■2020年月例ネット句会金賞作品12句■


■2020年月例ネット句会金賞作品12句■
2020年月例ネット句会の金賞12句が揃いました。みなさまは、どのようにお感じになられましたでしょうか。好きな句を3句選んで、その番号をコメント欄にお書きください。また、ご感想があれば、お書きください。よろしくお願いします。 できれば、12月25日 までにお願いします。 (主宰/高橋正子)

[1月]
寒梅の日暮れても紅失わず/小口泰與
寒中とは言え、日差しが少しずつ明るくなっている。日暮れても寒紅梅の紅が残り、いきいきと紅を発している。暮れ残る紅に春の気配がのぞくのである。(高橋正子)

[2月]
山際のほんのり赤く春立ちぬ/桑本栄太郎
山際は空が山と接するところ。その空がほんのり赤く染まり春立つ日となった。ほんのり赤い山際がやわらかく、『枕草子』の「春はあけぼの」を思い起こさせるような句だ。京都に住まう作者ならではの句だ。(高橋正子)

[3月]
突堤に若布刈るなり少年ら/多田有花
春になると若布が海岸や突堤に寄せてくる。海岸で採れなければ、突堤まで出てゆく。少年たちが若布を刈っている珍しい光景だ。家業の手伝いか、ただ楽しみの若布刈りか。少年たちは春を呼び込んでいる。(高橋正子)

[4月]
菜の花の背後はいつも青い空/多田有花
菜の花は、いつも青空を背景に咲いている。実際は、そうとは限らないが、一番印象的なのが、青い空を背景に咲くとき。菜の花の黄色、空の青は、明快な色彩の中にも春らしい柔らかさがあって、誰もが好きな景色だ。(高橋正子)

[5月]
風を待つヨットに海のきらきらと/多田有花
はつらつと、明るさに満ちた快い句。きらきらと輝く海へこれから乗り出そうと風を待つヨット。「風を待つヨット」に明らかな思いがあってよい。(高橋正子)

[6月]
卯の花の白こぼれ咲く谷の水/柳原美知子
卯の花は古くから日本の詩歌などに詠まれ、初夏の風物詩となっている。山野の路傍、崖地など日当たりの良い場所に生育する。この句の卯の花は、谷水の湧くところに咲いている。白い花びらがほろほろと谷の水にこぼれ、谷の水がいっそうきれいに、柔らかく思われる。(高橋正子)

[7月]
四肢伸ばす風よく通る夏座敷/多田有花
すっきりと曇りのない快い俳句。風がよくとおる座敷は、夏には何よりも嬉しいところ。四肢を伸ばし、全身を伸ばせば、心身ともにくつろげる。自然の風にくつろげる夏座敷は、日本の良さ。(高橋正子)

[8月]
朝顔のつぼみの先に明日の色/川名ますみ
「明日の色」は、実際に明日朝開く朝顔の色でもあるし、未来の色でもある。この二つのことを思うと、朝顔のつぼみに期待と希望を抱く。「つぼみ」が漢字の「蕾」でなく、平仮名であることがいい。(高橋正子)

[9月]
水抜かれ風に真白き稲の花/吉田 晃
稲の生育には、水の管理が大切とされるが、出穂後は、特にこまめな水の管理が必要と言われる。この句では、水を抜かれた田。稲の花の咲きはじめはやや黄色みを帯びているが、咲いてしまうと、白い花と言える。風に小さくちらちらと震える花は綺麗な白。稲の花言葉は、「神聖」ということだが、それにふさわしい。日本人の命を支えてきた稲の神聖さを思う。(高橋正子)

[10月]
山の水たっぷり流し甘藷洗う/柳原美知子
甘藷を洗うのに山の水をたっぷりと使った。ふんだんな山の水に甘藷はつやつやとしてきて、充実の太り具合を見せてくれる。山の水も、甘藷も生きがいいのだ。(高橋正子)

[11月]
立冬や靴音高く人が行く/古田敬二
立冬は、「秋が極まり冬の気配が立ち始める日」と説明される。立冬と聞けば、人はなんとなく無口になり、冬服の人もいる。空気が乾燥し、靴音が高く響く。「人が行く」の「人」は肌身ある人というより、客観的な「人」の意識。今日から冬が始まる景色をすっきりと詠んだ。(高橋正子)

