3月15日(土)

曇りのち雨

●朝から曇り。いつのまにか雨になっていた。少し暖かくなった感じがするが、夕方は冷え込んできた。正子の英訳俳句の後書きと、著者紹介を書く。前書きを省いたので、あとがきが重要になった。今日は思いつことを書いたが、資料を調べて書いた方がよさそうになった。句美子の英訳俳句と同時進行となった。句美子の方、表紙を再検討している。

●送ってもらっていた白菜と冷凍ミンチがあるので、ニラと生姜と皮を買って餃子を作った。一度につくるのは面倒なので、半分お昼に作り、残りは英訳の作業の休憩に作った。餃子は老人には栄養があっていいというので、ときどき作って冷凍しているが、料理をしたくない時は、便利。中華料理は好きではなかったが、横浜にきてきてからは、あれこれ結構作っている感じがする。

3月14日(金)

晴れ
鳥さえも遊びて花をちぎりけり    正子
咲き満ちて辛夷の花の乳色に     正子
満開の辛夷のさきに雲を見し     正子

●暖かいので、久しぶりに5丁目の丘へ上った。駅から20メートルほどの農家に辛夷と桜が満開だった。ちょうど2年前のこのような日、信之先生を辛夷が咲いているからと散歩に連れ出した。暖かい日だったのに、それまでどおりの服装で出かけ、上着を脱ぐよう勧めたのに脱がなかったので、あと家まで10メートルほどのところで動けなくなって、救急車を呼んだ。大学病院で検査したが、脱水ということで点滴を受けて帰った。亡くなったのはそれからちょうど2か月後。その日のことを思い出した。

崖っぷちの公園のそばの河津桜が散っていた。雨でもないのに、ぽつぽつと音がする。見上げるとインコが数羽、桜の花と蕾を嘴でちぎって落としている。落ちたものをみると、これから咲く蕾と、咲いたばかりのみずみずしい花。蜜を吸っているようには見えない。遊んでいるとしか思えない。

●正子の下の英訳俳句について、AIにコメントをもらうと、夜鳴く鴨の声で、静寂を乱されたのですね、と言う。このようにAIの応えかたは、大変こわい。AIに自然観がどのように集積されているのか。まるで反対の意味の反応をする。これを私の意図どおりの句にするには、joy と言う単語が要る。しかし、この単語を入れたら、俳句が台無しになる。日本人の自然観を含めて、AIに組み込むにはどうしたらいいのだろう。専門の技術者にお願いしたいところだ。
living by the pond,
at night
I hear a wild duck quack.

AIに日本人の自然観を組み込むためには、以下のような方法が考えられるという。以下は、これも、AI の答え。
  1. データの収集: 日本の俳句や詩、文学作品から多くの例を収集し、それらの微妙な感覚を理解するデータベースを作成することが必要です。
  2. 文化的理解の向上: AIに文化的な背景知識を教えることが重要です。これは単に言語の翻訳にとどまらず、その言葉が持つ文化的な意味合いや暗示を理解することが含まれます。
  3. フィードバックの活用: 専門家やユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、AIの翻訳や解釈を改善していくことが必要です。
  4. 感情分析の強化: AIに感情のニュアンスを理解させることで、より適切な翻訳が可能になるでしょう。
技術的には複雑な課題ですが、日本の自然観を理解し、それをAIに組み込むことで、より豊かな表現が可能になると思います。
●現在AIに例えば、「リルケは両親の離婚後、誰とどこに住みましたか」と言う質問をすると、「ベルリンに母親と住んだ」と言う答えが返る。これが怪しい。

ご挨拶/3月月例ネット句会を終えて

ご挨拶
3月月例ネット句会にご参加ありがとうございます。今日あたりはずいぶん暖かくなりました。私のなかなか育たなかったプランターの春菊が、今はどんどん大きくなって、春が来たことを実感しています。

入賞の皆様、おめでとうございます。選句とコメントをありがとうございました。皆様の選句やコメントから、気が付かななかったことなど、いろいろ学ばせていただきました。ありがとうございます。金賞の洋子さんの句は芽柳の句でしたので、春のつややかさを思いました。ご投句は、瀬戸内から、関西から、名古屋、湘南、また秋田や前橋、栃木から、その他からの春が詠まれて、居ながらにして、日本の多様な景色や生活を伺うことができました。これもネット句会ならではの楽しみです。

