10月ネット句会清記

■10月ネット句会■
■清記/16名48句

01.天空は風尽きるらし鱗雲
02.朴の葉の白き葉裏の落ちて秋
03.野の風にエスコートされ秋桜
04.まっすぐに秋冷を行く京の露地
05.比叡山に向かい御苑の露を踏む
06.残る虫御苑の太き銀杏の根
07.秋の朝釣具背負いてペダル漕ぐ
08.背伸びして胸元に貼る赤い羽根
09.一口でしかめ面する青蜜柑
10.コスモスの高さに子らの見え隠れ

11.秋晴れて風車の前の丘に立つ
12.萩白し木椅子にもたれ空見あぐ
13.葦の田の刈られて軽し水の音
14.秋深み銀杏並木の一つ影
15.澄む秋の街を縫い行く電車の灯
16.虫の夜のただそれだけの住まいかな
17.海風に大樹のそよぎ島の秋
18.とどまれば蜻蛉群れ来る田舎道
19.野菊咲く道は遠くの山に向き
20.蜻蛉飛ぶ水に写った空と共に

21.遠出の日高い空には鰯雲
22.秋高く上水瀬音響かせる
23.縺れては光を散らす萩の蝶
24.秋の虹立てり深大寺の帰路に
25.竜胆の青透く峡の朝日差し
26.一碗の茶をいただけばきりぎりす
27.関守石の露に濡たる縄の色
28.穂を割りし芒の艶の鉄路沿う
29.茹栗の湯気立つままを卓上に
30.朝々に柿の色付き婚近し

31.豊作や新米どかと届けられ
32.秋暑し明治は遠くなりぬれば
33.寄せ来る今秋鯖の豊漁に
34.隆々としずけき御所へ新松子
35.階(きざはし)へ木漏れ日揺れて初紅葉
36.裏木戸へ弾けて真っ赤檀の実
37.賜りし一日は足れり酔芙蓉
38.そのなかにAKBも案山子立つ
39.何を見に秋天を飛ぶヘリコプター
40.十月桜細い枝に降る花は

41.掛軸もすっと真すぐに糸すすき
42.水玉が弾けるように野のぶどう
43.秋高し柏手を打つ妻も打つ
44.空青く晴れきて白き杜鵑草
45.野葡萄の低きに垂れて実が優し
46.杉山の尖りくっきり秋天へ
47.谷あいの茶畑しんと秋日中
48.掛稲の穂垂れ軽々吹かれおり

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、10月13日(日)午後7時から始め、同日(10月13日午後10時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、10月14日(月)午前9時です。
※2) 伝言・お礼等の投稿は、10月14日(月)午前9時~10月15日(火)午後6時です。

10月13日(日)

★秋宵宮星に声あぐ子の行列  正子
秋の大祭の宵宮。子供神輿の行列でしょうか。いつの世になってもお祭りでの子の声と行列は元気いっぱいです。(高橋秀之)

○今日の俳句
朝霧が包む港に汽笛鳴る/高橋秀之
素直な句で、朝霧に鳴る汽笛がのびやかに聞こえる。朝霧に包まれた港がこれから動き出そうとしているのであろう。(高橋正子)

○葛の実

[葛の実/横浜・四季の森公園(2011年10月20日)]_[葛の花/横浜日吉本町(2012年8月9日)]

★葛の実の鈴なりなれど軽きかな/高橋正子
★葛の実の茶毛いかにも野草らし/高橋正子

葛の花はその濃紫の色もさることながら、芳香が楽しめる。葛の根は、葛粉となって高価なもの。本物の葛粉で作った葛餅は、喉越しがまるで違う。すっきりとした水を味わうような感じだ。葛は日本中に蔓延っている。葛の実を意識して見ることは私自身ほとんどないが、秋風が葛の葉を白く裏返して吹くときなど、枝豆のような莢が目に入る。葛は豆科かなと思う。それにしては、莢が枯れそうになっても実が充実しないなと思うような具合だ。莢を割って見ようなど思ったこともないが、ゴマ粒ほどの小さな豆が入っているようだ。

 クズ (Pueraria lobata) は、マメ科のつる性の多年草。根を用食品の葛粉や漢方薬が作られ、花は、万葉の昔から秋の七草の一つに数えられる。漢字は葛を当てる。
 葉は三出複葉、小葉は草質で幅広く、とても大きい。葉の裏面は白い毛を密生して白色を帯びている。地面を這うつるは他のものに巻きついて10メートル以上にも伸び、全体に褐色の細かい毛が生えている。根もとは木質化し、地下では肥大した長芋状の塊根となり、長さは1.5メートル、径は20センチにも達する。花は8-9月の秋に咲き、穂状花序が立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香を発する花を咲かせる。花後に剛毛に被われた枝豆に似ている扁平な果実を結ぶ。花色には変異がみられ、白いものをシロバナクズ、淡桃色のものをトキイロクズと呼ぶ。和名は、かつて大和国(現:奈良県)の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。
 葛の実は、8月から9月にかけて咲く花の後、すぐに緑の豆の莢となって鈴生りにぶら下がる。その後に時間をかけて成熟してきた実は、くすんだ焦げ茶色に変色し、枯れた葉と共に舞い落ちる。落ちてくるときは、たいてい一莢ずつになっているが、たまにはいくつかつながったままのこともある。莢の幅は1cm弱ほど、長さは3~6cmほど、厚みも重さもほとんど感じられない。莢の表面は茶色の毛で覆われている。莢を開いてみると、莢の内側は光沢があり、そして、長さ2mm、幅1mm強ほどの小さな豆が出てくる。

◇生活する花たち「秋海棠・銀木犀・金木犀」(横浜日吉本町)