[12月]
峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
「冬苺」は、クリスマスシーズンの今店頭にでているものではない。山峡の日当たりのよいところに自生し、9月から10月ごろ白い花を咲かせ、冬に小さな赤い粒が集まった実が赤く熟れるもの。枯れがすすむなかに、宝石のようにきらめく冬苺に愛らしさとあたたかさを感じる。大切なものへの慈しみの心。(髙橋正子)

※金賞作品の一人3句選を12月30日をもって締め切りました。
選とコメントをありがとうございました。(主宰 髙橋正子)

12月15日(火)

晴れ
夕焼けて桜紅葉が照り残る 正子
冬夕焼オレンジ色が洋画めき 正子
まだ残る桜紅葉が夕焼ける  正子
●2020年月例ネット句会の金賞句のまとめ。明日発表予定。
●祥子さんからグリーティングカード。俳句3句が書いてあったので、自由な投句箱へ投句。いつも木曽の御嶽山の句があって、親しんでいる様子。
●目がかゆいので眼科へ。視力と眼底検査をしたので、予定時間をオーバー。
眼はアレルギー性結膜炎で、目薬と軟膏が処方される。視力は眼鏡をかけてだけれど、ばっちりですと言われる。視野検査の予約をする。年末慌てないよう信之先生の薬も早めにもらう。年寄りと病院と…思いつつ今日があっけなく終わる。

12月15日(火)

快晴
●寒気来て、横浜でも初雪が降ったらしい。夕べは、風が肌を刺すようだった。
●スマホに警告あり。2GBを超えたということ。2GBは、動画9時間の容量らしい。クラッシクのライブを一晩中見たせいだろうと思う。ホームページなら6500ページぐらいらしい。
●go to taravel キャンペーンがやっと停止になる。年末28日から1月11日まで全国一斉。これは、内閣支持率が下がって、こりゃ大変ということだろう。

■12月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年12月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年12月13日

【金賞】
16.峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
「冬苺」は、クリスマスシーズンの今店頭にでているものではない。山峡の日当たりのよいところに自生し、9月から10月ごろ白い花を咲かせ、冬に小さな赤い粒が集まった実が赤く熟れるもの。枯れがすすむなかに、宝石のようにきらめく冬苺に愛らしさとあたたかさを感じる。大切なものへの慈しみに心。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
冬芽の白さが青空に際立っている。冬芽が日を浴びて白く、力強く、輝いているのだ。これほどまでの冬芽の力強さへの驚き。(髙橋正子)

17引きたての大根洗う速き流れ/柳原美知子
畑から引き抜いてきたばかりの、まだ泥がついている葉のふさふさした大根。それを急ぎ流れる水で洗う。「速き流れ」がいい。大根のみずみずしさが、さらに生きてくる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
19.年賀状あの子この子に絵柄変え/祝 恵子
今年は、新型コロナで、正月に家族が集まることもままならない。年賀状がこれまでに増して大切になる。あの子にはこの絵、この子には、こちらと、その子に相応しい絵を選んで書いている。年賀状を書くときの、円居のような楽しさが伝わってくる。(髙橋正子)

28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜/高橋句美子
ポインセチアは、どの葉も赤い。何枚も何枚も重なって赤い葉ばかりにちょっと小さい花がつく。そんな赤の重なりに、夜も明るくなる。「明るい夜」が、なんでもないようだが、効いている。(髙橋正子)

23.初雪やくるくる回る子と仔犬/西村友宏
初雪が降ると一番によろこびはしゃぐのは、子どもと仔犬。「くるくる回る」は本来は仔犬の仕草なのだが、子どもも仔犬と同じ。無垢な子どもと仔犬の喜びがそのまま伝わる句。(髙橋正子)

【高橋信之特選/7句】
07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
冬芽の息吹の強さが青空とのマッティングでさらに自然の強さが相俟って感じられました。 (高橋秀之)
冬芽の白さに冬の寒さと力強い生命が感じられます。 (高橋句美子)

15.柚子刻みその香も色も厨占む/高橋正子
柚子を刻むと黄色い皮とその香りが厨を満たす。良い香りを嗅いだ様な句です。 (廣田洋一)

