晴れ
ひと枝に桜ひらいて誰もいぬ 正子
四十雀丸き頭の街を見て 正子
山陰の椿つばきは日の色に 正子
●昨日と変わっていい天気だ。歩いたほうがいいと思い5丁目の丘へ出かけた。鯛ヶ崎公園の一番上にある桜の木を見に行った。一枝が咲いていた。四十雀が一羽、枝に止っている。止まってどこかを見ている。その視線が人っぽいので、その丸い頭は一年生の帽子のように見える。
しばらく日向にいたせいか、なんだか気分が悪くなったので、引き返した。このところの気温の変化に対応できていないのだろう。家に帰ってすぐ休んだ。部屋の窓を開けて風を通すと、気分が落ち着いて来た。『マルテの手記』の最初の方を捲ったら、病院で迎える死について、その人独自死に方ができなっくなって、お仕着せの死に方になっている、自分なりの死に方をするには、入念な準備がいる、とか書いてある。これを書いたのは120年以上前のこと。信之先生の死で経験したことから、今の事情と同じだ。果たして信之先生は自分の死を死ねたか、ということ。最期のときに医者が言った言葉「幸せだったと思いますよ。」この言葉がどこから来たのかよくわからないが。
★Hilary Hahn – Mozart Violin Concerto No. 3 (New Cadenzas)
YouTube The Violin Network
On only a twig
cherry blossoms bloom,
no one nowhere.
― Masako
Today, the weather was quite fine. I thought it would be nice to go out for a walk, so I did. I arrived at Taigasaki Park, as usual. At the top of the park, there stood a large cherry tree that had just begun to bloom. On one twig, a few cherry blossoms had opened, their pale pink petals glowing in the sunlight. But I didn’t feel well—perhaps it was too warm. I soon returned home to rest, and read the opening pages of ’The Notebooks of Malte Laurids Brigge’, which I had already read the day before yesterday.
In those pages, Malte writes about death in a hospital. People couldn’t die in their own unique way. It is difficult to die one’s particular death. For such a death, people must make elaborate preparations. Malte wrote this more than 120 years ago, yet this reality still seems true today, I thought.
Malte schreibt über den Tod in einem Krankenhaus. Die Menschen konnten nicht auf ihre eigene, einzigartige Weise sterben. Es ist schwierig, seinen eigenen, besonderen Tod zu sterben. Für einen solchen Tod müssen die Menschen aufwendige Vorbereitungen treffen.
曇り
色もちて桜つぼみの空に散り 正子
霞みては白に翳あり港ビル 正子
竹の秋竹幹青を強めける 正子
●昨日と変わって朝から、曇り。スイートピーに蕾がついて、オレンジピンクの色が見える。5丁目の丘へ散歩に出かけた。耕作放棄地で土筆を見つけたがもう時期は過ぎてほとんどが杉菜になっていた。四、五本摘んだ。四十雀が盛んに鳴き、欅の枝に小さい芽吹きが見える。染井吉野の蕾にピンク色が見えている。こんな蕾は明後日ぐらい開くかもしれない。河津桜はすっかり葉桜になって、早いものは新緑の色に。鯛ヶ崎公園の一番上の方に、鵯ぐらいの鳥がいた。聞きなれない声で、キョキョキョと鳴く。一度だけ鳴いたので、記憶が確かでないが。蓬も少し摘んだ。蓬や土筆は、ただ摘むだけで、なんにするわけでもない。
●『マルテの手記』を読み終える。いつから読み始めたか忘れたが、年末、いそがしくなって図書館通いができなくなるだろうと、リルケの本を何冊か買った来た。それから、ちょこちょこ読む感じだった。リルケが7年かけて書いたものなので、読むほうも7年かければいいだろうという気持ちだった。飛び飛びだが、3か月ぐらいかかっている。リルケの著作の解説を読むとき、『マルテの手記』を読んでいないと、リルケについて著者と話があわない、と言う感じを持った。十代から二十代のはじめにこの本を読んだ人も多いだろうが、彼らの読書力にはいまもって感心する。これで、次のリルケを読むことができると思う。
Buds of cherry blossoms
scattering in the sky,
their tops tinting pink.
― Masako
I went walking to the hill in 5-chome, where I found some baby horsetails (called tsukushi in Japanese). I picked a few of them, but most had already turned into mature horsetails (sugina in Japanese). Some spring birds were singing merrily. The twigs of zelkovas were sprouting and beginning to spread tiny brownish leaves. Cherry blossoms—known as Someiyoshino—were tinting the tops of their buds with pink. I thought these buds might bloom the day after tomorrow. The Kawazu cherry trees had sprouted young leaves, and some were already unfolding fresh green foliage. Upwards in Taigasaki Park, I heard a bird sing "kyo, kyo, kyo, kyo." Its voice was clear, but unfamiliar to me, and it only sang once. I can't remember clearly.