暮らしにも変化の多いのが三月ですが、今月の句会にもほとんどの方が参加くださいまして、嬉しく思いました。これで、3月月例ネット句会を終わります。来月の句会は4月13日(日)になります。ご健吟ください。
2025年3月13日
髙橋正子
おわび:来月の句会を4月14日(日)としておりましたが、4月13日(日)の間違いでした。訂正いたします。

3月13日(木)

晴れのち曇り

●正子の英訳俳句を手直して9日~12日のブログに貼り付けた。ずいぶん首がと肩が凝ってひりひりする。朝9時半から12時間ぐらいぶっ通し。途中で止めると、勘が鈍るので、切りが付くまで中断はできない。それでも、クラウディオ・アラウのショパンに大いに癒された。少しゆっくりで、和音がきれいなのに癒される。哀愁を帯びた音とか。

翻訳では色の翻訳がむずかしい。日本では「青」と言えば、「いろんな青」があって、はては「緑」までを含めて「青」というから、これがなかなかなのだ。今日はverdant とtealをどう使うか、使っていいか、悪いか、迷ったが、結局、勘に頼るしかなかった。

●2月のトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が、厳しい言い争いの場面を見せて話題になったが、ウクライナでは、ゼレンスキー大統領への支持率が上がったと言うニュースがあった。さすがと贔屓したくなる。日本だったらどうだろう。大人げない、周りに人物がいかなかったのかなど、対応の仕方を非難されるだろう。

トランプの25%関税をどの国にもかけると言う発言は、経済評論家の話では経済政策ではなく、脈絡もない「威し」だという。ここで政治や経済の事を言うつもりはないが、俳壇のことにしても、発言力がある地位の人たちはもちろんご立派な方ですが、正義に対して腰が引けてると思うことがある。普通はこういう方を日本では賢い人と言っているのですが。

■3月月例ネット句会入賞発表■

■3月月例ネット句会入賞発表■
2025年3月10日
【金賞】
29.水際の色となりつつ柳の芽/藤田洋子
春の水辺の美しい景色が詠まれている。「色となりつつ」は春の柔らかい色彩に染まってゆく柳の枝を巧みに捉えている。また、水際という静かな場に柳の芽の命が溶け込んで、心地よい静けさを感じさせてくれる。繊細で詩的な句。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
08,雪掻けど掻けど今宵の雪降りぬ/弓削和人
今年は人々が経験したことのないような豪雪であった。雪を掻いても掻いても、掻ききれない。そこに今宵の雪が降る。大変な作業であるが、「今宵の雪」と言う美しい表現でまとめ、現実を詩としてうまく一句にしている。(髙橋正子)

28.三月の漢字の増えし児の手紙/藤田洋子
三月は小学生には一年のまとめとなる月であり、新学年がすぐそこに待っている月でもある。習った漢字がだんだん増えて、きちんと漢字を使って手紙がかけるという立派さは、うれしく、ほほえましいもの。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
15.梅咲いて新しき手帳買い求む/土橋みよ
春の訪れの喜びと、手帳をあたらしくする楽しい気持ちが合わさって軽やかな雰囲気です。(髙橋句美子)

18.旅立ちは夜明けの春の港から/高橋秀之
旅立ちはいろんな場所から。夜明けの春の港からの旅立ちは特別感がある。冷たさの中にも艶やかなうるおいを感じる春の夜明け。緊張もするが前途洋々とした気持ちがうかがえて、清々しい旅立ちである。(髙橋正子)

37.旧友の土産は庭の蕗の薹/川名ますみ
家の「庭の蕗の薹」に親しみとあたたかさがある。古くからの気心の知れた友との早春の交流がさらりと「蕗の薹」の色のように詠まれている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
08,雪掻けど掻けど今宵の雪降りぬ/弓削和人
この二月の豪雪、雪国のみなさまの心情を代表する一句と感じました。日に四度雪かきをしてもまだどんどん積もるとか。この雪が日本を支える貴重な水資源となると聞けば、申し訳ない気持ちです。(多田有花)

15.梅咲いて新しき手帳買い求む/土橋みよ
春の訪れの喜びと、手帳をあたらしくする楽しい気持ちが合わさって軽やかな雰囲気です。(髙橋句美子)

22.春の宵あかり灯りぬ須磨明石/多田有花
「源氏物語」の舞台ともなった須磨明石。春の宵の灯りが静かな華やぎを青い闇の中に浮かびあがらせてくれ、古来からの土地にまつわる物語などが思われます。 (柳原美知子)

27.雀一羽たった一羽が春の影/吉田 晃
春の日差しによって生まれた雀の影に気付かされた小さな一羽の雀の存在感。生き物への優しい眼差しが感じられます。 (柳原美知子)

