6月19日(木)

★青梅と氷砂糖と瓶に透け/高橋正子
先日梅酒を漬けたばかりです。ホワイトリカーがないとすれば、梅のシロップ作りでしょうか。いづれにしても漬けて透き通った中身の青梅と氷砂糖のビンを見て、満足ですね。(祝恵子)

○今日の俳句
ピーマンの分厚く光るを収穫す/祝恵子
よくそだったピーマンの質感をよく捉えている。「分厚く」に納得。(高橋正子)

○繍線菊(しもつけ)

[しもつけ/横浜日吉本町]

★しもつけを地に並べけり植木売/松瀬青々
★繍線菊やあの世へ詫びにゆくつもり/古舘曹人
★しもつけの花を小雨にぬれて折る/成瀬政俊
★しもつけに肩ふれらるる家の角/岡田博允
★繍線菊やえんぴつ書きの母の文/山内八千代

しもつけは、近くの公団の植栽にある。白と赤、それに源平と呼ばれる紅白が混じったもの。泡のような小粒の蕾が集まっているのだが、それが弾けて可憐な花となる。花だけでなく、葉も魅力がある。花も葉もおしゃれな感じがする。こでまりや、ゆきやなぎの仲間なので、茎などはよく似ている。部屋に活けてみたい花だ。白がいいか、赤がいいか。どちらも欲しい。この花だけよりも、なにか他のものと合わせれば、もっといい花となる。

★しもつけの紅花備前に活けてみし/高橋正子

シモツケ(学名:Spiraea japonica)は、バラ科シモツケ属の落葉低木。漢名「繍線花」があてられる。別名、キシモツケ(木下野)とも呼ばれる。アジア原産地で、北海道から九州にかけての日本各地、朝鮮および中国の山野に自生する。成木の樹高は1mほどであり、初夏に小花(集合花)が傘状に群がり、淡紅色又は白色の五弁の花を沢山つける。秋には紅葉する。古くから庭木として親しまれてきた。和名は下野国に産したことに由来するという。同じシモツケ属の仲間にはコデマリ、ユキヤナギがある。 シモツケは富士山にも咲いている。寒さに強く、日当たりを好む。シモツケ(バラ科)花言葉は、いつかわかる真実。

◇生活する花たち「紫陽花」(北鎌倉・東慶寺)

6月17日-20日

6月20日

●小口泰與
五月雨や赤城の裾野たゆみなし★★★
水替えの目高を桶に通り雨★★★
山道をた走る水や雨蛙★★★★

●桑本栄太郎
蕊ふるえ未央柳の散り初めり★★★
緋の色の石榴の花に朝日かな★★★★
柘榴の花は、紅一点と詠まれただけに、万緑のなかで際立った色だ。それに朝日があたると、緋色ともなって、透き通るような鮮やか色だ。それを詠んだ。(高橋正子)

竹林の闇を風抜け朝涼し★★★

●高橋信之
早咲きの夾竹桃が学校に★★★★
キウイ棚しんとして風吹かぬ朝★★★
紅かんぞう少し離れた草叢に★★★

6月19日

●小口泰與
たのみなき草の生ゆるや青田波★★★
夕顔や浅間に夕日溜めており★★★★
道絶えし杣道の辺に連理草★★★

●桑本栄太郎
夏萩の白きこぼれや朝の路地★★★★
朱色濃き石榴の花に朝日かな★★★
泰山木の花に朽ち色出でにけり★★★

●小西 宏
夕暮に西空大き生ビール
【添削】夕暮の西空大き生ビール★★★★
暑かった日のおわりに飲む生ビールの美味しさは得難い。夕暮れの西の空もまだ明るくひろびろと広がって、解放感と明日へのささやかな希望を感じさせる。(高橋正子)

崖道の小暗に白き草清水★★★
尖る岩に小蟹潜める潮だまり★★★

●古田敬二
苗田静か吉野の山を逆さまに★★★★
【添削】植田静か吉野の山を逆さまに★★★★
「苗田」は、稲の苗を育てる田のことで、季節は春。稲の苗を植えたばかりの田は「植田」という。季節は夏。この句の情景は、吉野の山が逆さまに田面に映っているので、苗田ではなく植田が適切と思う。「吉野の山」がよく効いている。(高橋正子)

方丈の屋根から激し昼の梅雨★★★
白川の流れに触れて柳揺れ★★★

6月18日

●小口泰與
茄子苗や雨の力を溜むるなり★★★★
鮎釣りの辺をたもとおる釣人よ★★★
新築の家も映せし植田かな★★★

●河野啓一
道の駅新玉葱のあちこちに★★★★
島並を行けば広々夏の瀬戸★★★
松生うる浜の入日や詩碑ありて★★★

●祝恵子
道曲がれば西国街道梅雨曇り★★★
せせらぎへ矢印を指す祭り旗★★★
メダカ売る女学生の絵が可愛い★★★★(信之添削)

●多田有花
昼食を終えれば眠し梅雨曇★★★
灰色の守宮静かに壁の隅★★★
曇り空透かして蜘蛛の巣を張りぬ★★★★

●桑本栄太郎
蕊ふるえ未央柳や夕風に★★★
のうぜんの花の夕日に染まりけり★★★★
向日葵の早も標となりしかな★★★

6月17日

●小口泰與
上州の雷をたまわる過客かな★★★
たまゆらの瀬音を聞きし時鳥★★★★
玉の緒の薬にすがる大暑かな★★★

●小川和子
忽と来て縞の涼しき梅雨の蝶★★★
鈴懸の照る葉陰る葉みな青葉★★★
せせらぎに児ら飛沫上ぐ梅雨晴間★★★★

●桑本栄太郎
<四条大橋界隈>
沙羅の花落ちて決まりし建仁寺★★★★
茫洋とはるか鞍馬や夏の嶺★★★
鴨川の風の触れゆく川床座敷★★★

●多田有花
すべて田は植わりて空の色映す★★★★
どの田も植え終わり、田面の水は早苗を映し、空の色をあざやかに映している。日本画にもあるような光景だ。(高橋正子)

山路来てドリンクゼリーを流しこむ★★★
湯あがりの目に真白きは鴨足草★★★

●高橋秀之
風鈴の音が重なる商店街★★★★
商店街のあちこちの店先に風鈴を吊るして売っているのだろう。それらの風鈴の音が重なって、商店街に涼を醸している。(高橋正子)

大皿に四角が浮かぶ冷奴★★★
夏蝶の影が風呂場のすりガラス★★★

●小西 宏
蛍消え木の間の空に星見ゆる★★★★
蛍が飛ぶのは夕方。六時ごろから飛びはじめ八時か九時には消えている。蛍と交代するかのように木の間から星が一つ二つと見える。どちらも小さな、輝くものの明かり。(高橋正子)

子はすぐに大きくなりぬ花空木★★★
三浦より富士ある処梅雨の海★★★