9月ネット句会清記

■9月ネット句会■
■清記/21名63句

01.蜩の声にやすらぐ日暮かな
02.コスモスの小さく揺れて風を待ち
03.蕎麦の花伸びれば覗く空の青
04.庭先の桔梗を切りて花器満たす
05.松葉きらきらと白露の雨の粒
06.結納の支度整う白露の日
07.蝉の声いつしか虫と入れかわる
08.廃屋の増えゆく里や白木槿
09.ゆらゆらと日なたの方へ秋の蝶
10.お勤めの木魚聞こゆる白露かな

11.丘上に辿り愛でれば萩の雨
12.風鎮み秋の夕日の入りにけり
13.空模様なかなか定まらぬ白露
14.長雨や二百十日を過ぎてより
15.二〇二〇年の暦を見る秋
16.竹の春街道沿いに浅緑
17.朝顔の種とる夕べ次の代思う 
18.秋の朝行き交う人あり手を振って
19.素焼き乾す庭へすいっと秋茜
20.雨上がり確と青柿艶増せり

         
21.稜線のくっきり帰燕の空となり
22.川風に日ざしの和む秋のばら
23.新涼や青磁の花瓶透かし彫
24.一瞬のしじまをやぶり虫すだく
25.森を抜け丘を目指せば彼岸花
26.秋の旅しているつもり日本地図
27.話しかけ八重の木槿の揺れを止め
28.秋冷の朝(あした)することサラと済む
29.蜩の声を残して去っていく
30.浜に立ち他所の空から遠花火

31.日曜の秋に包(くる)まり朝寝坊
32.里山に忙しく鳴けり法師蝉
33.鈴懸の黄葉(もみじ)し初むる広き道
34.薄日差す秋めく朝の軒雀
35.秋の蝶曲線描いて大空へ
36.港から天に向かいて秋の虹
37.夕暮れの窓七色に秋の虹
38.稲の香の風に放たれ刈られゆく
39.篭盛りの秋茄子縁より届けらる
40.真昼の日稔田をかく輝かす

41.孫生れし報のやすらぎ涼新た
42.みどり児のうまいいとしく銀河濃し
43.唐黍を囓る反っ歯の童かな
44.転た寝や羽化登仙の菊枕
45.関八州またぎ竜巻秋暑し
46.今朝の秋梢をわたる風の声
47.鎮魂の花火映すや信濃川
48.平和願う黙祷三度八月や
49.子の名前考え始む虫の夜
50.巣を揺らし蜘蛛が朝日を輝かす

51.友の背を叩き土俵へ送り出す
52.長皿の鮎にまっすぐ黄色い線
53.提げて重い梨の袋のいい香り
54.明るくて静かなお盆の電車の窓
55.灯ともして子ども声よ鉦叩
56.尾も鰭も澄みたる色の下り鮎
57.落鮎に河の雫のきらめける
58.秋蝉じじと鳴く森の中へ中へ
59.秋陽降る森の葉っぱを透かせ降る
60.虫が鳴くその奥にまた虫が鳴く

61.天高し友の訃報を胸に抱き
62.湯上りの秋の団扇を読みくらべ
63.咲くうちはそのままにおく秋の花


◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、9月8日(日)午後7時から始め、同日(9月8日)午後10時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、9月9日(月)午前9時です。
※2) 伝言・お礼等の投稿は、9月9日(月)午前9時~9月10日(火)午後6時です。

9月8日(日)

★虫籠に風入らせて子ら駈ける  正子
夕べの原っぱを駆ける、子らの虫籠へ真っ先に入るのは、きっと澄んだ秋風でしょう。籠をからからと鳴らし吹き渡る風に、虫の音への想いも募ります。さあ、籠にはどんな虫が入ったのでしょうか。(川名ますみ)

○今日の俳句
秋風に洗濯物のやさしい色/川名ますみ
一読、「やさしい色」に納得した。秋風に吹かれる洗濯物が、やわらく、色もやさしい。秋の日差し、風の具合のせいもあるだろう。(高橋正子)

○曙草

[曙草/国立公園尾瀬]       [曙草/ネットより]

★曙草日差せば水のほの匂ふ/小松崎爽
★曙草晩秋の虚追憶す/荒川じんぺい

一昨年8月27日と28日尾瀬に出かけた。暑い日差しにも関わらず、尾瀬は初秋を迎えていた。水芭蕉やゆうすげの季節は過ぎていたが、今思い返すと、咲き残る夏の花や初秋のさわやかな花々に多く出会えたのは随分幸運だった。曙草は、星形の五弁の白い2センチほどの花に、紫いろの斑点と黄緑色の丸い点がある。そういうのが曙草と知っていればすぐに見分けがつく。ところが私が見たのは、花弁が6弁。そのほかは曙草の特徴を持つ。これも、山小屋にある尾瀬の植物図鑑で調べたが、6弁あるものについては記述を見つけることができなかった。曙草の花は白とは言うが、丸い点のせいで、黄緑がかって見える。これを夜明けの星空と見たようだ。曙草は尾瀬ヶ原でも奥のほうにある赤代田へ辿る木道の脇で見つけた。夕方4時までには山小屋に着きたい一心で歩いていたのだが、「私はここよ」という感じで、足を引き留められ写真を撮った。山小屋で寝ながら思った。山の出立は早い。早朝4時に出発する人たちも中にはいる。そんな人たちは夜明けの星空を見るのだが、曙草はその人たちが名づけた名前かもしれないと。

★尾瀬に泊(は)つ曙草を見し日には/高橋正子
★目を落とす湿原帯の曙草/〃

アケボノソウ(曙草、Swertia bimaculata)は、リンドウ科センブリ属の多年草。北海道から九州の、比較的湿潤な山地に生育する。花期は9-10月。湿地や林床などの、比較的湿った場所に生える。2年草であり、発芽後1年目はロゼットのまま過ごす。2年目に抽苔し、高さ80cm程度まで茎を伸ばす。茎の断面は四角形で、葉は10cm程度の卵状で互生する。ロゼットの根生葉は柄があるが、茎生葉は柄がないことが特徴的である。9-10月の花期、分枝した茎の先端に径2cm程度の白い花をつける。花は5弁で星型。花弁には紫色の点と、黄緑色の特徴的な丸い模様がつく。和名アケボノソウの名前は、この模様を夜明けの星空に見立てた名前。別名キツネノササゲ。

◇生活する花たち「女郎花・葛の花・萩」(四季の森公園)