35.雛あられ米屋の棚に米が無く/柳原美知子
雛あられを買いに来た米屋さん。されど棚には本来の賞品である米がなく。まさに今年の世相ですね。(高橋秀之)

37.旧友の土産は庭の蕗の薹/川名ますみ
旧友が自宅の庭から蕗の薹を摘んで遊びに来た。いかにも春らしい句。蕗の薹が効いている。 (廣田洋一)
長い付き合いの友人の心遣いや自然の恵みの豊かさとともに、春の訪れと新たな始まりを感じました。(土橋みよ)

29.水際の色となりつつ柳の芽/藤田洋子

【髙橋句美子特選/7句】
06.いち早く利根の目覚めし春の波/小口泰與
坂東太郎利根川、関東一の大河の面に波がたちます。波の音、波の姿に敏感に春を感じ取っておられます。(多田有花)

09,桟橋の静かに朽ちる春浅し/弓削和人
もう今は使われていない桟橋が浅春の波に洗われ、人知れず朽ちていっている。往時の姿が偲ばれ、愛惜の念が感じられます。 (柳原美知子)

15.梅咲いて新しき手帳買い求む/土橋みよ
春の訪れの喜びと、手帳をあたらしくする楽しい気持ちが合わさって軽やかな雰囲気です。(髙橋句美子)

19.白梅は空の光とまじりあい/髙橋正子
春になり日差しも眩しくなりました。白梅に差しこむその日差しの眩しさが、花と相まって幻想的な感じを醸し出してくれます。 (高橋秀之)
冬が終わり、最初に色を見せてくれるのは梅である。そして、梅に早春の光がふりかかるのであるが、色のないこの季節、白梅と空の光が浮き立って見える。桜が咲くとこの光景は桜に奪われてしまうし、夏の強い色や秋の紅葉なども、他の色を目立たなくする。早春の今以外の景色では詠めない句だと思う。この季節だからこそ、「まじり合った決して派手でない色」がはっきりと作者の目に映ったのである。・・・このように感じました。 (吉田 晃)

26.春星の窓に栞の本を置く/吉田 晃
春星とあるので星の灯りの差し込む出窓なのでしょうか。栞を挟んだ読みかけの本を置く。ほっと一息の時間ですね。(高橋秀之)

28.三月の漢字の増えし児の手紙/藤田洋子
小学1年生からの手紙でしょうか。小さな子は一年で大きく成長して、学年末の三月に覚えた漢字を使っている健やかな姿が想像できます。読んで喜ばしい句ですね。(上島祥子)
四月の進級月を前にして、三月には覚えたての漢字を書けるようになった子供の成長がほほえましい。幼少時期の頃の自分の姿かもしれません。 (弓削和人)

18.旅立ちは夜明けの春の港から/高橋秀之


【入選/16句】
02.振り返りふりかえりつつ流し雛/桑本栄太郎
流し雛を実際に見たことはありませんが、名残を惜しむように流れていくお雛様たちを「ふりかえりつつ」と表現され、典雅な雰囲気です。(多田有花)

10.日向なる人待ち顔の犬ふぐり/廣田洋一
春の日差しに可愛らしく青い花を開いている犬ふぐり。春真っ先に出会う野の花は毎年待ってくれているようです。「人待ち顔」がぴったりですね。 (柳原美知子)

11.枝先に一輪咲きし枝垂梅/廣田洋一
枝垂梅の枝先に見つけた一輪の開花が、嬉しい春の訪れです。やがて次々と咲く枝垂梅の美しさも目に見えるようです。(藤田洋子)

12.名を知らぬ小さき花や青き踏む/廣田洋一
歩いている途中、道端に咲く名も知らない小さな花に気づいたが草を踏みしめて歩き続ける春の静かな一場面を切り取られているように思いました。(土橋みよ)

13.寒凪に舟の生む波赤く染む/土橋みよ
寒の夕凪、静かにひろがる小舟からの波がしだいに夕陽に染まり、美しく安らかな一日の終わりが感じられます。(柳原美知子)

18.旅立ちは夜明けの春の港から/高橋秀之
少し暖かくなったかと思えば、又直ぐ寒の戻りがあり、長い間寒暖定まらぬ天候がつづきました。然し漸く春の兆しです。待ちに待った旅立ちは、夜明けのしかも「春の港」からという。心弾む大いなる喜びに溢れている。(桑本栄太郎)

