3月14日(木)

★真っすぐな日の差すところ蕗のとう   正子
日差しを殆ど遮られない,真っ直ぐな日当たりの良い野に瑞々しくまた、青々とした顔を出していたのでしょうか。蕗のとうは確かに日当たりの良い場所を好みますが、その日差しの当っている蕗のとうを見られ、いよいよ春めいて来た野を実感された喜びが感じられます。 (佃 康水)

○今日の俳句
包み紙少し濡れいて蕗の薹/佃 康水
蕗の薹を包んでいる紙がうっすらと濡れている。朝早く採られた蕗の薹だろうか。蕗の薹の息吹であろうか。しっとりとした命の、春みずみずしさがある。(高橋正子)

○オキザリス(カタバミ科カタバミ属)

[オキザリス/横浜日吉本町(2013年3月10日)]_[かたばみ/横浜日吉本町(2011年5月13日)]

★オキザリス雨の茶房に人在らず/中谷朔風
★オキザリス野生育ちの強きこと/豊岡重翁

★石垣の裾に朝日のオキザリス/高橋正子
★雨降りのオキザリスなりみな蕾/高橋正子
★掘り起こされ芋きらめかすオギザリス/高橋正子

 オキザリス(学名:Oxalis corymbosa(紫カタバミ)、Oxalis articulata(芋カタバミ))は、カタバミ科カタバミ属。世界中に800種類以上が分布する植物です。日本にもクローバーとよく間違われるカタバミ〔O.corniculata〕をはじめ、5種ほどが自生しています。花を咲かせて枯れてしまう一年草と、毎年花を咲かせる多年草があります。 球根を作るものや、低木になる種も知られています。世界中の色々な地域に分布しているだけに、地域によって様々な形態や性質をとり、開花期、草姿、花色、大きさなどは様々です。オキザリスだけで一年を途切れさせずに季節ごとに花を楽しむことができそうな気がします。花は筒状で、先端が数枚の花びらに分かれています。花は温度や光に敏感で、つぼみは日が射しているときは開きますが、天気の悪い日や夜は閉じています。また、日が当たっても温度の低いときは開きません。オキザリスの名前はギリシア語で「酸性」を意味するオクシス(oxys)に由来し、葉や茎にシュウ酸を含み酸っぱいところにちなみます。カタバミの葉っぱで10円玉をこすると黒ずみがとれてぴかぴかになるのは、このシュウ酸のせいです。園芸では地中に球根を作る種が主に栽培されており、球根植物として扱われることが多いです。特に南アフリカ原産種が多いです。栽培上は「春植え」と「夏・秋植え」に分けることもあります。
 よく見かけるのは「紫カタバミ」と「芋カタバミ」だが、両者区別しにくい。両者ともピンク色の花びらで、紫カタバミは、花びらの中央がうすいピンク、芋カタバミは、花びらの中央が濃いピンク。花言葉は「喜び、母親の優しさ」。似ている花は、現の証拠、酢漿草(かたばみ)。似ている葉は、白詰草(クローバー)。

◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)

3月14日(木)

●河野啓一
咲き初めて馬酔木は白き風となり★★★★
ぐんぐんと芽生え伸ばして春の雨★★★
介護士の笑顔や今朝の春セーター★★★

●小口泰與
花辛夷小雨に昏るる小諸かな★★★
榛名湖へあわあわ降りし春時雨★★★
雛菊や溢るる歓声水族館★★★

●佃 康水
春愁や重機の壊す木の駅舎★★★
小さき手で野の花手向く雛の舟★★★
つくし採り野に生う如く玄関へ★★★★
つくしが出たうれしさに、玄関にも、野にあるように土筆を飾る。季節のものは、生活を楽しくさせてくれる。(高橋正子)

●多田有花
<大相撲三月場所観戦二句>
春荒れや館内熱気の四つ相撲★★★
浪花場所桟敷に並ぶ春衣★★★
春北風にきらきら光る竹林★★★

●桑本栄太郎
反れ玉を追いかけ求め青き踏む★★★
梅が香や木々に遅速のありて尚★★★
つぶつぶの咲き初むつぶや雪やなぎ★★★

●小西 宏
菜の花の低く咲いてる保育園★★★

囀りの光と風に青いぶらんこ★★★★
囀りが降り注ぐぶらんこが、「青いぶらんこ」であって、洒落ていて、メルヘンのようだ。(高橋正子)

濃き空に蕾刺したる紫木蓮★★★