1月8日(水)

★蝋梅を透かせて空は大いなる  正子
まだ寒い中咲きはじめる蝋梅ですが、晴れた日などまさに大空に日を透かせるように咲く蝋梅が思われます。 (小川和子)

○今日の俳句
  治水橋
何処までも青空冴ゆる橋向こう/小川 和子
人は「橋」に特別な思いを寄せることが多い。橋の向こうは、知らない町へと続く。橋向こうの冴えた青空にその続きを思うこともある。(高橋正子)

○福寿草(元日草)

[福寿草/横浜・四季の森公園]

★花よりも名に近づくや福寿草 千代女
★小さくても昇殿すなり福寿草 一茶
★暖炉たく部屋暖かに福寿草 子規
★日の障子太鼓の如し福寿草 たかし
★南窓にはれし筑波や福寿草/大竹孤悠
★福寿草家族のごとくかたまれり/福田蓼汀
★福寿草ひらきてこぼす真砂かな/橋本鶏二

 フクジュソウ(福寿草、学名:Adonis ramosa)は、キンポウゲ科の多年草。別名、ガンジツソウ(元日草)。毒草である。1月1日の誕生花。日本では北海道から九州にかけて分布し山林に生育する。シノニム(同一種を指す同意語)の種小名である amurensis は「アムール川流域の」という意味。花期は初春であり、3-4cmの黄色い花を咲かせる。当初は茎が伸びず、包に包まれた短い茎の上に花だけがつくが、次第に茎や葉が伸び、いくつかの花を咲かせる。この花は花弁を使って日光を花の中心に集め、その熱で虫を誘引している。その為、太陽光に応じて開閉(日光が当たると開き、日が陰ると閉じる)する。葉は細かく分かれる。夏になると地上部が枯れる。つまり初春に花を咲かせ、夏までに光合成をおこない、それから春までを地下で過ごす、典型的なスプリング・エフェメラルである。根はゴボウのようなまっすぐで太いものを多数持っている。
 春を告げる花の代表である。そのため元日草(がんじつそう)や朔日草(ついたちそう)の別名を持つ。福寿草という和名もまた新春を祝う意味がある。江戸時代より多数の園芸品種も作られている古典園芸植物で、緋色や緑色の花をつける品種もある。正月にはヤブコウジなどと寄せ植えにした植木鉢が販売される。ただし、フクジュソウは根がよく発達しているため、正月用の小さな化粧鉢にフクジュソウを植えようとすると根を大幅に切りつめる必要があり、開花後に衰弱してしまう。翌年も花を咲かせるためには不格好でもなるべく大きく深い鉢に植えられたフクジュソウを購入するとよい。露地植えでもよく育つ。また、根には強心作用、利尿作用があり民間薬として使われることがある。しかし、毒性(副作用)も強く素人の利用は死に至る危険な行為である。薬理作用、毒性共にアドニンという成分によるものと考えられている。花言葉は永久の幸福、思い出、幸福を招く、祝福。

◇生活する花たち「冬桜・水仙・万両」(横浜日吉本町)

1月8日

●小口泰與
夕照のひろぐや里の虎落笛★★★
利根川の波のいつくし冬の月★★★
一天をおし広げたる空っ風★★★★
空っ風が何もかも一掃して天も押し広げられた。空っ風のすざましさ。(高橋正子)

●桑本栄太郎
玄関の軒端明かりや花八手★★★
剪定の瘤さめざめと冬木立★★★
ひつそりと裏の庭木や枇杷の花★★★

●多田有花
寒四郎静かな雨の続く午後★★★
赤色灯回る後ゆく寒の雨★★★
詰襟が傘さし帰る松の内★★★★
詰襟に傘と言えば、実直な学生。詰襟の学生服の黒い色が松の内の意義を正しているようだ。(高橋正子)

●佃 康水
蒼天へ躍り出でたる梯子乗り★★★★
高々と空に突き出した梯子。それに乗る梯子乗りは、蒼天の中に一人躍り出して鮮やかな芸を見せる。「躍り出でたる」が梯子乗りを活写している。(高橋正子)

餅花や饅頭高く積み売られ★★★
早や七日ほっぺを染めて登校児★★★

●小西 宏
枯芝の広場に朝日やわらかし★★★
広がって枝の欅の冬明るし★★★
白線を引いて駆けっこ北風に★★★★
白線が北風の中で潔く、印象に残る。駆けっこをするにもスタートラインが引かれ、本気さが見える。(高橋正子)

●古田敬二
冬耕の鍬先きらり光らせて★★★★
夕べ早し畑に独り抜く大根★★★

庭師去り庭に広がる冬陽かな★★★★
庭師が来て剪定したあと、木の枝葉もすっきりと取り払われ、掃除もされて、冬陽が庭に燦燦と降り注ぐ。庭も広くなった感じだ。(高橋正子)