Einige Frühlingsvögel sangen fröhlich. Die Zweige der Zelkoven trieben aus und begannen, kleine bräunliche Blätter zu entfalten. Kirschblüten, bekannt als Someiyoshino, färbten die Spitzen ihrer Knospen rosa. Ich dachte, diese Knospen könnten übermorgen blühen.
晴れ
おーんおーん彼岸の僧の読経也 正子
鴬が鳴いてくれたり墓参の径 正子
夫の墓に小彼岸桜咲きはじめ 正子
●1時から彼岸法会がお寺であったので出席。今日は気温が高く、初夏のような陽気だった。この陽気が夕方まで続いたが、夜はすこし冷えた。法会への参加の記にアレンジフラワーの小さい鉢を頂いたので、お墓に供えた。
今日のお墓は、お彼岸のお花がたくさん供えられて華やかだった。先月は河津桜が咲き始めていたが、一か月後の今日はほとんど散って、葉が出始めていた。信之先生の墓の傍の桜は咲き始めたところだった。染井吉野ではなく、小彼岸桜のようだった。満開になっている桜もあった。他の墓域には辛夷とエリカが咲いている。パンジーやクリスマスローズもよく咲いて、入口のには金魚と水草がはやくも涼しそうな風情だった。お墓にいると、啄木鳥のドラミングが聞こえ、下の方からは雄鶏の鳴き声、向こうの藪からは鶯の声が聞こえた。日傘が欲しいくらいの日差しで、上着を脱いで、ブラウスでちょうどよかった。休憩所では冷たい緑茶を頂いた。
帰宅は4時になった。それから句美子から頼まれたお菜を作り届けた。春キャベツの千切りがリストに上がっていたので、久しぶりに春キャベツの千切りを作る。確かに美味しい。
夕飯の後、炬燵にはいっていたら、うたた寝。「自由な投句箱」の秀句を選び、コメントを付けたのは、夜中近くだった。
Along path to the graveyard,
the nightingale sings
to me.
― Masako
Today, I attended the Higan (Equinox) ceremony at the temple. The monk chanted sutras in a resonant, echoing voice that filled the hall—oh—n oh–n. On the Buddhist altar, behind the large candles, artificial, pale-colored lotus flowers were arranged. They looked cool, perfectly complementing today’s hot temperature. Of course, beautiful fresh flowers were also arranged.
After the ceremony, I visited my husband’s tomb. There, I heard a rooster crowing “cock-a-doodle-doo” below the graveyard. In the trees beside the yard, a woodpecker was drumming drum-drum-drum. In the distance, I heard a nightingale (uguisu in Japanese) singing its lovely “hoh-hokekyo, hoh—hokekyo.” Beside my husband’s tomb, the ko-higanzakura (Equinox cherry blossoms with smaller petals) had just begun to bloom. These delicate blossoms always bloom in time for the Equinox.
Heute nahm ich an der Higan-Zeremonie (Tagundnacht-gleiche) im Tempel teil. Nach der Zeremonie besuchte ich das Grab meines Mannes. Dort hörte ich unten auf dem Friedhof einen Hahn krähen ‚Kikeriki‘. In den Bäumen neben dem Friedhof trommelte ein Specht mit einem ‚Trommel-trommel-trommel‘. In der Ferne sang eine Nachtigall (auf Japanisch Uguisu) ihr schönes ‚Hoh-hokekyo, hoh—hokekyo‘."
晴れ
橋を越ゆ道のうねりが春光に 正子
押し並び苺パックの光る赤 正子
●今朝は6時半起床。暖房をつけなくてもいいが、背中がちょっと寒い。お湯を沸かす。ポットにもお湯があるが、朝一番に沸かすお湯が替えがたくいい。茶室の茶釜に湯が沸いている。このお湯をコーヒーか紅茶を淹れるのに使う。朝一番に飲むコーヒーか、紅茶は朝の一番の楽しみ。お湯を少しおいて緑茶にする日もある。毎日なにかを淹れているが、上手に淹れることができたためしがない。
●丸善でアルバムを3冊買ってきた。一冊に300枚収まるのを、白と黒各1冊、あと一冊は水色の布張りのもの。これは、いまあるオレンジ色のアルバムの色違い。
●シゲティと言うバイオリンニストが弾く曲を初めて聞いた。 魅力的。
★Mozart: Violin Sonata No. 32 (K454), Szigeti & Szell (1955) モーツァルト ヴァイオリンソナタ第32番 シゲティ&セル YouTube Deucalion Project
The shining red
of the strawberries
neatly packed in rows.
