11月17日(日)

★夜は軒陰に白菜星をほしいまま  正子
白菜がまるで人格を持っていて、軒下で星を眺めているような感覚があります。楽しい御句です。(多田有花)

○今日の俳句
街に入るひとかたまりの冬田過ぎる/多田有花
「ひとかたまりの冬田」が面白い。街にはいるまでは 冬田の景色を楽しむ。それから賑やかな街へだ。(高橋正子)

○皇帝ダリア

[皇帝ダリア/川崎市高津区子母口]      [皇帝ダリア/横浜日吉本町]

★植ゑかへてダリヤ垂れをり雲の峰 秋櫻子
★ダリア燃え浅寝の眼にはゆらぐなり 悌二郎
★うちあげしあはれ形代と黄ダリヤ 青邨
★千万年後の恋人へダリヤ剪る 鷹女

★皇帝ダリア咲かせて空のあやふさに/高橋信之

 皇帝ダリア(ダリア・インペリアリス)は、ダリアの原種でメキシコ原産で、木立ちダリア、帝王ダリア等の別名がある。草丈が3~4メートルにもなり、花はピンク色で直径約20センチメートルの大輪の花を茎の頂上につける。晩秋の頃、空にそびえて立つ姿は圧巻。
 ダリア(英語: dahlia、学名:Dahlia hybrida)は、キク科ダリア属の多年生草本植物の総称。観賞用に栽培。根は塊根で紡錘形に肥厚。高さ1~2メートル。葉は羽状複葉。夏から秋にかけ、頂に径5~15センチメートルの頭花をつける。花は一重または八重で、紅・白・黄・紫など、花色も花形も種類が多い。球根は非耐寒性であり、サツマイモに似た塊根。メキシコおよびグアテマラが原産地で、ヨーロッパに初めてもたらされたのは18世紀、スウェーデンの植物学者アンドレアス・ダール(Andreas Dahl)に因んで名づけられた。ナポレオンの皇后ジョセフィーヌの庭園で育てられたという。日本には1842年(天保13年)にオランダ人によってもたらされた。和名では「てんじくぼたん(天竺牡丹)」と呼ばれる。[季]夏。
 

◇生活する花たち「茶の花・花八つ手・木瓜」(横浜下田町・松の川緑道)

11月17日

●小口泰與
逆光をとらえ華やぐ枯尾花★★★
山茶花の二つ三つと咲きにけり★★★
小春日やお香の香り身の内に★★★

●河野啓一
ベランダの冬菜も摘んて鍋に入れ★★★★
ささやかなベランダ菜園。そこでの収穫はささやかさに反比例して嬉しいものだ。鍋の一品に加われば、なおのこと。(高橋正子)

無農薬無肥料続く庭の柿★★★
山茶花の苗をポットにお隣りへ★★★

●多田有花
小春日の谷あいの湯に母といる★★★★
鄙びた谷あいの湯はほっかりとした温かさがある。小春日和の暖かさも加わって、母と入る湯は深々としていい湯であっただろう。(高橋正子)

柿をもぐ小春の庭の広さかな★★★
冬紅葉囲む落人伝説の村★★★

●桑本栄太郎
ジャージーの校庭駆ける冬紅葉★★★
わた虫の浮かぶ葉陰の緋色かな★★★
籾摺りの日暮れて寒し精米所★★★

●小西 宏
葉の落ちて丸き枝先空へ張る★★★★
葉を落とした枝先に、「丸さ」を見た目が優しい。どんなに尖っているように見えても、よくよく見れば丸さがある。(高橋正子)

彩の木の葉ぶら下げプラタナス★★★
ハンバーガー買いシャンペンの小春かな★★★

●高橋秀之
朝食後みかんの皮が爪の先★★★
手に余る大きな荷物はみかん箱★★★

遠征の子の背に冬の朝日差す★★★★
遠征に出かける子を励ますような朝日の輝かしさ。それは親の心でもある。冬の朝日の緊張感と明るさが今日の試合の勝ちを約束しているようだ。(高橋正子)