■8月月例ネット句会/入賞発表■


■2017年8月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年8月14日

【金賞】
★稲の花咲いて田水の零れ落つ/柳原美知子
かそかな稲の花。田水が豊かに零れ落ちる。稲の花が咲くまでに育ったこと。零れ落ちる田水のゆたかさに、日の恵みに稲は実りを預けるのだ。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★今生れしつくつくぼうし我がシャツへ/谷口博望(満天星)
愛着あるつくつくぼうしという名前。生まれたばかりのつくつくぼうしが自分のシャツに止まる。少年のようなときめきと、優しさが感じられる。清潔で透明感のある句だ。(高橋正子)

★取りたての枝豆茹でる大鍋/柳原美知子
私の記憶では、枝前は稲の田の畦に植えられていた。畦からごっそり抜いてきて、大鍋で茹でる。大家族の昔が見える気がする。頼もしい句だ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★魚の斑のきらりと消ゆる水の秋/小口泰與
魚は山女か。その特徴ある斑がきらりと見えたと思うと、きらりと水に消える。魚のすばしこさ、渓流の水の輝きなどを思う。渓流の景色が「水の秋」に象徴された。(髙橋正子)

★噴水のしぶきの向こうに揺れる虹/高橋秀之
虹は、噴水のしぶきでできた虹だろう。噴水のしぶきが風にゆれると虹が揺れる。楽しそうな人たちがいるのが想像できる、明るく爽やかな光景だ。(高橋正子)

★見あぐれば眩しくてひまわりと空/祝恵子
見上げれば、目を射す眩しさ。眩しさのなかに空とひまわりがくっきりと。ひまわりと空と私の夏のひとこま。(高橋正子)、

【高橋信之特選/8句】
★山霧にバス諸共に吸い込まれ/小口泰與
山に登るバスに乗っておられるのか、それとも麓からバスを見上げておられるのか。いずれにしても高山の涼しげな空気が伝わってきます。 (多田有花)

★今生れしつくつくぼうし我がシャツへ/谷口博望(満天星)
長い間地中にいてやっと地上に現れ、殻を破って羽化する様子を眺められたのでしょうか。生まれたばかりの透明な法師蝉のいたいけな姿が目に浮かび、温かい作者の眼差しと感動が伝わってきます。(柳原美知子)

★稲の花咲いて田水の零れ落つ/柳原美知子
去年初めて一枚の田にだけ稲の花が咲いているのを見て感動しました。花の命は短くて2時間ほどといいます。その時は田の水はもうありませんでした。今年ももう一度見たいものです。(満天星)

★萩を吹く風に吹かれて墓地を出づ/柳原美知子
お墓の掃除を丹念にされて終わった時に、風があるのに気付く、近くに咲く萩の花も揺れて見送っているようです。 (祝恵子)

★噴水のしぶきの向こうに揺れる虹/高橋秀之
同じ光景を見ました。噴水に可愛い虹が生まれ、ふと足を止めて見入りました。 (祝恵子)

★つかのまに虹立つころを帰宅せり/髙橋正子
「虹立つころ」の季節感がいい。「帰宅せり」に主婦の生活感がある。(高橋信之)

★台風の過ぎし大空青々と/高橋秀之30.取りたての枝豆茹でる大鍋/柳原美知子

【高橋正子特選/8句】
★虫が鳴くその奥にまた虫が鳴く/髙橋信之
近くの草叢で虫の音が聞こえたかと思うと、それに呼応するかのように奥の方からもかすかに虫音がし、涼風を感じます。いよいよ夏も終わり、新たな季節の到来が実感されます。 (柳原美知子)

★雨止みてじきに始まる虫時雨/廣田洋一
雨が降っている間は静かな原っぱから、雨が止むと同時に虫たちが活動を始めるのか、一斉に鳴き始めます。虫たちの息吹を感じるひとこまです。(高橋秀之)

