11月24日(土)

★枯草を踏みおり人に離れおり  正子
冬の野山は雑草が枯れつくし、物寂しい感じがします。その枯草を踏みながら歩いて行っていますと、だんだん人から離れてゆき、静かな冬の自然の光景に吸い込まれてゆくように感じました。「踏みおり」、「離れおり」とリズムよく詠まれていて、楽しいひとときを過ごされたことと思います。 (藤田裕子)

○キク科

[野紺菊/横浜市港北区松の川緑道]_[白嫁菜(シロヨメナ)/東京・自然教育園]

★黄と白の小花が好きで野の菊よ/高橋信之

 野紺菊(ノコンギク、学名:Aster microcephalus var. ovatus)は、キク科シオン属の多年草で、ごくありふれた野菊の1つ。道ばたでもよく見かける植物である。ヨメナに非常に似ている。ただし種内の変異は大きく、同種とされるものにはかなり見かけの異なるものがある。地下茎が横に這い、あちこちから枝を出すので、まとまった群落を作りやすい。茎は立ち上がって枝を出し、高さは50-100cmに達するが、草刈りをされた場合など、はるかに小さい姿でも花をつけている。根出葉は柄があって卵状長楕円形、茎葉は柄がなくて卵状楕円形から卵形で三行脈、縁には粗くて浅い鋸歯が出る。いずれも葉の両面ともに短い毛がある。根出葉は花時にはなくなる。花は8月から11月頃まで咲く。茎の先端の花序は散房状で、頭花は径2.5cmほど、周辺の舌状花は細長くて紫を帯びた白から薄紫、中央の管状花は黄色。痩果は長さ1.5-3mmで先端には4-6mmの冠毛が多数ある。名前の由来はコンギクが紺菊で、ノコンギクは「野生のコンギク」とのこと。なお、伊藤左千夫の小説『野菊の墓』の野菊がこれではないかとの説がある。
 もっともよく似ているのはヨメナである。葉の形、花の色形まで非常によく似ている。ヨメナは時に野菊の代表とされ、辞典等では野菊をヨメナの別称とする例もあり、はるかに知名度が高い。しかし実際には両者はよく似ている上に分布も重複しており、同じような環境によく見かけられるから、両者混同されてヨメナと呼ばれていることが多いと思われる。もっともはっきりした違いは、ヨメナの種(果実であるが)には冠毛がないことで、花期が終わった花序があれば一目でわかる。葉の両面に毛があることも、ほぼ無毛のヨメナとは異なるが、あまり目立たない。
 白嫁菜(シロヨメナ、学名:Aster ageratoides subsp. leiophyllus)は、キク科シオン属の多年草である。いわゆる「野菊」の仲間で、主として林縁などの半日陰になるような場所に自生する。草丈50cm前後、しばしば1m近くになり、上部で花茎を分け、初秋から秋の初めまで、茎頂で花茎を分けて径1.5~2cm前後のやや小さい白色のキク型の花を皿型(散房状)につける。葉は、長さ10cmほどの長楕円形で葉先は鋭三角形で、粗い鋸歯(葉の縁のギザギザ)がある。名は「ヨメナ」だが「ヨメナ属」ではなく「シオン属」。ノコンギク(Aster ageratoides)の亜種(subsp. leiophyllus)とされ、シロヨメナには数種の変種が知られていて、神奈川県には葉が細長い「サガミギク(var. harae)」が分布する。関東地方には、ノコンギク、カントウヨメナ、ユウガギク、シラヤマギク、シロヨメナやリュウノウギクが分布する。リュウノウギクも分布する。なお、「シオン」は本来中国地方~九州・北東アジアに自生していたとされるが、美しいので平安時代に日本各地に植栽されたようである。

○今日の俳句
桜紅葉園児らの声透りくる/藤田裕子
園児の声が透るほど、桜紅葉が色美しい。空気が澄んでいるためであろうし、昼夜の温度の差が桜紅葉を美しく仕上げたことにもよるだろう。かわいい声が桜紅葉をさらに美しくした。(高橋正子)

◇生活する花たち「冬薔薇①②・ウィンターコスモス」(横浜いずみ野/カフェ・ド・ダラ)


コメント

  1. 藤田裕子
    2012年11月19日 22:53

    お礼
    正子先生、今日の俳句に「桜紅葉」の句をお取り上げくださいまして有難うございます。瑞応寺の光景でした。懐かしく思い出させていただきました。

    ★枯草を踏みおり人に離れおり 
     冬の野山は雑草が枯れつくし、物寂しい感じがします。その枯草を踏みながら歩いて行っていますと、だんだん人から離れてゆき、静かな冬の自然の光景に吸い込まれてゆくように感じました。「踏みおり」、「離れおり」とリズムよく詠まれていて、楽しいひとときを過ごされたことと思います。