23.暮れかかる溜池に春の鴨の影/多田有花
貯水のために作られた溜池は、波もなく穏やかです。ゆっくりと暮れ始める頃、未だ帰らずにいる鴨の影が、その水面に映りました。せわしい動きがない、駘蕩とした春の夕べのひとこまに心惹かれます。 (川名ますみ)

31.暖かな日差し煌めくバスの旅/西村友宏
車窓の日差しの煌めきに、心浮き立つようなバスの旅の楽しさを感じます。春の心地よい暖かさと陽気に心明るくなれます。(藤田洋子)

34.風二月丘にふくらむホルンの音/柳原美知子
モーツァルトの「ホルン協奏曲」が脳裏に浮かびました。4曲とも大好きです。豊かなホルンの響きが早春の丘を包みます。(多田有花)

36.啓蟄の土踏み浴びる鶏の声/柳原美知子
啓蟄の時期に、春の土のぬくもり感じられ、春の訪れを知らせてくれる鶏の鳴き声が聞かれる農村の風景が、自然の中のリズムとして感じられました。(土橋みよ)

38.てのひらにしっとり蕗の薹二つ/川名ますみ
てのひらを通して伝わる二つの蕗の薹のしっとりとした柔らかさ。その感触と、蕗の薹を見る作者のまなざしに春到来の喜びを実感します。(藤田洋子)

41.北窓を開いて仏間の花の揺れ/上島祥子
冬の間締め切った北窓を開けて、春の風や光を取り入れる仏間。花の揺れようがとりわけ優しく感じられ、季節を大切にされるお暮しがうかがえます。(藤田洋子)

07.囀を空耳とする湖の家/弓削和人
17.ふと見れば駅舎の中に雛飾り/高橋秀之
25.渡し舟ゆれて離岸の春帽子/吉田 晃
30.芽柳の雨こまやかに道後の灯/藤田洋子

■選者詠/髙橋正子
19.白梅は空の光とまじりあい
春になり日差しも眩しくなりました。白梅に差しこむその日差しの眩しさが、花と相まって幻想的な感じを醸し出してくれます。 (高橋秀之)
冬が終わり、最初に色を見せてくれるのは梅である。そして、梅に早春の光がふりかかるのであるが、色のないこの季節、白梅と空の光が浮き立って見える。桜が咲くとこの光景は桜に奪われてしまうし、夏の強い色や秋の紅葉なども、他の色を目立たなくする。早春の今以外の景色では詠めない句だと思う。この季節だからこそ、「まじり合った決して派手でない色」がはっきりと作者の目に映ったのである。・・・このように感じました。 (吉田 晃)

21.菜花茹で蕾の黄色ひとつある
茹でた菜の花に蕾が混ざるとひと際目立ちますね。黄色の蕾が日常に彩を与えているようです。(西村友宏)

20.降り込んで雪ともならず春の雨  

■選者詠/髙橋句美子
43.桃の節句彩り軽く淡い空/髙橋句美子
桃の節句を迎えて仰ぐ空、その淡く優しい色合いが、快い季節の訪れを伝えてくれます。冬の寒さがようやくやわらぎ、暖かな春を迎える軽やかな心情が感じ取れます。(藤田洋子)

45.伊予柑のみずみずしさを朝食に
新鮮で爽やかな味わいを持つ伊予柑が朝食の食卓にあり、一日の始まりを明るくしてくれる幸せを感じました。(土橋みよ)

44.卒業の便りが耳に風強し

互選高点句
●最高点句(6点/同点2句)
19.白梅は空の光とまじりあい/髙橋正子
28.三月の漢字の増えし児の手紙/藤田洋子

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

3月12日(水)

霧雨のち雨

たっぷりと湯が沸くうれしさ春の雨 正子

●花冠に入会希望のO氏に電話した。入会理由を聞いていなかったので、そのために電話したのだ。彼は俳壇でそこそこ地位があって、俳壇事情に詳しいらしく、いろいろ聞かせてくれた。私は俳壇には、ちょっと指がかかっている程度が一番いいのではないかと思っているので、花冠で大丈夫かと思っている。

私は「上手」と言う価値に重きを置いていない。どれだけ、俗から離れ詩心があり、自分らしいかが一番面白い価値だと思っている。それは俳句の素材と、使う言葉、リズムなどから感じられることだ。

聖武天皇と光明皇后の娘の孝謙天皇が、2度目に称徳天皇として即位したとき、光明皇后の支配から離れ、彼女は生まれ変わって自分の考える政治を行ったようだ。そばに吉備真備や道教がいたというが。たしかに、よい導きは必要。

