4月19日(金)

★濃きお茶に春の灯しを入れて飲む  正子
春めいた日に濃い目のお茶を楽しんでおられます。ご家族ご一緒の一時でしょうか、春の灯しと共に。あたたかい雰囲気を感じます。(祝恵子)

○今日の俳句
カットする鏡に淡きチューリップ/祝恵子
髪をカットする様子が鏡に映っているが、その鏡に淡い色の、おそらく淡いピンクのチューリップが映っているのだろう。「淡い」と言ってチューリップの色や形を読者にゆだねたところに春らしさが出た。鏡の中に明るくやさしい春がある。(高橋正子)

 
○西洋おだまき

[西洋おだまき//横浜日吉本町(左:2012年6月15日・右:2013年4月18日)]

★をだまきや乾きてしろき吉野紙/水原秋桜子
★をだまきやどの子も誰も子を負ひて/橋本多佳子
★をだまきの花に風吹く陵の道/石原八束
★おだまきの花の造形こまやかに/高橋正子
★玄関の水栓隠す花おだまき/高橋正子
★西洋おだまき深山おだまき植え揃え/高橋正子

 西洋おだまきは、キンポウゲ科オダマキ属の耐寒性宿根草。花期4月ー6月。現在の日本で西洋オダマキと呼ばれているものは、ヨーロッパ原産のアクイレギア・ブルガリス(Aquilegia valgaris)と北米産の大輪の花を咲かせる数種との交配種をさすようになっています。オダマキの仲間はもともと雑種をつくりやすいこともあって、きわめて多数の園芸品種がありますが、多くの場合、国内では個々の品種名を明記せずに色別や混合種子の形で流通しています。いずれも丈夫な宿根草で、高さ30〜50cmになり、株の中心からまっすぐ伸びた茎に赤、黄、青紫、白、桃色などの4〜5cmの花を多数咲かせます。葉は根元にまとまってつきます。
 本来セイヨウオダマキの和名をもつアクイレギア・ブルガリスの変種に八重咲きのフローレ・プレノ(A. vulgaris var. flore-pleno)があり、変種のステラータ(A. vulgaris var. stellata)は同じ八重咲きでも、距(花の後ろに突き出した部分)のないタイプで八重咲きのクレマチスのような形の花を咲かせます。

◇生活する花たち「あおいすみれ・錨草・山吹草」(東京白金台・自然教育園)

4月19日(金)

●藤田洋子
陽を返す色一面の山躑躅★★★
山の日がまぶし躑躅の葉に花に★★★
展望台の陽射し広げて躑躅咲く★★★
展望台からの眺めに解放感があって、躑躅の花が輝き、初夏という季節の強さを思う。(高橋正子)

●小口泰與
もみじ咲く見上ぐる空は万華鏡★★★
チューリップ名残の花を挿しにけり★★★
老木のこぶに咲きたる桜かな★★★

●河野啓一
藤棚の房まだ上に向き★★★
気がつけば豊かにたれし藤の花★★★
そよ風の藤棚いつしか人去りて★★★

●迫田和代
何処(いずこ)より川面に揺れる花筏★★★
静かなり川土手の桜も葉桜に★★★★
満開の桜もよいが、花が散り、花蕊が降ってしまった後の葉桜には、安堵感や安らぎがある。川土手の葉桜の静けさにいい日常がある。(高橋正子)

青い空梨園に溢れる白い花 ★★★

●多田有花
うららかや小さき石橋を渡る★★★
春昼の池の蛙が鳴いており★★★
丘は晴れ霞桜のぽつぽつと★★★

●佃 康水
燕飛ぶ朱の廻廊へ婚の列★★★★
廻廊の朱と、燕に黒の強いコントラストが印象に残る。その華やかさと厳かさに婚儀の列が加わって、華やかさと厳かさが一層増した。(高橋正子)

能果てし帰船の入日よなぐもり★★★
少年ら雁木へ荷を置き磯遊び★★★

●桑本栄太郎
菜園の生垣めぐる新芽かな★★★
サンシェード下ろす車窓の春暑し★★★
秘めごとの吾にありしや著莪の花★★★