5月21日(火)

★アカシヤの花に青空寄りかかる  正子
アカシヤの花は甘い芳香があり、咲き満ちると、アカシヤの葉も花もなだれるように空をおおいます。まるで青空がアカシヤに寄りかかっているようです。(小川和子)

○今日の俳句
青紫蘇を水に放ちてより刻む/小川和子
青紫蘇をしゃっきりと香りよく、細く切るためには、水に放して、いきいきとさせて刻む。水と紫蘇の出会いが涼しさを呼び起こしてくれる。(高橋正子)

○山ぼうしの花

[山ぼうし/横浜日吉本町]

★鳥寄せや夜眼ほのかなる山法師/水原秋櫻子
★山法師咲けば記憶のある山路/稲畑汀子
★その上の雲より白く山法師/林翔
★遥か見るとき遥かなる山法師/篠崎圭介
 京都
★早起きの眼に満開の山ぼうし/高橋信之

ヤマボウシ(山法師、山帽子、学名 Benthamidia japonica )はミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。高さ5~10メートル。幹は灰褐色。葉は対生し、楕円(だえん)形または卵円形で長さ4~12センチ、全縁でやや波打つ。花は6~7月に開き、淡黄色で小さく、多数が球状に集合し、その外側に大形白色の総包片が4枚あり、花弁のように見える。山地に普通に生え、本州から九州、および朝鮮半島、中国に分布する。街路樹・庭園樹・公園樹としても用いられる。材は器具材として用いられる。近縁にハナミズキ(アメリカヤマボウシ)があるが、こちらの果実は集合果にならず、個々の果実が分離している。

山法師は、ずっと以前はなじみがなかった。花みずき(アメリカヤマボウシ)が住宅地や並木に植えられるようになって(今や銀座の通りを飾るようになって)、山法師を知ったといってもいい。その名前が愉快ではないか。松山に住んでいたころは、近くの総合公園に山法師があった。階段となった坂道なので、花を間近に真上から見ることができた。そういえば、似たような花に、小石川植物園のハンカチの木がある。そろそろ白い包片をひらつかせているころか。
★山に入り身近な花の山法師/高橋正子

◇生活する花たち「未央柳(びようやなぎ)・釣鐘草・卯の花」(横浜日吉本町)

5月21日(火)

●小口泰與
初夏の朝赤城の大気浴びにけり★★★
ぼうたんの崩れて萼のくっきりと★★★
雲ゆくや君影草のはやおわんぬ★★★

●迫田和代
青い風新緑燃える峠道★★★
雨の中大きく咲いた紫陽花を★★★

【原句】遠くから夏の野通る口笛や
【信之添削】遠くから夏の野通る口笛よ★★★★
和代さんの句によく登場する「口笛」。夏の野の向こうで吹いているのが、聞こえてくる。涼しい風が運んできたのだろう。何の歌かな、と思う。どんな人が吹いているのだろう、と思う。 (高橋正子)

●桑本栄太郎
賛美歌のながれみどりの青しぐれ★★★
濡れそぼつバスに乗り込む走り梅雨★★★
雨あがるバスの家路や柿の花★★★

●河野啓一
雲海を見んと起きだす山の宿★★★
古池に目高小蝦の群れて棲む★★★
若楓拡げて数多小さき手★★★

●小西 宏
谷一つ越えてけむれる若葉雨★★★
えごの花敷く山道に軽き脚★★★★
桑の実の熟れるを待てば夕の風★★★

●下地鉄
月桃の水面をゆらす頭かな★★★
聴く音に憂き事ばかり梅雨の空★★★
海芋さき花の白さに夜風かな★★★