2月11日(火)

 東海道53次川崎宿
★下萌えの六郷川の水青し   正子
川崎宿を歩かれたのでしょうね。萌え出した草の柔らかさ、六郷川に流れる雪解けの清らな水、春が訪れた喜びを感じます。(祝 恵子)

○今日の俳句
もてなさる一つに椀のあさり汁/祝 恵子
もてなしの料理が並ぶなかの一つの椀があさり汁である。春らしい一椀に、ほっと気持ちが解きほぐされ、主客ともに春をいただく気持ちが湧く。(高橋正子)

○木蓮の花芽

[木蓮の花芽/横浜日吉本町(2014年1月28日)]_[木蓮の花/横浜日吉本町(2012年4月12日)]

★木蓮に日強くて風定まらず/飯田蛇笏
★遊雀木蓮の花芽毛皮の冬構え/遊雀

 モクレン(木蓮、木蘭、Magnolia quinquepeta もしくは Magnolia liliiflora、中国では、「辛夷」と表記する。)は、モクレン目モクレン科モクレン属の落葉低木。花が紫色であることから、シモクレン(紫木蓮)の別名もある。ハネズ、モクレンゲと呼ばれることもある。昔は「木蘭(もくらん)」と呼ばれていたこともあるが、これは花がランに似ていることに由来する。今日では、ランよりもハスの花に似ているとして「木蓮(もくれん)」と呼ばれるようになった。
 小型で樹高3-5m程度。葉は互生で、広卵型、長さ8-10cm、先は尖る。花期は春(4-5月頃)。花は濃い紅色から桃色で、花弁は6枚、がくは3枚、雄しべと雌しべは多数が螺旋状につく。上品な強い芳香を放つ。ハクモクレンとは異なり、花びらは舌状で長い。実は赤い。
 庭木、公園樹として中国、日本だけでなく、北米やヨーロッパ諸国で広く栽培されている。移植は困難であり、株分けによって殖やす。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では国花に指定されている。
 ハクモクレン(白木蓮、学名:Magnolia heptapeta、シノニム:Magnolia denudata)はモクレンの仲間で白色の花をつける。しばしば、「モクレン」と混同され、そう呼ばれることがある。モクレン属の中では大型の種類で樹高は10-15m程度まで成長する、春、葉に先立って大形で白色の花が開く。

 今近隣では、冬の寒さを凌ぐため冬芽(ふゆめ、とうが)を形成し、じっと耐えている木々の姿をよく見かける。特に、木蓮などは、毛皮のようなもので芽を覆いしっかりと身を守っている。

◇生活する花たち「満作・椿・蝋梅」(神奈川・大船植物園)

2月11日-12日

2月12日

●小口泰與
春昼や缶ドロップの音かろし★★★★
ドロップといえば、缶に入った七色のサクマドロップを思い出す。ドロップの缶を降れば軽く音がして夢が出てきそう。うららかな春の昼である。(高橋正子)

春塵や牛舎の牛の塊りて★★★
露天湯ののどけし煙り明けの鳥★★★

●多田有花
青空に斑雪の山の光りあう★★★★
「光りあう」が、早春をよく表現している。少しずつ強くなってゆく日差しに、青空も斑雪の山も輝いている。(高橋正子)

梅の花咲いてきたねと言いあいて★★★
さざなみを乗せて蛇行す二月の川★★★

●桑本栄太郎
土手草の黒き途切れや野焼川★★★
吹きさらす野面吹きぬけ余寒風★★★
たんぽぽや白髪の母の寄りそいて★★★

●小西 宏
万作の咲く青空の冷たさよ★★★★
「青空の冷たさ」が、万作の咲く季節をよく物語っている。空は青く晴れやかであるが、しんとして冷たい。そこに黄色い万作が咲いて春の訪れが確かとなる。(高橋正子)

淡雪の残るがごとく枝の梅★★★
雪解けのはだら道なる楢林★★★

●河野啓一
早朝の鳥声うれし建国日★★★★
建国記念日は、神話の世界が今も続いているようで、寒いながらも長閑けさのある日だ。早朝から鳥が囀り、国の生まれた日を祝う。(高橋正子)

建国日歴史を励ます日章旗★★★
八重椿紅き蕾の重なりて★★★

2月11日

●小口泰與
蕗の芽やちょうちん釣りの渓の魚★★★

辞令受く重さと期待風光る★★★★
重責ながらも遣り甲斐のある仕事に期待が膨らむ辞令を受けて、身の引き締まる思いと明るさが、風光る季節にふさわしい。(高橋正子)

一度会う顔と名詞の朧かな★★★

●河野啓一
民族の歴史や今日は建国日★★★
早春の朝日レースに鳥影が★★★

雪消えて餌箱架ける昼下がり★★★★
雪の積むあいだ、小鳥たちは餌をどうしていたのか。小鳥たちを思いやって、雪が消えるのを待ってさっそく餌箱を取り付けた。 慈しみのある句。(高橋正子)

●多田有花
殉教に向う歴史書冴返る★★★
春遅し踏みしめてゆく硬き土★★★
鬼追いの寺を包める余寒かな★★★

●桑本栄太郎
烈風の見よ蒼天の建国日★★★
歳時記をめくり栞の春北風(はるならい)★★★
追い越して余寒厳しき新幹線★★★