― Masako
This morning, I got up at half past six. There was no need to heat the room, but it felt a bit chilly on my back. First, I boiled some water, even though the pot already contained water that was still warm.To boil water is nice for me. This secen in the morning quietness is similar to the tea ceremony in the tea room. I use the boiled water to make coffee or tea. After letting it cool for a bit, I prepare green tea. Every morning, I make one of them, but I can't quite get either one just right.
Heute Morgen bin ich um halb sieben aufgestanden. Es war nicht nötig, den Raum zu heizen, aber es fühlte sich ein wenig kühl auf meinem Rücken an. Zuerst habe ich Wasser gekocht. Wasser zu kochen ist schön für mich. Diese Szene in der morgendlichen Stille ähnelt der Teezeremonie im Teeraum. Ich benutze das gekochte Wasser, um Kaffee oder Tee zuzubereiten.
晴れ
濃き色の桜が咲いて犬がおり 正子
プランターを耕し青菜の種蒔く 正子
●今日から急速に暖かくなる予報。あさっての日曜日はお寺で彼岸法会がある。今回は子供たちは予定が詰まっているので一人で出かける。お墓参り用の線香を売っていると息子が言うので、スーパーで白檀の香りのを買った。指くらいの束が4つ入っていた。
●花冠の372号に花冠の俳句の本質的なことについての貴重な文章を書いていただいた。その記事の肝心なところへの反応を会員の皆さんから、発行して3か月になるのに、はっきりと聞くことができていなので、気になっている。先日会員の一人と電話で話すことがあったので、雑談の中で聞いてみた。「花冠の俳句はモーツァルトのようだと言う記事に誰も反応しなかったのだけれど。どうなんでしょうかね。」と言うと「ベートーベンは知っているがモーツァルトは知らないから、言いようがない。」と話す。想像もしていない返事だった。私は、クラッシックが好きで普段何気なく聞いているが、モーツァルトを知らない俳人も多いのかも知れないと、思い直した。多様であっていい。そうは思うものの、俳句と言う短い詩で、読者に読まれて成立する詩型で、感情や感覚の共有が難しいというのは、句会が成り立たないのではと思うほど、今日は落ち込んでいる。
Tilling the soil in the planter,
I sow the seeds
of green vegetables.
― Masako ※Tilling and cultivation are spring season words.
The day after tomorrow, I will attend the Euinox Buddhist service at the temple alone. After that, I will visit my husband's grave with flowers and joss sticks. I'm looking forward to seeing which blossoms are blooming in the graveyard. Maybe cherry blossoms, and in some parts,camellias or spring flowers.
Übermorgen werde ich alleine an der buddhistischen Tagundnachtgleiche-Zeremonie im Tempel teilnehmen. Danach werde ich das Grab meines Mannes mit Blumen und Räucherstäbchen besuchen.
晴れ
彼岸の空行く雲どれもほっかりと 正子
独りの餉春菊の青摘まみきて 正子
●彼岸の中日なので、お花を新しくして、おはぎを供えた。仏花は洋花の人気が高くて、そういうのが売られている。今日はスプレー咲きのオレンジの薔薇と薄い黄色のカーネーションとレースフラワーの花束を供えた。おはぎとに会わないような気もするが。
●祥子さんが季節のグリーティングカードを贈ってくれたので、仏壇の横に組み立てて置いている。縁側があって、猫がいて、梅の花が咲いている昭和のような家で、お彼岸にちょうどよさそうな、のんびりした雰囲気。
●信之先生の葬儀の時の写真を整理。写真の整理は億劫なもので、2年経ってようやく整理できた。その気はあっても、実行できない。
●『マルテの手記』の終わりあたりに、「サッフォー」の詩を訳すのをたのしみにしている変人の話がある。リルケも古い女性詩人の詩なども翻訳しているが、「翻訳の楽しみ」というものがあるのを知った。今俳句を英訳しているが、翻訳には完璧はなく、言語にも完璧な言語は恐らくないのであろうと思うけれど、翻訳作業に苦痛はない。おもしろいに近いかもしれない。日本人で翻訳を趣味にしている人の話はほとんど聞かない。
ここで「サッフォー」だが、名前は聞いたことがあるが、紀元前のギリシャの女性詩人で、「アフロディーテへの賛歌」が有名という。すると、変人はギリシャ語からの翻訳をしていたことになる。
The Equinox sky,
every spring cloud
floating gently.
― Masako
Today is Vernal Equinox Day. It was warmer yesterday, and tommorow is forcasted to be even warmer. Day by day, spring becomes increasingly warm.
