4月26日(金)

★明け初めし空の丸さよ柿若葉  正子
だんだんと明るくなり始めた夜明けの空、まろやかに澄んだ空気に包まれて、萌え出た柿の新葉がいっそう柔らかにみずみずしく感じます。やがて訪れる若葉の輝く明るい季節が思われます。(藤田洋子)

○今日の俳句
春光につつまれし身のときめきよ/藤田洋子
この句を読むと、もの静かで明るい若い母親の姿が浮かぶ。うす紫の丸いヨークのセーターが、春光の中で、肩までの黒髪に映えていた。(高橋正子)

○石楠花(しゃくなげ)

[石楠花/横浜日吉本町・金蔵寺]      [石楠花/横浜箕輪町・大聖院]

★石楠花や朝の大気は高嶺より/渡辺水巴
★空の深ささびし石楠花咲きそめぬ/角川源義
★石南花や水櫛あてて髪しなふ/野沢節子
★ほぐれんとして石南花の大蕾/岡田日郎
★石楠花の頃は過ぎたり咲き残り/清崎敏郎
★石楠花の色濃くなりぬ朝の雨/緒方 輝

 シャクナゲ (石楠花、石南花) は、ツツジ科ツツジ属 (Rhododendron) 無鱗片シャクナゲ亜属、無鱗片シャクナゲ節の総称である。主に低木だが、高木になるものもある。また、日本ではその多くのものがツツジと称される有鱗片シャクナゲ亜属のものを欧米では Rhododendron と呼んでいるので注意が必要である。ただし、有鱗片シャクナゲのなかでも、ビレア(マレーシアシャクナゲ)の仲間は、カワカミシャクナゲのように、日本でもシャクナゲと呼んでいる。
 Rhododendron としては主として北半球の亜寒帯から熱帯山地までのきわめて広い範囲に分布し、南限は赤道を越えて南半球のニューギニア・オーストラリアに達する。特にヒマラヤ周辺には非常に多くの種が分布する。いずれも派手で大きな花に特徴がある。花の色は白あるいは赤系統が多いが、黄色の場合もある。
 シャクナゲは葉にロードトキシンことグラヤノトキシンなどのケイレン毒を含む有毒植物である。摂取すると吐き気や下痢、呼吸困難を引き起こすことがある。葉に利尿・強壮の効果があるとして茶の代わりに飲む習慣を持つ人が多く存在するが、これはシャクナゲに「石南花」という字が当てられているため、これを漢方薬の「石南(オオカナメモチ)」と同一のもの(この2つに関連性はない)と勘違いしたためであり、シャクナゲにこのような薬効は存在しない。シャクナゲは常緑広葉樹にもかかわらず寒冷地にまで分布している。寒冷地に分布する種類のなかには、葉の裏側を中にした筒状にして越冬するハクサンシャクナゲなどがある。日本にも数多くの種類のシャクナゲが自生しているが、その多くは変種であり、種のレベルでは4種または6種に集約される。このほか、園芸用品種として数多くの外国産のシャクナゲが日本に導入されており、各地で植栽されている。

○生活する花たち「都忘れ・おだまき・卯の花」(東京浅草)

4月26日(金)

●小口泰與
通り雨楓の花に朝日かな★★★
フロントのガラスを占むる落花かな★★★
たんぽぽや窓明け放す丸太小屋★★★★
丸太小屋は草原にあるのか。窓を開け放すと地に低く咲くたんぽぽが見える。アメリカの草原を思わせるような光景だが、日本にもあるのだろう。(高橋正子)

●河野啓一
鶯の声絶え間なし明日香村★★★
斑鳩に遠き鐘の音春は行く★★★
鯉のぼり風呑みこんで宙に浮く★★★

●迫田和代
朝日浴び周りを明るく白躑躅★★★
葉桜を川面に浮かべゆったりと★★★
夏近し木陰の口笛冴えた音(ね)を★★★★
木陰で口笛を吹く人がいる。きれいな冴えた口笛の音色に、木陰がすずやかだ。夏も近い。(高橋正子)

●佃 康水 
 ひろしま菓子博2013
菓子博の途切れぬ列へ若葉萌ゆ★★★
川風へ応へ名残りの花揺れる★★★ 
牡丹の崩れ一ひら書に挿む★★★  

●黒谷光子
佛器みな光らせ迎う法然忌★★★
八朔も餅も供物に御忌法要★★★
三幅の絵伝を掛けて法然忌★★★

●多田有花
沖は晴れ頂過ぎる春時雨★★★
チューリップ数多の風姿を見せて咲き★★★
春の森万の色して風に揺れ★★★

●桑本栄太郎
園児等のつなぐ手つづき野遊びへ★★★★
園児たちが手をつないで、次に来る園児も手をつないで、みんなで野原へ遊びにゆく。可愛らしく、のどかな光景。(高橋正子)

甘き香の青空見上げ藤の棚★★★
吹き抜ける風に羽音や虻の昼★★★

●小西 宏
スカイツリーの脚線うらら川下り★★★
燕交う夕暮の空四分して★★★
肩寄せて苺つぶして語りし夜★★★★

●川名ますみ
初蝶の横切るを待ち発車せむ★★★
水木咲くほどに水面へ枝近し★★★
春風や髪に挿さりし花の蘂★★★