3月1日(土)

曇りのち晴れ
雀鳴き屋根に春日のさんさんと 正子
春空の青の下にて知人の葬   正子
●今日から3月。朝ごみを捨てに出ると雀がよく鳴いていた。この頃雀が少なくなっていると思っていたが、あちこちの屋根や木でよく鳴いている。暖かい上によく晴れていて、春らしい陽気になっているせいなのだろう。雀がまだいることに安心。
●自由な投句箱、月例ネット句会のテンプレートを変える。3月月例ネット句会案内を、ネット句会と自由な投句箱に貼り付ける。
●「俳句添削教室」を再開する必要があるか、どうか。
●英訳俳句、ローマ字表記の点検。あとがきにHaiku Spotlightに投句した人の名前を10人ばかり、リストアップしようと拾い出した。Haiku Spotlight は1968年9月から1970年3月まで私も手伝って、週刊で信之先生が発行した。毎週松山の土居田にあった印刷所へ電車で原稿を持って行ったものだ。インターネットが一般に普及したのが1995年だからそれよりも30年近く前なので、海外とのやり取りもエアメール。最近エアメールってものがあるのかどうかも知らない。
子供の俳句の英訳本ではあるが、子供向けにはレベル上げ過ぎたかも。

自由な投句箱/3月1日~3月10日

※当季雑詠3句(春の句・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 
    
       🍃   🍃   🍃   🍃   🍃   🍃
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
   右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
   名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句
3月10日
★雲雀しばらくあるく我等の行く先を  川本 臥風(かわもと がふう)🍁
3月9日
★菜の花や小学校の昼げ時       正岡 子規(まさおか しき)
3月8日
★雲雀落つ谷底の草平らかな      臼田 亞浪 (うすだ あろう)🍁
3月7日
★春寒し水田の上の根なし雲      河東 碧梧桐(かわひがし へきごどう)
3月6日
★鞦韆に腰かけて読む手紙かな     星野 立子(ほしの たつこ)
3月5日
★欅大樹の空をあまさ芽立ちけり    おおにし ひろし🌸
3月4日
★葛飾や桃の籬(まがき)も水田べり  水原 秋櫻子(みずはら しゅうおうし)
3月3日
★真っ青な北をめざして雁帰る     渋谷 洋介(しぶや ようすけ)🌸
3月2日
★蝶追うて春山深く迷ひけり      杉田 久女(すぎた ひさじょ)
3月1日
★ものの芽に風荒々し月替わる     山野 きみ子(やまの きみこ)🌸

今日の秀句/3月1日~3月10日

3月10日(1句)

★あおぞらの視界ぐるりと風光る/桑本栄太郎
冬から春になると青空が急にまぶしくなる。ぐるっと見回すと空気がきらめいて感じられる。すっきりとした句が気持ちよい。(髙橋正子)
3月9日(1句)

★何処からか讃美歌聞こゆ春の朝/桑本栄太郎
春の朝、どこからともなく聞こえてくる讃美歌が、春の美しさそのままのように感じられる。(髙橋正子)
3月8日(1句)

★遅れたる友の姿や陽炎える/廣田洋一
待っていた友が遅れてやってくる。その姿が陽炎に揺らめいている。友の存在の大切さ、交流のあたたかさ、伝わってくる、感情深い句。(髙橋正子)

3月7日(1句)

★いち早く利根の目覚めし春の波/小口泰與
春の兆しがいたるところに見られるようになった。大河、利根川もいち早くはやく春に目覚め波音を立てて急ぎ流れている。新鮮で明るい心持がいい。(髙橋正子)
3月6日(1句)
 
★鳥帰るビニールハウスに雪しぐれ/弓削和人
「鳥帰る」「雪しぐれ」はどちらも意味があって、季重なりのように思えますが、「鳥帰る」が主となるテーマなので、季重なりとはいたしません。気候変動でさまざまな気候の現象が起きますが、冷静に、リアルに句に詠むことも必要で、その場合は何が主たるテーマがはっきりさせておく必要があります。(髙橋正子)
3月5日
該当句無し
3月4日(1句)

★白梅の一枝添える見舞菓子/上島祥子
見舞いの菓子に白梅の一枝を添えるというやさしさに、心温まる。外に出られない病人にとって、季節の花が添えられるのは、慰みになるうれしい贈り物。(髙橋正子)
3月3日(1句)

★ヨーデルの明るき調べ三月に/多田有花
ヨーデルはアルプス山麓の牧童が仲間と呼び交わすため裏声と聞いているが、声が雪崩を起こすのを防ぐ声とも聞く。
ヨーデルの音楽が持つ明るさと、三月の新しい始まりが上手く組み合わさって魅力的な句になっている。(髙橋正子) 
3月2日(2句)

★雛あられ母の遺影に供えけり/廣田洋一
雛祭りを象徴するものとしての雛あられを供え、亡き母を偲ぶ気持ちが十分に表れている。(髙橋正子)