Heute ist der Tag der Frühlings-Tagundnachtgleiche. Gestern war es wärmer, und für morgen ist noch wärmeres Wetter vorhergesagt. Tag für Tag wird der Frühling zunehmend wärmer.
霙、のち晴れたり曇ったり
かがやきて春の霙のしばし降り 正子
●浅草に雪が降る景色がテレビに映った。それにしても、わが家はただの曇り空なのだと思っていると、昼前から霙が降り出した。最高気温7℃。
●孫の写真を整理。ひらがなの手紙が混じっている。字を書くことを覚えはじめて、手紙をくれるようになったので、こちらからも、手紙を書いて送っていた。ゆうびんごっこのようなもの。覚えた漢字をひとつひとつ書いて表のようにしたのもある。中学進学で子供時代に一区切り。
Brightly shining,
spring sleet falls
for a brief while.
― Masako
Today, I saw snow falling in Asakusa on TV. Here in Yokohama, it started sleeting around noon, but it stopped soon after.
Heute habe ich im Fernsehen gesehen, wie in Asakusa Schnee fiel. Hier in Yokohama begann es um die Mittagszeit zu schneien, aber es hörte kurz danach wieder auf.
曇り、夜小雨。
●正子の英訳俳句を見直す。自分の句なので、日本語が切り離せないでいる句があるので、英語になっているか点検しなくてはならない。正子の英訳句をそのまま手っ取り早く本にしようと思ったが、日本人にはわかっても英語圏の人にはわからないということもある。工夫しなければいけないことが判明。これはちょっと、と言うわけにはいかない。第1回目簡単に印刷して、次に本格的にするとか、も考えられる。なかなか大変なことになる。
●夜、土井勝さんの「きょうの料理」春のすしが再放送されたのを見た。関西風のちらし寿司。具はたけのこ、蕗、椎茸、あなご、のせるものは、錦糸卵、えんどう豆、紅ショウガ。酢飯の作り方、手抜きをしないで作っていたつもりだったが、今日見て、手抜きをしていた。昆布に切り目を入れていなかった。具を炊いた汁は3分のⅠ残してそれごと具を混ぜる、ということはしていなかった。今日の具は最高にいい。今は半切りがないので大きなタッパーで作っているが、やはり、小さめでも半切りを買おうかと。寿司はいつ食べてもおいしいし。米の研ぎ方も再確認。ちらし寿司の具は筍と蕗とえんどう豆の出合物が一番。夏は夏の小海老のちらし寿司がいい。
About Chirashi-zushi
Tonight, I watched a re-broadcast of a cooking program on TV. The late Japanese chef, Masaru Doi, prepared Kansai-style chirashi-zushi. He mixed bamboo shoots, fuki (Japanese butterbur), shiitake mushrooms, and anago (a long fish similar to an eel) into vinegared rice. On top of the sushi, he added thinly sliced baked egg, boiled fresh green peas, and thinly sliced pink-dyed pickled ginger. Chirashi-zushi tastes delicious anytime, but it is especially delightful in spring due to the warm climate.
In summer, my family mixes shrimp into sushi. Shrimp reminds us of the vibrant summer sea, though it can be enjoyed in sushi at any time.
曇り
桜餅草餅そろえ供えけり 正子
春闘が明るくなったと思いおり 正子
●午後、ハート内科の受診だった。心臓のエコーを撮ったが、心臓の動きがちょとアニメみたいでした。自宅まで1キロの道を歩いて帰っていたのだが、途中かかりつけの整形外科の前を通った。今日は行く気はなかったけど空いていそうなので今行くのがチャンスと寄った。
●自分の英訳俳句を見直し、気になるところを訳しなおしてみるが、初めの訳のほうがいいと分かる。
雨
背の丈を柱で測る進学子 正子
幾春の背丈の印の柱古り 正子
カリッと焼く餃子を好み進学子 正子
●きのうより気温がぐっと下がった。夕方電車に乗ると暖房がしてあった。不思議な感じだ。昼前には長男と孫が来たので、工具箱の開け方がわからないでいたのを開けてもらった。お風呂の電気が切れていたので、取り換えてもらった。昔は、こういったことは、何の苦労もなく自分でしていたのに、さっぱりだ。二人はキャンプのお土産に富士山の形の箱に入ったお菓子とくるみっこをくれた。
孫は来たら柱に身長の印をつけている。柱に疵をつけるのではなくて、付箋をテープで貼って、身長と日付けを書いている。それが習慣になって、親も計ってごらん、と言っている。今日は161センチ。鉛筆みたいに細い子。
●疲れたかんじなので10時、就寝。