11月16日(金)

★落葉ふる空の青さのどこまでも  正子
落ち葉降る時期となった初冬の大空は、まだ秋の気配を残していて空も澄み青々としています。葉が落ちてくる向こう側には、その青空がどこまでも広がって気持ちよいです。 (高橋秀之)

○今日の俳句
大根を手に余らせてすりおろす/高橋秀之
大きな水気たっぷりの大根がすぐさま思い浮かぶ。手に余るほどの大根を摩り下ろすのは、ちょっと大変だが、それも大根らしいところ。(高橋正子)

○木賊

[木賊/横浜日吉本町]

★ものいはぬ男なりけり木賊刈り/大島蓼太
★笠一ッ動いて行くや木賊刈/正岡子規
★子を負ふて木賊刈る里の女哉/正岡子規
★木の国は義仲育て木賊刈る/坂内康花
★深淵は空にありけり木賊刈る/八田木枯
★悪声の鳥来る木賊刈り頃に/三浦照子
★木賊刈るや雪のにほひの絶縁状/塚本邦雄
★こもれびを受けて木賊の青眩し/大津留公彦

木賊を見るときは、いつも、世の中には、面白い植物もあるものだなと思う。そして、いつも「けんけんぱ」の遊びを思い出す。庭の踏み石の端などに木賊が生えている。その踏み石の配置が、子供には、「けんけんぱ」の遊びに都合よいように思えた。正式の遊びは、地面にロウセキで丸を描いて遊ぶ。時には、薬缶に水を汲んできて、土に水で丸く輪を描いた。水が乾けば、また描きなおすのだ。

★木賊生う秋の日差しは斜めから/高橋正子

 トクサ(砥草、木賊、学名:Equisetum hyemale L.)とは、シダ植物門のトクサ科トクサ属の植物。本州中部から北海道にかけての山間の湿地に自生するが、観賞用などの目的で栽培されることも多い。表皮細胞の細胞壁にケイ酸が蓄積して硬化し、砥石に似て茎でものを研ぐことができることから、砥草の名がある。地下茎があって横に伸び、地上茎を直立させる。茎は直立していて同じトクサ科のスギナやイヌドクサ、ミズドクサの様に枝分かれせず、中空で節がある。茎は触るとザラついた感じがし、引っ張ると節で抜ける。節の部分にはギザギザのはかま状のものがあって、それより上の節の茎がソケットのように収まっているが、このはかま状のぎざぎざが葉に当たる。茎の先端にツクシの頭部のような胞子葉群をつけ、ここに胞子ができる。その姿のおもしろさから、庭で栽培されることもある。
 茎は煮て乾燥させたものを紙ヤスリのようにして研磨の用途に使う。また紙ヤスリが一般的な現代でも高級なつげぐしの歯や漆器の木地加工、木製品の作業工程などの磨き仕上げる工程に使用されていることや、音楽家の滝廉太郎は、身だしなみに気を遣ったため、常々トクサで爪を磨いていたことがよく知られている。クラリネットなどのリード楽器の竹製リードを磨いて調整するのにもトクサが用いられる。干した茎は木賊(もくぞく)と呼ばれる生薬で、その煎液を飲用すると目の充血や涙目に効果があるといわれている。小話に、明治時代の郵便夫が、わらじがあまりにすり減るのを嘆き、すり減らなさそうな材料としてトクサを使う話がある。その結果、足先からすり減って頭だけになった郵便夫は、頭を鞄に片づけて帰ったという落ちである。
 「木賊刈る」は秋の季語。

◇生活する花たち「冬薔薇①②・ウィンターコスモス」(横浜いずみ野/カフェ・ド・ダラ)


コメント

  1. 高橋秀之
    2012年11月17日 16:51

    お礼とコメント
    コメント
    ★落葉ふる空の青さのどこまでも  正子
     落ち葉降る時期となった初冬の大空は、まだ秋の気配を残していて空も澄み青々としています。葉が落ちてくる向こう側には、その青空がどこまでも広がって気持ちよいです。

    【お礼】
    今日の俳句に「大根を手に余らせてすりおろす」の句をお取りあげくださりありがとうございます。
    実家の家庭菜園で取れた自家製の大根だったと記憶していますが、瑞々しい大根でした。