★魚の斑のきらりと消ゆる水の秋/小口泰與
★今生れしつくつくぼうし我がシャツへ/谷口博望(満天星)
★噴水のしぶきの向こうに揺れる虹/高橋秀之
★見あぐれば眩しくてひまわりと空/祝恵子
★稲の花咲いて田水の零れ落つ/柳原美知子
★取りたての枝豆茹でる大鍋/柳原美知子

【入選/5句】
★仏壇が華やかとなり盂蘭盆会/高橋秀之
お盆になると、お盆菓子やお供えの野菜や花が飾られて仏壇は賑やかに明るくなる。華やかとなると言う表現が良い。(廣田洋一)

★子は登る向日葵木陰をつくる樹に/祝恵子
最近は木登りをする子を見かけることも珍しくなりました。向日葵木陰をつくるに夏休みの元気な子が思い浮かびます。(高橋秀之)

★献水の竹筒ささげ原爆忌/桑本栄太郎
鎮魂の思いと平和への願いを込めて献水する原爆忌。ささやかな日常の生活がいつまでも失われることのないように。 (柳原美知子)

★秋めく空蝉の声いまだ高けれど/多田有花
立秋を過ぎて秋めいてくる空なのに、まだまだ蝉の声は高く聞こえてきます。季節の変わり目を感じさせてくれる光景です。(高橋秀之)

★青空の輝くところ原爆忌/谷口博望(満天星)

■選者詠/高橋信之
★虫が鳴くその奥にまた虫が鳴く
近くの草叢で虫の音が聞こえたかと思うと、それに呼応するかのように奥の方からもかすかに虫音がし、涼風を感じます。いよいよ夏も終わり、新たな季節の到来が実感されます。 (柳原美知子)

★立秋という涼しき言葉を書く
土用が明けて、まだ暑い盛りだが、風の音にももう秋が来たと言う感じがする涼しさを、半紙に立秋と書いて居る作者。素敵な景ですね。(小口泰與)

★初秋や薄明という明るさに

■選者詠/高橋正子
★芋の葉に雲の分量増えやすし
★つかのまに虹立つころを帰宅せり
★初秋の朝日新聞ごく薄し

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
★稲の花咲いて田水の零れ落つ/柳原美知子
★噴水のしぶきの向こうに揺れる虹/高橋秀之

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■8月月例ネット句清記


■8月月例ネット句会清記
2017年8月13日
10名30句 

01.山霧にバス諸共に吸い込まれ
02.魚の斑のきらりと消ゆる水の秋
03.山襞の定かや庭へ小鳥来る
04.今生れしつくつくぼうし我がシャツへ
05.子燕のねぐらへと舞ふ夕間暮
06.青空の輝くところ原爆忌
07.水無瀬ちょう石のさざれや旱川
08.献水の竹筒ささげ原爆忌
09.帰省子の手みやげ数え旅用意
10.台風接近風雨しだいに強まりぬ

11.嵐去る初秋の空に朝の虹
12.秋めく空蝉の声いまだ高けれど
13.噴水のしぶきの向こうに揺れる虹
14.台風の過ぎし大空青々と
15.仏壇が華やかとなり盂蘭盆会
16.子は登る向日葵木陰をつくる樹に
17.見あぐれば眩しくてひまわりと空
18.話聞く孫といる居間初スイカ
19.虫が鳴くその奥にまた虫が鳴く
20.立秋という涼しき言葉を書く

21.初秋や薄明という明るさに
22.芋の葉に雲の分量増えやすし
23.つかのまに虹立つころを帰宅せり
24.初秋の朝日新聞ごく薄し
25.雨止みてじきに始まる虫時雨
26.ご婦人の生足伸びる残暑かな
27.苧殻焚く妹よ間違えるなよ
28.稲の花咲いて田水の零れ落つ
29.萩を吹く風に吹かれて墓地を出づ
30.取りたての枝豆茹でる大鍋よ
 