せっかく、独りになっているのだから、自分の考え通りにさせてもらいたい、と思いながら電話を聞いていた。世に名が知れていないのは、自由であるという大きなメリットがある。彼は察したのか、私の考えで選をしてくれてよい、と返事をくれたので、電話を切った。そして、また「続けてくださいよ。」と言ってくれた。
●英訳俳句を印刷して見直した。今日は3月9日、10日に貼り付けてある、春の句と、夏の句を差し替えた。オリジナルの英語俳句や翻訳英語俳句に見られる多くのパターンに、文として自立していない弱点があるのではと思う。下手をすると片言ではないのかと思うことがある。日本は日本、アメリカはアメリカでいいのだが。個人的には、「文法的に文として成り立つように、それでいて、省略して、詩として成り立つよう」にすることは必須と思う。その観点で英訳を見直す。
<Thirteen Winter Haiku>
    two haiku, on Kashima Island in Seto Inland Sea
even ocean spray 
splashes on the leopard plants
on the cliff.
   Ho?jo?,-Kashima,  ni-ku
gake ni saku tsuwa nimo chireru nami-sibuki
         北条鹿島 二句
崖に咲く石蕗にも散れる波しぶき
————-
the smell of beasts
inhabiting the island,
―early winter. 
Hatsu-fuyu no shima ni kemono no sumu nioi
初冬の島に獣の棲む匂い
————-
        at our new condo in Matsuyama
living by the pond,
at night
I hear a wild duck quack.
         Matsuyama no shinkyo
ike chikaku sumeba yo-gamo no naku koe wo
         松山の新居
池近く住めば夜鴨の鳴く声を
————-
   at Shimonada, overlooking the Seto Inland Sea
the waving slopes
of narcissi
lead to the fishing port.
   Shimonada
Suisen no hana no kifuku no gyoko? made
   下灘
水仙の花の起伏の漁港まで
————-
             two haiku, on the Shinano Railway 
leaving a bicycle,
no one around
in the winter fields.
  
        Shinano Tetsudo?,  ni-ku
jitensha wo okite fuyuta ni daremo izu
            しなの鉄道 二句
自転車を置きて冬田に誰もいず
————-
vibrant Mt.  Asama
for its volcanic plume,
clear winter sky.
fun’en ni Asama no ikite fuyu haruru
噴煙に浅間の活きて冬晴るる
————-
        On the Seto Inland Sea
carrying
one winter star,
the sail of the ocean. 

    Setonaikai
Fuyu-boshi wo hitotsu tsureyuku umi no ko?
          瀬戸内海
冬星を一つ連れゆく海の航
————-
        at H?ryu-ji Temple
my white breath
breathing on the glass 
of the Hidden Buddha.
   H?ryu-ji
waga shroiki hibutsu no hari ni kakari keri
       法隆寺
わが白息秘仏の玻璃にかかりけり
————-
sprouting fountain ―
the winter sun makes it
a pillar.
funsui no fukeba hashira to naru fuyu-hi 
噴水の噴けば柱となる冬日
————-
           at Northern Lake Biwa
the beginning of winter,
I face the flat water
of the Lake.
    Kohoku
tairakana kosui ni mukite fuyu Hajime
       Kohoku
平らかな湖水に向きて冬はじめ
————-
        with Nobuyuki-sensei after the Suien Festival in Nara
in the heated train,
we open and spread
the leaf-wrapped sushi.
           Suien taikai wo oe Nobuyuki sensei to
danb? no shachu? ni hirogu kaki-no-ha zushi
           水煙大会を終え、信之先生と
暖房の車中に広ぐ柿の葉寿司
————-
            walking trip from Totsuka to Fujisawa, the Old Tokaido-path
The Yugy?-ji Slope,
endlessly falling, 
and piling leaves.
 
         Totsuka yori Fujisawa e Kyu?-Tokaid? wo aruku
Yugyo-ji zaka ochiba tamaru mo kiri mo nashi
    戸塚より藤沢へ旧東海道を歩く
遊行寺坂落葉たまるもきりもな
————-
       Nobuyuki sensei
always at his computer,
in quilted clothing,
with a Literati pattern.
    Nobuyuki sensei
Bunjin-gara no wataire itsumo pasokon su
         信之先生
文人柄の綿入れいつもパソコンす

■3月月例ネット句会清記■

■3月月例ネット句会清記■
2025年3月9日
45句(15名)

