ
06.白鳥の夕映えの沼美(は)しきかな
07.くっきりと冬芽の白を青空に
08.鴨寄り来る二羽水脈を引っ張て
09.綿虫が森から街へ一つ来る
10.枯草や踏みて狭庭の広くなり

11.白足袋の足裏見せて躙り口
12.年の瀬や死屍累々の俳句手帳
13.冬晴れやぴいーと長鳴く知らぬ鳥
14.水鳥の開き合う水脈重なりぬ
15.柚子刻みその香も色も厨占む
16.峡の日を集めあかあか冬苺
17引きたての大根洗う速き流れ
18.友よりの搗きたての餅夫に供う
19.年賀状あの子この子に絵柄変え
20.樹に伝う登る色葉の冬の蔦

21.冬の灯やいつも洋ナシいびつなり
22.聖菓店売り子も客も三角帽
23.初雪やくるくる回る子と仔犬
24.夜勤明け始発へ急げば冬の風
25.冬に入る野の広がりを窓越しに
26.冬の夜の机上に雑多なもの多し
27.日暮れ早き十二月となりにける
28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜
29.ゆらゆらと青い火燃えて餅を焼く
30.冬林檎へナイフ斜めに蜜を避け

31.鴨の群浮かべ大河は悠々と
32.シングルスカル冬陽の中をゆく
33.冬紅葉残せる一樹のそばに憩う

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

12月13日(日)

曇り。
●12月月例ネット句会。
●俳壇年鑑2021年版への自選1句の投句依頼。1月31日締め切り。来年は、年鑑と奇数月に広告を依頼されたので、応じた。小雑誌の頑張りどころは、なんなんだろう。継続するのみで頑張りようもないが、広告も大事。

12月12日(土)

晴れ
●「俳壇1月号(2021年)」が届く。新春巻頭のトップに先日亡くなられた有馬朗人先生の句。あまりの偶然に驚いた。
特別寄稿の「俳句ーその歴史的仮名遣いのこと」(中村青彦)を読む。歴史的仮名遣いがいいか、現代仮名遣いがいいかという問題ではないのだけれど、現代仮名遣いより、結局、歴史的仮名遣いがいいという結論になっている気がする。
私は、俳句を始めたときから、現代仮名遣いを使っている。学校でそれを普通に習ったからなのであるし、花冠のモットーでもあるからだ。歴史的仮名遣いが使えないことはないが、いまさら歴史的仮名遣いに直そうとは思わない。私の顔が違ってきそうだ。
花冠にも、歴史的仮名遣いを使いたい人がいる。その方は、句集ではそうしてくださいというが、花冠の考えを無視しているわけで、だからと言って、他の結社に変わることもされない。これは、どういうことなのか、考え込んでしまう。おいしいところどりは、いけない。
●コロナ感染拡大。日本中で一日3000人を超える。それにしても観光客の多い京都が少ない。医療機関が適切に指導しているからとも聞く。

12月11日(金)

曇り
目白来ぬ枝に真っ赤な実があって    正子
水仙の顔見えておりフェンスの間    正子
まだあると見てがまずみの真っ赤な実  正子
●月例ネット句会の入賞者を一覧表に。金、銀、銅賞に入らなかった人はだれもいなかった。それぞれが、自分らしい句が一句以上はできたということだろう。
●今年の目白が近所の庭木にたくさん来た。
●お歳暮の発送。
●牡蠣飯のプロフェッショナルな炊き方を調べて炊いてみた。レシピは、三越伊勢丹のFOODIEから。レシピは3合となっていたが、2合を炊飯器炊く。鍋で炊くときは、沸騰してから入れるが、炊飯器なので、牡蠣は炊き上がってすぐ、蒸す時間で煮えるよう入れる。下味をつけてあるからこれでよい。

12月10日(木)

曇り
沙羅冬芽心刺さむと銀とがる     正子
赤色の缶に菓子ある待降節      正子
お歳暮にクリスマスのもの混ざりけり 正子
夜中、スマホでクラッシクを次々聞いていてついに夜明け。きのうはきのうで、病院やリハビリや仕事で、右往左往して疲れる。いいことはないか思案。酒蒸しまんじゅうがあった。それに熱いお茶がいいとなる。これくらいで疲れがとれれば、安いもの。

12月9日(水)

●くもりなので、寒い感じ。お餅、輪飾り、黒豆、田作りがコープで配達される。年用意をしているものの、来年の正月は家族が集まれるかどうか。
●コロナの感染が拡大している。GoToキャンペーンも停止しないまま。経済優先とは言え。庶民宰相は学術会議といい、なんだか、恐ろしい。イギリスでコロナのワクチン接種が昨日から始まっている。ついに旭川と大阪に自衛隊の看護官がでむくことになった。それぞれ10人ほど。職場の同僚の間でも、コロナがだんだん身に迫っているとひそひそ話している。
●11月29日の朝日新聞のコラム「俳句時評」は、角谷昌子氏であった。
この頃少なからず疑問に思っていることがある。「虚々実々」と「虚実融合」は同じであるのかということ。「虚」の捉え方として、私の理解では、虚は実と裏表、色即是空と思っている。最近では「虚」は、「虚構」の「虚」となっているのではないか。それで、なにが起こるかというと、句の意味が分かりにくく、難しくなるということ。それぞれの俳人の虚をもって、俳句の高みとしているような気がする。これでは、俳句はわからなくなる。実際私にはわからない。
●愛犬の喪中の知らせを受けて、どう返事しようかと思いつつ、妙案が思いついた。カードを送ることはどうだろうか。カードも手の込んだものなど色いろある。これなら、お返しなどの気を遣うこともないだろうし。

12月8日(火)

快晴のちくもり
電車過ぎあとに残れる師走空      正子
白菜の浅漬け盛って老い家族      正子
かろやかに地球を去ってはやぶさ2   正子
●はやぶさ2が持ち帰ったカプセルが、オーストラリアから飛行機で羽田に午前7時過ぎ届いた。飛行場からトラックで相模原のJAXAの運ばれ、午前10時すぎ着いた。沿道は歓迎の人で埋まる。大漁旗も見られる。リュウグウからのカプセルはまさに玉手箱。だからって、リュウグウと名付けたわけではないだろうが。はやぶさ2の行動は夢のよう。
●有馬朗人先生が90歳で亡くなられた。信之先生とは少し親交があったりして、何かのお祝いに砥部焼をお贈りしたこともある。第一句集『水煙』の句集評もいただいている。私の第一句集『月の樫』にも句評をいただいた。自宅で倒れているところを7日に見つけられたそうだ。どなたもおられなかったのか。ご冥福をお祈りします。
●クリスマスにはまだ早いが、元希に注文の辞書などを送る。贈り物用のラッピングペーパーを買おうとしたが、どこにもない。100円ショップでやっと見つける。このごろは包装紙に包んでるものが少ないので、こんなときちょっと困る。