※互選を開始してください。一人5句選をし、その中の一句にコメントをつけてください。選句は、この下のコメント欄にお書きください。

8月13日(日)

★西瓜切ってみなの心に故郷(くに)ありぬ  正子
西瓜には、誰もが大切な夏の記憶を持っています。家族で一玉の西瓜を切り分ける時、みなの心に浮かぶ「故郷」は、どの場面でしょうか。今の家族で過ごした曾ての夏休みを語ったり、或いは、一家を構える前の実家の夏座敷をふと想ったり。時に同じで、時に夫々の故郷を思いながら、切り分けた西瓜を頂く。幸せで趣深いひとときです。(川名ますみ)

○今日の俳句
車椅子とんぼの群へ触れに入る/川名ますみ
「触れに入る」がすばらしくよい。とんぼの群れに、自ら入り、とんぼと同じように交わることに純粋な喜びがある。(高橋正子)

●8月月例ネット句会
正子投句
22.芋の葉に雲の分量増えやすし
23.つかのまに虹立つころを帰宅せり
24.初秋の朝日新聞ごく薄し
http://blog.goo.ne.jp/kakan02d

○藤袴

[藤袴/東京・向島百花園]

★枯れ果てしものの中なる藤袴 虚子
★藤袴白したそがれ野を出づる/三橋鷹女
★藤袴手に満ちたれど友来ずも/三橋鷹女
★藤ばかま触れてくる眸の容赦なき/稲垣きくの
★たまゆらをつつむ風呂敷藤袴/平井照敏

藤袴について、高校の古文の先生からまつわる話を聞いた。戦のとき、武士が兜の下に入れたという。頭の蒸れた匂いをその芳香で消すためと聞いた。そのときは、野原の藤袴を折り取ってそれを兜の下に入れたのだと思ったが、そのままの藤袴は匂わない。匂うのは、乾燥したものだそうだ。乾燥させると、なにか芳香の成分ができるらしい。乾燥したものを兜の下に入れたのだろう。淡い紫紅色の散房状の花は武士の花といってもいいだろう。花の形がよく似ていて、立秋ころ咲く白い花がある。これを、早合点の私は、もしや藤袴と思うことがある。そして、その花を写真にとったりして、何度も確かめて、やはり、違うようだと結論付ける。まれにしか見ない藤袴見たさのことであろう。伊勢神宮の外宮の観月祭には、きっちりと秋の七草が揃えられているそうだ。秋の七草は、ハギ、キキョウ、クズ、ナデシコ、オバナ(ススキのこと)、オミナエシ、フジバカマの七草で、山上憶良の歌に「萩の花尾花葛花なでしこが花をみなへしまた藤袴朝顔が花」 (万葉集 巻八) がある。

★藤袴山野の空の曇り来し/高橋正子
★清貧の背筋ますぐや藤袴/高橋正子

フジバカマ(藤袴、Eupatorium japonicum)とはキク科ヒヨドリバナ属の多年生植物。秋の七草の1つ。本州・四国・九州、朝鮮、中国に分布している。原産は中国ともいわれるが、万葉の昔から日本人に親しまれてきた。8-10月、散房状に淡い紫紅色の小さな花をつける。また、生草のままでは無香のフジバカマであるが、乾燥するとその茎や葉に含有されている、クマリン配糖体が加水分解されて、オルト・クマリン酸が生じるため、桜餅の葉のような芳香を放つ。中国名は蘭草、香草。英名はJoe-Pye weed;Thoroughwort;Boneset;Agueweed(ヒヨドリバナ属の花)。かつては日本各地の河原などに群生していたが、今は数を減らし、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧(NT)種に指定されている。また「フジバカマ」と称する植物が、観賞用として園芸店で入手でき庭にも好んで植えられる。しかし、ほとんどの場合は本種でなく、同属他種または本種との雑種である。

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)