★雲水の作務の手習い雪解くる/弓削和人
雲水(修行僧)の作務(労働)としての「手習い」は、習字や学問に限らず、修行の過程で徐々に身に着けていくことを指すのであろう。厳しいさむさのなかで作務を続けてきた雲水にも雪解けの季節がきたのだ。(髙橋正子)
3月1日(1句)

★河川工事進むや残る鴨のいて/多田有花
ゆったりと泳いでいる残る鴨のすぐそばで、河川工事がどんどん進んでいる。それにもかかわらず、鴨は悠然としている。自然に生きる鴨と、自然に手を加え急ぎ暮らす人間の生きざまが対比されて面白い。(髙橋正子)

3月1日~3月10日

3月10日(4名)
小口泰與
春塵や巌打つ風の定かなる★★★
百千鳥名のいちいちは知らざりし★★★
庭翔ける春の鶫の速きかな★★★

多田有花
春の霜溶け行くなかを中学生★★★★
春の朝まず洗濯に始まりぬ★★★
家並みを抜けし朝日が菜の花へ★★★

廣田洋一
春疾風眠れる枝を揺さぶりぬ★★★
薔薇の芽の赤く色づき雨上がり★★★
踏青や道を下れば川堤★★★

桑本栄太郎
あおぞらの視界ぐるりと風光る★★★★
辛夷の芽今かいまかと咲く構え★★★
稜線の今朝の確たり春の嶺★★★
3月9日(2名)

小口泰與
今日の利根いとど荒れけり雪解山★★★
山の沼帰雁の後の水の色★★★
妙義嶺の奇岩顕わや春驟雨★★★

桑本栄太郎
何処からか讃美歌聞こゆ春の朝★★★★
庭先のしだれ梅てう三分かな★★★
豆の花支柱の丈にまだ足らず★★★
3月8日(3名)
小口泰與
偽りのなき純白の梅の花★★★
糸遊や今も榛名に丸太橋★★★★
夕暮れの沼を渡りし雉の声★★★

廣田洋一
春場所や強さ見せるか新横綱★★★
金色の蕊は変わらず落椿★★★
遅れたる友の姿や陽炎える★★★★

桑本栄太郎
走り根のむくむく走る春日かな★★★
料峭の竹林こきと風の声★★★
ほそき枝のほつほつ芽吹くゆきやなぎ★★★
3月7日(5名)
多田有花
啓蟄の草木が雨にうたれおり★★★
啓蟄や歩幅を広く歩みおり★★★
永き日を会計窓口に並ぶ★★★

小口泰與
いち早く利根の目覚めし春の波★★★★
いずちより聞こゆ鳥声春の暮★★★
一天を広げ早々帰雁かな★★★★

桑本栄太郎
<故郷の海の追憶>
海苔掻きや潮目沖へと流れおり★★★★★
春潮の彼方に見ゆや隠岐の島★★★★★
水平線の円く見え居り春の海★★★★★

弓削和人
波瑠窓に春雪うつす終のバス
「波瑠」は「波瑠」。「終のバス」は一考ありです。
わかりやすく添削すれば、次のような例になります。
終バスの玻璃窓春の雪映す(正子添削)

はだれ野に人の足あと獣のあと★★★★
雪解けの澄みし一水湖に帰す★★★★

川名ますみ
豚肉と菜花のみどり炒めたり★★★
春の雪ぺたり車の屋根鳴らす★★★
凜と立つただ一輪の黄水仙★★★

3月6日(5名)

小口泰與
山山を抱く風あり春の暁★★★
月明かり頂く嶺の朧かな★★★
久々の雨や草木の舞い姿★★★

廣田洋一
卒業式終えたる校舎静まりぬ★★★★
沈丁花小さくはぢけし白さかな★★★
黄水仙雨に打たれて傾ぎおり★★★

多田有花
梅咲かす家の続きぬ沿線に★★★★
春雨が淡路も橋も隠しおり★★★
春雨にうたれる車内みなスマホ★★★

土橋みよ
丹精の紅菜苔摘む春の夕★★★
寒すずめ葉を食べ尽くし光る蕊★★★

弓削和人
鳥帰るビニールハウスに雪しぐれ★★★★
雪間よりぬくとき土の国あらわ★★★
囀りや雪のまだらに湖畔道★★★
3月5日(5名)