01.かんばせの細くおはすや古ひひな
02.振り返りふりかえりつつ流し雛
03.立子忌の命欲しきや名も欲しき
04.山山を抱く風あり春の暁
05.久々の雨や草木の舞い姿
06.いち早く利根の目覚めし春の波
07.囀を空耳とする湖の家
08,雪掻けど掻けど今宵の雪降りぬ
09,桟橋の静かに朽ちる春浅し
10.日向なる人待ち顔の犬ふぐり

11.枝先に一輪咲きし枝垂梅
12.名を知らぬ小さき花や青き踏む
13.寒凪に舟の生む波赤く染む
14.猫鳴けば孫も猫まね日永かな
15.梅咲いて新しき手帳買い求む
16.三寒を超えて十寒四温なり
17.ふと見れば駅舎の中に雛飾り
18.旅立ちは夜明けの春の港から
19.白梅は空の光とまじりあい
20.降り込んで雪ともならず春の雨
   
21.菜花茹で蕾の黄色ひとつあり
22.春の宵あかり灯りぬ須磨明石
23.暮れかかる溜池に春の鴨の影
24.春灯しおもてに映し川流る
25.渡し舟ゆれて離岸の春帽子
26.春星の窓に栞の本を置く
27.雀一羽たった一羽が春の影
28.三月の漢字の増えし児の手紙
29.水際の色となりつつ柳の芽
30.芽柳の雨こまやかに道後の灯

31.暖かな日差し煌めくバスの旅
32.カーテンの奥は淡雪さらさらと
33.手のひらで優しく沈む桜餅
34.風二月丘にふくらむホルンの音
35.雛あられ米屋の棚に米が無く
36.啓蟄の土踏み浴びる鶏の声
37.旧友の土産は庭の蕗の薹
38.てのひらにしっとり蕗の薹二つ
39.蕗味噌にレシピ聞きつつ箸を付け
40.真白なる美濃路の天守北窓開く

41.北窓を開いて仏間の花の揺れ
42.夕茜残る光や梅古木
43.桃の節句彩り軽く淡い空
44.卒業の便りが耳に風強し
45.伊予柑のみずみずしさを朝食に

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

3月11日(火)

曇り

●朝の空は、一日おきに、晴れ、曇り、となっている。午後晴れるのかと思ったが、ずっと曇りだった。こんな天気にはいろんな感染症が流行るのではと、今首都圏で流行ってる感染症を調べると、いろいろあるが、私にはウィルス性の胃腸炎が要注意の感じだ。今体調を崩すと厄介なことになりそうなので、用心にこしたことはない。

●3月月例ネット句会の追加で届いたコメントなどを貼り付ける。

●今日は春と夏の英訳俳句、すでに9日と10日の日記に貼り付けていたが、見直して、ローマ字と元の句を付けて書き直し発表した。今日は、秋の句12句の翻訳だけを以下に貼り付ける。
<Twelve Autumn Haiku>
          moved to Yokohama
hearing cicadas
autumn already begun, 
I move to a new place.
           Yokohama e
shu?sen to narishi wo kikite hikkoshi su
           横浜へ

秋蝉となりしを聞きて引っ越しす

————
unfastening 
the morning glory fence, 
letting the breeze through.
asagao no kaki wo hodokite kaze to?su
朝顔の垣を解きて風通す
————
late summer grapes, 
so chilly,
from my hometown.
osogake no furusato no budo? tsumetakari

おそがけのふるさとの葡萄つめたかり

————
being seen off,
Daughter looks back at me.
― night of crickets.
miokureru ko no furikaeru mushi no yoru

見送れる娘(こ)の振り返る虫の夜

————
          At Oze, an alpine wetland
in the mountain hut's bath,
I hear
the autumn bamboo rustling.
    Oze 
yamagoya no yu ni ite aki no sasa no oto
         尾瀬

山小屋の湯にいて秋の笹の音

————
          at Akishino-dera Temple in Nara
on your shoulders, 
autumn light falls 
— A Goddess of the Arts.
   Akishino-dera
onkata ni shu?to? ochite gigeiten
     秋篠寺

御肩に秋灯落ちて技芸天

————
          H?ry?-ji Temple in Nara
the heavy doors 
of the Golden Hall,
getting cold.
      H?ry?-ji
kond? no omoki tobira no hiyuru nari
           法隆寺

金堂の重き扉の冷ゆるなり

————
           at Maibara near the Lake Biwa
facing the deep blue sky,  
there lie 
harvested fields.
  Maibara
konpeki no ten to mukaite karita ari
        米原