23.初雪やくるくる回る子と仔犬/西村友宏
厳しい冬の寒さの到来を告げる初雪です。大人にとっては寒くて辛い初雪も子供や仔犬にとっては嬉しく、大はしゃぎです。 (桑本栄太郎)

28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜/高橋句美子
クリスマスが近づき、鉢植えのポインセチアを飾ると冬灯に赤の重なりが明るく照らされて、温かく夜の部屋を包んでくれるようです。(柳原美知子)

33.冬紅葉残せる一樹のそばに憩う/多田有花
紅葉が残っている木を見つけた時の嬉しさ。思わずその木のそばに寄り、名残りを惜しむ気持が伝わ
ってきます。(柳原美知子)

16.峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
17.引きたての大根洗う速き流れ/柳原美知子

【高橋正子選/7句】
22.聖菓店売り子も客も三角帽/西村友宏
クリスマス商戦が始まっているのでしょうか。売り手もお客も赤い帽子をかぶっている。活気が戻ればいいですね。(祝恵子)

04.朝霜の風に乗りくる汽車の音/小口泰與
霜の降りている早朝、冷たい風に乗って響いてくる汽車の音はどこか懐かしく、寒い中にも温かみが感じられ、一日の始まりを元気づけてくれるようです。(柳原美知子)

07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
16.峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
17.引きたての大根洗う速き流れ/柳原美知子
21.冬の灯やいつも洋ナシいびつなり/祝 恵子
28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜/高橋句美子

【入選/12句】
02.日溜りの猫の背伸びや漱石忌/桑本栄太郎
猫ずきの漱石と猫の背伸びとの対比が素晴らしいですね。 (小口泰與)

31.鴨の群浮かべ大河は悠々と/多田有花
寒さとともに鴨の大群がやってきた。いくつかの群れに分かれ悠々と流れる大河に泳いでいる。 (古田敬二)

03.枯野行く貨物列車のどこまでも/桑本栄太郎
果てしない枯野を行く貨物列車の存在感がよく表されていて、列車の音の余韻が聞こえてくるようです。(柳原美知子)

01.冬ざれの海鳴り聞こゆ夜もすがら/桑本栄太郎
05.縄のれん婆娑(ばさ)とコートの漢出づ/小口泰與
06.白鳥の夕映えの沼美(は)しきかな/小口泰與
08.鴨寄り来る二羽水脈を引っ張て/古田敬二
10.枯草や踏みて狭庭の広くなり/廣田洋一
29.ゆらゆらと青い火燃えて餅を焼く/高橋句美子
34.果てしなき霞に隠れて山眠る/髙橋秀之
37.柿落葉火の見櫓に鐘錆びて/吉田 晃
39.鳥渡る風の海峡佐田岬/吉田 晃

■選者詠/高橋信之
26.冬の夜の机上に雑多なもの多し
目の前の日常がリアルに述べられていて親しみを感じます。いつもの先生の生活です。 (吉田晃)

25.冬に入る野の広がりを窓越しに
27.日暮れ早き十二月となりにける

■選者詠/高橋正子
15.柚子刻みその香も色も厨占む
柚子を刻むと黄色い皮とその香りが厨を満たす。良い香りを嗅いだ様な句です。 (廣田洋一)

13.冬晴れやぴいーと長鳴く知らぬ鳥
14.水鳥の開き合う水脈重なりぬ

■互選高点句
●最高点(6点/同点2句)
07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
15.柚子刻みその香も色も厨占む/高橋正子

12月14日(月)

晴れ
●12月月例ネット句会入賞発表
●コロナの感染広がる。政府は手を打ってるようには見えない。
菅首相の言葉を分析した金田一秀穂教授によると、抽象的な語が多く、姑息のもと元の意味で姑息(その場かぎり)だということ。考えがないということ。
これでぴんときたが、俳句でも言えること。「考え」というのは、抽象的と思えるが、実際はそうではない。

■12月月例ネット句会清記/追加■


13日午後5時から午後6時の間に投句されました句を追加します。よろしければ、下記の投句から1句追加で選をお願いします。合計6句選となります。選の締め切りは、14日(月)正午とします。

34.果てしなき霞に隠れて山眠る
35.鶴ヶ城微かに薄日が差し込める
36.冬空に輝く星々流れくる
37.柿落葉火の見櫓に鐘錆びて
38.パソコンのスイッチ切れば月冴ゆる
39.鳥渡る風の海峡佐田岬

