4月17日

●小口泰與
まれに見る春雨しげき山路かな★★★
鳥鳴きて落葉松萌ゆる山路かな★★★
竹秋や利根の流れの滔々と★★★

●小西 宏
山桜散りくる崖の空眩し★★★★
山桜が散るころは、もう初夏を思わせる日差しになる。崖から見える空は、特に眩しいほどだ。山桜が散るころの淡く眩しい空は、春と夏の季節の狭間の空である。(高橋正子)

色変えて森やわらかき木の芽色★★★
少女らの汗のごとくに躑躅咲く★★★

●小川和子
一抹の淋しさ残し散るさくら★★★
岐路の目に濃き桃色の花蘇芳★★★★
朝空へ浅黄に解れハナミズキ★★★

●桑本栄太郎
 富士五湖・精進湖
忽然と雲晴れ来たり春の富士★★★★
富士山の姿を楽しみに富士五湖を巡るが、残念ながら、山頂に雲がかかる時も多い。ところが忽然と雲が晴れて富士の雄姿が現れる。春の富士の山容を間近にした喜び。(高橋正子)

 富士五湖・西湖へ
陰雪の落葉松林のつづきけり★★★
 富士五湖・西湖、いやしの里
茅葺の村の水車や春の湖★★★

●黒谷光子
一木のまわり紅色落椿★★★
満開も葉を覗かせて桜かな★★★
ときどきは降る花を浴び池めぐる★★★

●多田有花
よく晴れて残花に風の心地よし★★★★
花も終わると、晴れた日には初夏を思わせるような風が吹く。残花に吹く風は心地よい。春を惜しむ間もなく、来る季節の明るさがすかっとした気持ちで詠まれている。(高橋正子)

八重桜見上げる空は薄曇り★★★
晩春の石段手をひかれおりる★★★

●古田敬二
春の陽に池面に揺らぐフラミンゴ★★★
春の水こぼしてまどろむヒグマかな★★★
貴婦人の歩み若葉のキリンかな★★★

4月17日(木)

★雉啼くや子二人育てつつ暮らす  正子
お子さんがまだ小さいころの御句でしょう。ふと鳴いた雉の声に耳をとめられました。
子育てに日々あわただしく過ごされている中にも、季節が巡り行くさまに感慨を覚えられた
ことと思います。(多田有花)

○今日の俳句
花びらの舞い散る中を山に入る/多田有花
花の舞い散る山は、花が終わりかけ、新緑に変わろうとする山で、季節の変わりざまが目に、体に感じ取れる。山には、いち早く季節がめぐって来ているようでもある。(高橋正子)

○昨日、4月16日に四季の森公園に出かけた。午前11時ごろ。梅干しおにぎりと、卵焼き、スナップえんどう。コーヒーとお茶をもってゆく。仲間や駅で、東京新聞と明治チョコレート、じゃがりこをファミリーマートで買った。
四季の森公園の管理事務所前の掲示で見ごろの植物を確かめるが、場所などが詳しくなく、探すのがむずかしい。辛夷や染井吉野は葉桜に。八重桜が満開。辛夷は、散り残った花がちらちら葉の中に残る。探し当てたもの。クマガイソウ、クサイチゴ、ヘビイチゴ、ツボスミレ、タチツボスミレ、ヤブレガサの新芽、石菖、木五倍子、セリバヒエンソウ、イロハモミジの花、キランソウ、カキドウシ、ムラサキゴケ、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、シャガ、トウゴクミツバツツジ、ハナミズキなど。プロムナード沿いの民家で十二単衣の青とピンク。帰宅は、3時過ぎ。
6時半ごろ、句美子の家に夕飯のおかずを持ってゆき、テーブルに置いてすぐ帰る。

石菖に沢水つねに流れ来る   正子
行く春の十二単衣の薄紅に   正子

○十二単衣(じゅうにひとえ)

[十二単衣/横浜・四季の森公園(2014年4月16日撮影)] 

★汝にやる十二単衣といふ草を/高浜虚子
★日を浴びて十二単衣の草の丈/岡本まち子
★行く春の十二単衣の薄紅に/高橋正子

 「ジュウニヒトエ(十二単)」は、シソ科キランソウ属の多年草で日本固有種です。学名:Ajuga nipponensis。開花時期:4月から5月。本州や四国に分布し、農道や山際などのやや湿った場所に生えます。草丈は15~20cmほどで、晩春に咲く唇形の花は茎の先に何段も輪生し、下から咲き上がってきます。
 ジュウニヒトエ(十二単衣)の和名は、花が重なり合って咲く姿を宮中の礼装として着用した十二単衣に見立てて付けられたものです。

◇生活する花たち「もっこう薔薇・草苺・葱坊主」(横浜日吉本町)