紺碧の天と対(むか)いて刈田あり

————
the ripe fields unharvested, 
dazzling ―
the Sanyo Line.
kari-nokoru ureta mabayuki Sany?-sen
刈り残る熟田まばゆき山陽線
————
   H?koku-ji Temple in Kamakura
A chill seeps into bones,
passing through 
the teal bamboo grove.
   Kamakura, H?koku-ji
minishimu ya chikurin no ao t?ri kite
   鎌倉、報国寺
身に沁むや竹林の青通り来て
————
   at Haworth, where the Brontë sisters lived.
autumn chill
on the ancient color hydrangeas,
a Vicarage.
       Buronte shimai ga sunda hawa?su
shu?rei no ajisai koshoku bokushi-kan
   ブロンテ姉妹が住んだハワース
秋冷のあじさい古色牧師館
————
    in Liverpool in England
stepping out of the Cathedral,
I admire
― the autumn sky.
    Ribapu?ru
Seid? wo idete aogeru aki no sora
    リバプール

聖堂を出でて仰げる秋の空

3月10日(月)

晴れ
春炬燵離れがたくてものを書く  正子
独り居は春の炬燵に一日を    正子
春寒し湯呑に異人と蝶の絵と   正子

●3月月例ネット句会の入賞発表を午前2時半ごろした。
●『泉』の正子の冬の俳句13句を英訳。これで『泉』の正子50句の英訳が完了した。まず、上出来と思わなければいけない。元の句と、ローマ字表記を添えておけば、いつでも使える。この作業は明日。

●英訳作業には音楽が欠かせない。インスピレーション(inspiration)やエヴォケーション(evocation)のためには邪魔にならない音が必要。今日はクラウディオ・アラウのショパンを聞いた。いつも聞くショパンとは違っていた。素晴らしい。
●先日来読んでいる『マルテの手記』に、父親の主馬頭が死ぬ場面がある。医者が二人来て, 最後に心臓の処置をするとある。医者二人はマルテがじっと見ているので、具合悪そうにするが、別にそこに居て悪いわけではないし、死の処置を見ることはないので、マルテは医者たちの様子を見ている。
 医者は死者の胸の心臓にメスを射す。抜いて、メスに付着した数滴の血を綿でぬぐう場面がある。これが実際の事か、象徴的に書かれているのかと不思議でならなかったが、20世紀初頭まで、死の確認のために、このようなことが実際行われていたという。ちょっと恐ろしいが。死者は何事もなかったように、たちまちに軍服を着せられたのだ。
★Chopin The 21 Nocturnes (recording of the Century : Claudio Arrau)
YouTube Neil Richard
★Mozart by Lili Kraus – Piano Variations, Sonatas, Fantasy, Adagio .. (Century's record.: Lili Kraus)YouTubeClassical Music/ /Reference Recording
★CLAUDIO ARRAU the Emperor ConcertoYouTubekenntout
★五嶋みどり チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 第1楽章
YouTube yossy+
<Fourteen Summer Haiku>
        at Tsukiji in Tokyo
viewed from the shade
of cherry leaves,
Kachidoki Bridge is nice.
   Tsukiji
hazakura no kage kara Kachidoki-bashi ga yoi
      築地
葉桜の蔭から勝鬨橋がよい
——-
 
    on the Sumida River
Catching a slight spray of the tide,
we sail upstream,
past the verdant leaves.
             Sumida-gawa
shio sukoshi abite aoba no kawa noboru
            隅田川
潮少し浴びて青葉の川のぼる
——–
        Tokyo Bay
all in the coolness ―
sailing ships on the canal,
also, dirty boats.
 