■12月月例ネット句会清記■


■12月月例ネット句会清記■
2020年12月13日
11名(33句)

01.冬ざれの海鳴り聞こゆ夜もすがら
02.日溜りの猫の背伸びや漱石忌
03.枯野行ゆく貨物列車のどこまでも
04.朝霜や風に乗りくる汽車の音
05.縄のれん婆娑(ばさ)とコートの漢出づ
06.白鳥の夕映えの沼美(は)しきかな
07.くっきりと冬芽の白を青空に
08.鴨寄り来る二羽水脈を引っ張て
09.綿虫が森から街へ一つ来る
10.枯草や踏みて狭庭の広くなり

11.白足袋の足裏見せて躙り口
12.年の瀬や死屍累々の俳句手帳
13.冬晴れやぴいーと長鳴く知らぬ鳥
14.水鳥の開き合う水脈重なりぬ
15.柚子刻みその香も色も厨占む
16.峡の日を集めあかあか冬苺
17引きたての大根洗う速き流れ
18.友よりの搗きたての餅夫に供う
19.年賀状あの子この子に絵柄変え
20.樹に伝う登る色葉の冬の蔦

21.冬の灯やいつも洋ナシいびつなり
22.聖菓店売り子も客も三角帽
23.初雪やくるくる回る子と仔犬
24.夜勤明け始発へ急げば冬の風
25.冬に入る野の広がりを窓越しに
26.冬の夜の机上に雑多なもの多し
27.日暮れ早き十二月となりにける
28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜
29.ゆらゆらと青い火燃えて餅を焼く
30.冬林檎へナイフ斜めに蜜を避け

31.鴨の群浮かべ大河は悠々と
32.シングルスカル冬陽の中をゆく
33.冬紅葉残せる一樹のそばに憩う

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

12月13日(日)

曇り。
●12月月例ネット句会。
●俳壇年鑑2021年版への自選1句の投句依頼。1月31日締め切り。来年は、年鑑と奇数月に広告を依頼されたので、応じた。小雑誌の頑張りどころは、なんなんだろう。継続するのみで頑張りようもないが、広告も大事。

12月12日(土)

晴れ
●「俳壇1月号(2021年)」が届く。新春巻頭のトップに先日亡くなられた有馬朗人先生の句。あまりの偶然に驚いた。
特別寄稿の「俳句ーその歴史的仮名遣いのこと」(中村青彦)を読む。歴史的仮名遣いがいいか、現代仮名遣いがいいかという問題ではないのだけれど、現代仮名遣いより、結局、歴史的仮名遣いがいいという結論になっている気がする。
私は、俳句を始めたときから、現代仮名遣いを使っている。学校でそれを普通に習ったからなのであるし、花冠のモットーでもあるからだ。歴史的仮名遣いが使えないことはないが、いまさら歴史的仮名遣いに直そうとは思わない。私の顔が違ってきそうだ。
花冠にも、歴史的仮名遣いを使いたい人がいる。その方は、句集ではそうしてくださいというが、花冠の考えを無視しているわけで、だからと言って、他の結社に変わることもされない。これは、どういうことなのか、考え込んでしまう。おいしいところどりは、いけない。
●コロナ感染拡大。日本中で一日3000人を超える。それにしても観光客の多い京都が少ない。医療機関が適切に指導しているからとも聞く。

12月11日(金)

曇り
目白来ぬ枝に真っ赤な実があって    正子
水仙の顔見えておりフェンスの間    正子
まだあると見てがまずみの真っ赤な実  正子
●月例ネット句会の入賞者を一覧表に。金、銀、銅賞に入らなかった人はだれもいなかった。それぞれが、自分らしい句が一句以上はできたということだろう。
●今年の目白が近所の庭木にたくさん来た。
●お歳暮の発送。
●牡蠣飯のプロフェッショナルな炊き方を調べて炊いてみた。レシピは、三越伊勢丹のFOODIEから。レシピは3合となっていたが、2合を炊飯器炊く。鍋で炊くときは、沸騰してから入れるが、炊飯器なので、牡蠣は炊き上がってすぐ、蒸す時間で煮えるよう入れる。下味をつけてあるからこれでよい。