★春水の流るる音をパソコンに 正子
春は降雨や雪解けなどで渓谷・河川・湖沼・畦田などは水嵩を増し、それがせせらぎ流れ、その上へ春の明るい日差しが照ると、冬涸れの後だけに、豊かに勢いづく感じがパソコンを打つ音にも伝わり、柔らかな調べのように静かな部屋に
伝わりますね。春らしい素晴らしい句ですね。 (小口泰與)
○今日の俳句
揚ひばり畑ねんごろに打ちにけり/小口泰與
ひばりが空高く揚がり、のどかな日和。畑の土を丁寧に打ち返す。行いを丁寧にすれば、心の内も平たんになる。また逆も。(高橋正子)
キイチゴは木苺のことで、苺が草になるのに対し、木になるのでこう呼ばれる。仲間が非常に多いので、キイチゴ類と表現するのが正しい。分類上は、バラ科キイチゴ属(Rubus)の植物で、わが国には基本種だけで約40種が自生する。
キイチゴ属の地上部は、1年で枯れるものから数年生きるものまであるが、大半は2年を寿命とする。つまり、1年目は枝を伸ばして葉を展開し、2年目に開花、結実して枯れる型が多い。花が咲いて茎が枯れるのは、草の特徴であり、茎は木質化してはいるものの、キイチゴ属は基本的には、草本の性質を持っているわけである。「竹は木か草か」の命題は、今でも我々を悩ませているが、キイチゴに関しては、草ということで解決済みということになる。
「木苺」は初夏の季題である。俳句では果実の成熟する時期に視点を合わせている。ただし、近代に入ってから使われた季語のようで、江戸期の句は見つかっていない。
木苺は前にも述べたように40種にも及ぶキイチゴ属の総称である。しかし、仙台市周辺で人気のあるのは、モミジイチゴで、他のキイチゴ類には、あまり興味がないようである。葉の形がモミジに似るのでこの名があり、果実は文字通り黄苺で、わずかな酸味と十分な甘味があって、そのみずみずしさはキイチゴ属では最上である。林縁部や林道の沿線に生え、手ごろな高さに実るので、里山の子供たちにとっても重要なおやつになっている。
山路行くや木苺取って食ひながら 村上 鬼城
木苺を摘みもて辿る塩の道 石井 桐陰
木苺のしたたるばかり熟れにけり 布施 大望
木苺に滝なす瀬あり峡の奥 水原 秋桜子
書庫までの小径木苺熟れてゐる 山口 青邨
「木苺の花」は初春の季語。モミジイチゴの花は、純白5弁で野生の清々しさがあり美しい。
よく見れば木苺の花よかりけり 高浜 虚子
燈台にはや木苺の花白し 山口 青邨
(宮城環境保全研究所のホームページより)
★木苺の花が小声に語り合う/高橋正子
★木苺の花が咲くなり森といい/高橋正子
木苺の実が生るところを知っている。そこに行けば毎年木苺が熟れているはずだが、たくさん実が熟れているのに出会うのは稀だ。そういうときは大変うれしい。ほとんどは、実が落ちたのか、だれか採ったのか、たった一個が残っているようなことが多い。熟れた実を宝石のように大事に持ち帰って、家人に見せる。
コメント
御礼
高橋正子先生
「揚ひばり」の句を正子先生の4/4の俳句日記にお取り上げ頂き、素晴らしい句評を賜わり厚く御礼申し上げます。
有難う御座いました。
◎春水の流るる音をパソコンに/高橋正子
春は降雨や雪解けなどで渓谷・河川・湖沼・畦田などは水嵩を増し、それがせせらぎ流れ、その上へ春の明るい日差しが照ると、冬涸れの後だけに、豊かに勢いづく感じがパソコンを打つ音にも伝わり、柔らかな調べのように静かな部屋に伝わりますね。
春らしい素晴らしい句ですね。