  Tokyo-wan
unga yuku yogoreshi fune mo mina suzushi
  東京湾

運河ゆく汚れし船もみな涼し

————

          at Misaki
the wind of the peninsula,
blows freely ―
the carp streamers.
         Misaki
hant? no kaze wa jizai ni koinobori
         三崎
半島の風は自在に鯉のぼり
 ———-
the cape launching a black kite,
around the cape’s edge
gathers summer wind.
tobi ukasu hant? natsu no kaze atsume
鳶浮かす半島夏の風集め
———-
by summer tide
deeply drenched,
J?gashima Isle.
natsu-shio ni koku mo mururu yo J?gashima
夏潮に濃くも濡るるよ城ヶ島
———-
          with my daughter Kumiko
at the station,
I purchase carnations, 
to see my bedridden mother.
        Kumiko to
ka?ne?shon eki ni motomete haha mimau    
         句美子と
カーネーション駅に求めて母見舞う 
———-
            Mother's funeral in May 2012 
surrounded 
by the fresh green of mountains,
my mother's funeral.
      haha no so?, 2012 nen 5 gatsu
shinryoku no yama ni kakomare haha no so? 
         母の葬、2012年5月
新緑の山にかこまれ母の葬
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           my husband Nobuyuki's funeral in May 2023c
changing clothes, 
my husband sets out on a journey
lightly. 
     otto Nobuyuki no so?, 2023 nen5gatsu
koromogaete tsuma karoyaka ni tabidateri
   夫、信之の葬 5月2023年
衣更えて夫(つま)かろやかに旅立てり
———-
after a sudden shower,
raindrops leisurely dripping
from the eaves.
yu?dachi no ato no isoganu noki sizuku
夕立のあとの急がぬ軒しずく
 ———-
             at the ?funa Flower Center
under the shade 
of the acacia blossoms,
ice cream seller.
     o?funa furawa? senta?
akashia no hana no koshita no hyo?ka-uri
     大船フラワーセンター

アカシアの花の木下の氷菓売

————-
         my little grandson, Motoki
sensitive to the cicada’s song,
he points 
to the tall tree.
   mago, Motoki
takaki ki no semi-ne ni satoshi yubi saseru
          孫、元希

高き樹の蝉音に敏し指差せる

————
on the balcony,
I soak in the fresh scent
of green tomatoes.
beranda no tomato no aoki ka ni hitaru

ベランダのトマトの青き香に浸る

————
         Yatato Spring in Oze, an alpine wetland
placing my hands 
in the natural spring water,
they turn icy.
   Oze, Yataro?-izumi
sashiirete izumi no mizu ni te no ko?ru
         尾瀬、弥太郎泉
差し入れて泉の水に手の氷る
——

3月9日(日)

晴れ

●3月月例ネット句会
正子投句
19.白梅は空の光とまじりあい
20.降り込んで雪ともならず春の雨   
21.菜花茹で蕾の黄色ひとつある

●愛大俳句会の元部長のO氏から電話。声を聞くのは卒業以来56年ぶり。その声は全く聞いたことのない声になっていた。今では現俳協の理事。退職後は就職した地で地域おこしのために俳句で奮闘している様子。用事は彼が次の号から花冠に参加することだった。理由を聞きそびれたが、学生時代の彼の俳句とは別の印象の句になっている。著名な結社で修行を積んだようだ。たいていの大物俳人を講演に招いているいう話を聞いた。最後に「花冠を続けてください。」と念を押すように言ってくれた。俳誌が減少しつつあるという。
<Ten Spring Haiku>
—–
  at Amagi Pass
from each wasabi field,
spring water 
overflows.
  Amagi-t?ge
wasabi-da no tagoto ni shunsui kobore otsu
 天城峠
わさび田の田毎に春水こぼれ落つ
—–
         at Kawazu
Rapeseed flowers,
Kawazu cherry blossoms,
 along the morning riverbank.
     Kawazu
Nanohana mo Kawazu-zakura mo asa no kishi
河津
菜の花も河津桜も朝の岸
—–
leaving
the curves and warps of hishi-mochi,
as they are.
hishi-mochi no sorishi kurui wo sonomama ni
菱餅の反りしくるいをそのままに
—–
   the anniversary of our Father's death 
plum blossoms bloom ―
in stillness of all directions,
observing Father's rite.
    chichi no ki
ume hiraku shih? shizuka ni ki wo sh?su
   父の忌
梅開く四方しずかに忌を修す
——
Swallow comes,
to my mother's old home,
placing the light.
tsubame kite haha ga ie nimo hikari oku
つばめ来て母が家にも光り置き
In the rising sun, 
the first swallow makes
its breast pure white.
hatu-tsubame asahi ni mune wo junpaku ni
初つばめ朝日に胸を純白に
—–
over the rain-falling rice field, 
a swallow flies
— its eyes growing wet.
ame no ta wo me made mo nurete tobu tsubame
雨の田を目までも濡れて飛ぶ燕
—–
in Matsuyama, 
camphor trees burn,
together with cherry blossoms.
Matsuyama ni kusu moe sakura majiri saku
松山に楠燃え桜混じり咲く
—–
double-petal cherry blossoms,
people walking in the street,
in light clothes.
yaezakura machi yuku hito no i wo karuku
八重桜街行く人の衣を軽く
——
    Mouth of the Shigenobu River 
pushing the spring sea 
off the shore
― vast mudflats.
   Shigenobu-gawa kak?
haru-umi wo oki e oshiyari ?higata
   重信川河口
春海を沖へ押しやり大干潟