■2017年雛祭りネット句会■
■入賞発表/2017年3月6日
【金賞】
★乗換えて船場のひいなに会い嬉し/祝恵子
船場は大阪の江戸時代からの商業の中心地。財をなした商家もあって、由緒ある雛人形が保存されているのであろう。はるばると乗り継いできてあった雛のゆかしさ。作者の嬉しさが伝わる。(高橋正子)
【銀賞2句】
★春立ちぬ朝のサラダの鮮やかに/古田敬二
寒い冬から抜けて春立つ朝を迎えた。朝食のサラダも色鮮やかで、フレッシュだ。春の軽やかさがいい。(高橋正子)
★駅中に園児の描いた雛並ぶ/高橋秀之
駅中はいろんな人が忙しく通る。園児の描いた雛人形を、微笑ましく見て通ったことだろう。駅中が雛の絵に和む。(高橋正子)
【銅賞2句】
和服着し子等かたまりて雛巡り/佃 康水
雛祭の日に和服を着せてもらって嬉しい女の子たち。かたまって家々の雛を見て巡る。振る舞いもおのずとしとやかに。雛の日の華やぎが微笑ましく思われる。(高橋正子)
全快を祈り飾らる雛人形/多田有花
雛人形に託した祈りは、全快。女の児の健やかな成長を願って飾られるひな祭りの原義そのもの。(高橋正子)
【高橋信之特選/5句】
★乗換えて船場のひいなに会い嬉し/祝恵子
「会い嬉し」と下五を終え、読み手も嬉しくなる。「船場のひいな」に会いたくなるのだ。(高橋信之)
★春立ちぬ朝のサラダの鮮やかに/古田敬二
上五の季題「春立ちぬ」がいい。季節の嬉しさ、生活の喜びがまさに「鮮やかに」伝わってくる。(高橋信之)
★駅中に園児の描いた雛並ぶ/高橋秀之
上五の「駅中に」がいい。日常生活の中での俳句で、生活のリアルを表現した。(高橋信之)
★全快を祈り飾らる雛人形/多田有花
「全快を祈り」と言い切って、嬉しい俳句だ。下五の「雛人形」が優しい。(高橋信之)
★和服着し子等かたまりて雛巡り/佃 康水
中七の「かたまりて」がいい。いい言葉だ。(高橋信之)
【高橋正子特選/5句】
★乗換えて船場のひいなに会い嬉し/祝恵子
★春立ちぬ朝のサラダの鮮やかに/古田敬二
★駅中に園児の描いた雛並ぶ/高橋秀之
★春風が遠くの海の香運びくる/高橋秀之
★和服着し子等かたまりて雛巡り/佃 康水
【入選/5句】
★雛祭それぞれ話す幼き日/高橋句美子
★改札を出てチューリップを過る/高橋句美子
★雨あがりの日差し明るし雛祭/多田有花
★巣箱あり作りし子の名はっきり/祝恵子
★古民家の床艶やかや御殿雛/佃 康水
■選者詠/高橋信之
★今日立春と独り言を言う
★立春の朝よ胸いっぱいの息吸う
★立春の一日が静かに過ぎる
■選者詠/高橋正子
★春立てりマジックショーの人だかり
★赤き芽を白く弾かせ猫柳
★飛び移る笹音させて笹鳴きす
※コメントのない句にコメントをお願いします。
★海に向き伊豆の椿の紅きなり 正子
春の暖かな日を浴びてつやつやした葉の間に大輪の艶麗な紅の花を咲かせる椿の素晴らしさと伊豆の踊り子の小説を思い出させていただきました。ありがとうございます。(小口泰與)
○今日の俳句
大屋根の雪解滴や光りあう/小口泰與
「大屋根」にインパクトがある。雪解滴もあちこちから滴り、賑やかに光りあう。(高橋正子)
○椿

[椿/横浜日吉本町]
★赤門を入れば椿の林かな/正岡子規
★飯食へばまぶたに重き椿かな/夏目漱石
★十本に十色の椿わが狭庭/稲畑汀子
★咲き出でて汝こそ真処女白椿/林翔
★虚子の忌の風たをやかな椿山/皆川盤水
★侘助や波郷破顔の大写真/水原春郎
★またひとつ鉦に落ちけり藪椿/言水
★一日を陽を見ぬ谷戸の藪椿 鈴木卓
★藪椿かがやく電車停まるたび/小島みつ代
★城垣の石の番号藪椿/大塚禎子
★侘助や茶釜に湯気の立っており/多田有花
★慎ましき白き椿の初あらし/高橋信之
★侘助へ寺の障子の真白かり/高橋正子
★日表も葉影も侘助うす紅/高橋正子
★庭の樹の間に咲けり初あらし/高橋正子
ツバキ(椿)は、ツバキ科ツバキ属の植物、学名Camellia japonicaであり、日本原産の常緑樹。野生種の標準和名はヤブツバキ。国内外でヤブツバキや近縁のユキツバキから作り出された数々の園芸品種、ワビスケ、中国・ベトナム産の原種や園芸品種などを総称的に「椿」と呼ぶが、同じツバキ属であってもサザンカを椿と呼ぶことはあまりない。照葉樹林の代表的な樹木。花期は冬から春にかけてにまたがり、早咲きのものは冬さなかに咲く。「花椿」は春の季語であるが、「寒椿」「冬椿」は冬の季語。海柘榴とも表記する。花が美しく利用価値も高いので万葉集の頃からよく知られたが、特に近世に茶花として好まれ多くの園芸品種が作られた。美術や音楽の作品にもしばしば取り上げられている。
日本のツバキはヤブツバキ、ユキツバキ、ワビスケ。
ヤブツバキ(原種)は、南西諸島から青森県夏泊半島まで分布している。これはツバキ属の自生地の北限である。西日本にはほぼ全域に分布しているが、東日本では温暖な地域に自生している。
ユキツバキ(雪椿)は、花糸が黄色 ユキツバキの学名はCamellia rusticana (シノニム:Camellia japonica var. decumbens/Camellia japonica subsp. rusticana)。上記のヤブツバキとは別種、またはヤブツバキの豪雪地帯適応型変種、あるいは亜種という見解があり、ヤブツバキに比べ、枝がしなやか、花弁が水平に開く、等の特徴がある。花の変異が多く八重咲きの品種改良に大きく貢献した。別名サルイワツバキ。ヤブツバキとの交雑系統を「ユキバタツバキ」と呼ぶ。
ワビスケ(侘助)は、中国産種に由来すると推測される「太郎冠者(たろうかじゃ)」という品種から派生したもの。「太郎冠者」(およびワビスケの複数の品種)では子房に毛があり、これは中国産種から受け継いだ形質と推測される。一般のツバキに比べて花は小型で、猪口咲きになるものが多い。葯が退化変形して花粉を生ぜず、また結実しにくい。なおヤブツバキの系統にも葯が退化変形して花粉を付けないものがあるが、これらは侘芯(わびしん)ツバキとしてワビスケとは区別される。 花色は紅色~濃桃色~淡桃色(およびそれらにウイルス性の白斑が入ったもの)が主であり、ほかの日本のツバキには見られないやや紫がかった色調を呈するものも多い。少数ながら白花や絞り、紅地に白覆輪の品種(湊晨侘助)などもある。 名前の由来としては諸説あり、豊臣秀吉朝鮮出兵の折、持ち帰ってきた人物の名であるとした説。茶人・千利休の下僕で、この花を育てた人の名とする説。「侘数奇(わびすき)」に由来するという説。茶人・笠原侘助が好んだことに由来する説などがある。
◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)