小口泰與
いたいけな小魚嘴へ雉子かな★★★
子に餌をいそしみ運ぶ春の鳥
「いそしみ運ぶ」は日本語として不自然です。(髙橋正子)
春寒を忘れ園児の庭狭し★★★

廣田洋一
強風に傘裏返る春の雨★★★
強談判決裂したる春の闇★★★
庭先で発電したる風車★★★

多田有花
黒髪のまっすぐ長し春の雨★★★
「はなあかり」出発します春の雨★★★
春雨に煙れる城を遠望す★★★

桑本栄太郎
申告を終えてびんぼう確定す★★★
春雨の止みて峡なる雲奔る★★★
こつ然とぞろぞろいずる地虫かな★★★

弓削和人
春寒し足指ほぐす熱湯かな★★★
春動し午後の小雨にひかりなり(原句)
「小雨にひかりなり」は日本語として文法的に不自然です。(髙橋正子)
春動に午後の小雨のひかるなり(正子添削①)
春動に午後の小雨にひかりあり(正子添削②)
春雪に鼻くんくんと秋田犬★★★
3月4日(6名)
小口泰與
忽然と北を目指して帰雁かな★★★
今朝はまた沼広くせる帰雁かな★★★
この沼に一羽残して帰雁かな★★★

廣田洋一
春雪や電車止まるを惧れけり★★★
湘南は縁なきものと春の雪★★★
春三日月夕星下に控えおり★★★

土橋みよ
雪の朝踏みし足跡父のあと(原句)
「父のあと」は、考えてみれば、あいまいです。(髙橋正子)
雪の朝踏みし足跡父のもの(正子添削)

冬烏葉脈残しぽつんと花★★★

桑本栄太郎
今朝もまたけぶるようなり木の芽雨★★★
木々の枝の芽吹きうながす雨降りぬ★★★
炊きあがり告げる釜の音春の昼★★★
多田有花
新しき電波時計や春動く★★★★
春遅し冷たき風雨窓を打つ★★★
ショルキーをかけて弾きおり春の歌★★★

上島祥子
毛氈にフィギア加わり雛祭★★★
白梅の一枝添える見舞菓子★★★★
園バスの手遊び歌や春の夕 ★★★
3月3日(5名)
小口泰與
いたいけの小犬駆け来る春の夕★★★
一人静いたく古りたる机かな★★★
春暁のぶり返したる寒さかな★★★

土橋みよ
熱下がり鰆の刺身口溶けぬ★★★
熱が下がってよかったです。お大事に。(髙橋正子)
粕汁にがごめのトロミ父の味★★★
群生す北国生まれの黄水仙★★★

多田有花
ヨーデルの明るき調べ三月に★★★★
目覚めれば風雨激しき雛祭★★★
春嵐宅配荷物届きけり★★★

桑本栄太郎
土紙も箱もありたる古ひひな★★★
しつとりと在所潤し春の雨★★★
さざ波の水面ばかりや鳥雲に★★★★

廣田洋一
しゃぶしゃぶの鍋に鮮やか和布かな★★★
立子の忌墓碑を洗える春の雨★★★
鎌倉の余寒の風や段葛★★★
上島祥子
ゆっくりと空き家を後に梅の庭★★★

梅に寄らば禽たちまに枝離る(原句)
「禽たちまに枝離る」は「禽たちまちに枝離る」のまちがいでしょうか。
「寄らば」は、「寄る」に仮定を表す助詞「ば」が付いた形です。意味は「寄るならば」と仮定の意味になります。時代劇で「寄らば切るぞ」というセリフを聞きますが、「もし寄ってくるならば切るぞ」の意味です。
禽たちまちに枝離る」と言い終わっていますので、「寄らば」を「寄れば」とします。(髙橋正子)
梅に寄れば禽たちまちに枝離る(正子添削)

菓子前に澄まし顔なる内裏雛★★★

3月2日(4名)
小口泰與
春風や鳥のいざなう桃源郷★★★
眼間の赤城どっしり日永かな★★★
榛名嶺にいざよう雲や春の川★★★

廣田洋一
紫の風信子咲き立子の忌★★★
雛あられ母の遺影に供えけり★★★★
折紙の大人形や雛祭★★★

桑本栄太郎
ほたほたと夢を見て居り朝寝かな★★★
君に逢い哀しみばかり春の夢★★★
春睡や夢のつづきを見ま欲しき★★★

弓削和人
チューリップ蕊まもる萼の夜夜濃しき
「濃しき」は何と読みますか。またどういう意味ですか(髙橋正子)

雲水の作務の手習い雪解くる★★★★
雪解川せきどめるものなく音流る★★★

3月1日(4名)

小口泰與
春や春水の諍い山の川
湖へいざなう径や百千鳥
山風に耐えてふとぶと牡丹の芽

弓削和人
囀を空耳とする湖の家★★★★
チューリップ凛とのびのび人迎え★★★
白鳥の帰る湖面の孤愁かな★★★

多田有花
河川工事進むや残る鴨のいて★★★★
春雨の降りてやみての一日に★★★
三月の始まる真白き朝靄に★★★★

桑本栄太郎
曇りても午後は快晴三月に★★★
芽吹き初めうすきみどりや雪柳★★★
木々の枝の芽吹き初めたる三月に★★★

■3月月例ネット句会ご案内/2025年■

■3月月例ネット句会ご案内/2025年■
①投句:当季雑詠3句
3月3日(月)午前6時~3月9日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:3月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:3月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、3月10日(月)正午~
                     3月13日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