12月13日(月)

快晴
●信之先生散髪に。年に一度理髪店での散髪。
●ヤフオクにでていた信之先生の第一句集『水煙』をオークションにかけないで、古珍堂から郵送してもらったのが届いた。カバーは無くなっている。湿気によるシミと思われるのと小口の焼けがあるが、製本は緩んでいない。1978年昭和53年3月いたどり叢書で発行。
●「俳壇1月号」が届く。花冠の広告あり。仁平勝氏が巻頭言で俳壇に議論がない、盛り上がらない、乗ってこないと苦言を呈しておられる。たしかに。むきになって議論するのもあほらしいんだと思う。
●「俳壇年鑑2022年版」(4月発行)へ、広告原稿(1/9ぺージ)を郵送。締め切りは来年1月25日。同じく、自選一句の出稿依頼。信之先生、句美子、正子。こちらは1月31日締切。花冠のほかのメンバー6名人にも依頼があったはず。つぎつぎ用がある。

■□12月月例ネット句会/入賞発表■□

■12月月例ネット句会/入賞発表
■2021年12月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年12月13日

【金賞】
10.花野枯れ薄き匂いの風の野へ/吉田 晃
いろんな草草がある野が枯れると、枯れの薄くあわい匂いが立つ。その匂いが風が吹くと野に広がり、野はせつなくも優しい野となる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
07.路地が好き郵便ポスト曲がれば冬/祝 恵子
庶民の生活がたのしく詠まれている。日々暮らす路地。その路地を曲がると郵便ポストがある。ちょっと開けた空間なのだろう。「冬」がそこにあるのを感じた。(髙橋正子)

02.匂い立つ早や柊の蕾より/吉田 晃、
柊の白い花は、金木犀とはまた違って、つんとした清らかな匂いがする。花が咲けばもちろん匂いは流れてくるが、小さな蕾のうちからも、はや。匂っている。そこがいい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子
家族の一人がいなくなっても、毎日の食事の支度で身についていた量の感覚というのは、恐ろしいもので、なかなか按配できない。一人、二人になっても感覚的には三人なのである。(髙橋正子)

31.蜜柑買い二人で運ぶ空が晴れ/髙橋句美子
蜜柑を箱で買ったのか、重いので二人で協力して運ぶと、空が青々と晴れて、カラッとした空気が快い。明るい蜜柑の色、晴れた空の青が印象に残る。(髙橋正子)

09.足場組み巡らす網より冬夕焼け/祝 恵子
組まれた足場に巡らされる安全の網。その網から夕焼が見える。無味乾燥とも思える建築現場も、冬夕焼の一景に収まった。冬夕焼が効いている。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
07.路地が好き郵便ポスト曲がれば冬/祝 恵子
日当たりのよい路地、生活の匂いがし、郵便ポストにも温かみが感じられる。そこを曲がれば吹きさらし。ドラマのワンシーンのようで、楽しく、若々しい句ですね。(柳原美知子)

05.明滅や冬の日差しの絶え間なく/桑本栄太郎
小さな冬雲が行き過ぎるたびに気温の違いを肌に感じる。冬の薄い日差しだからこその感覚であろう。作者はその薄い明滅を視覚のみならず、肌でも感じておられる。(吉田晃)

08.手渡しでハトに餌をやる冬の土手/祝 恵子
09.足場組み巡らす網より冬夕焼け/祝 恵子
10.花野枯れ薄き匂いの風の野へ/吉田 晃
12.匂い立つ早や柊の蕾より/吉田 晃
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子

【髙橋正子特選/7句】
16.花屋には赤の溢れて十二月/廣田洋一
クリスマスの時期にはポインセチアなどの赤が目につきます。あの赤は十二月だな、と思わせてくれる赤ですね。(多田有花)

22.冬もみじ教室の朗読の声聞こえ/西村友宏
学校の横を通られたのでしょう。聞こえた朗読の声にふと顔を上げられたら冬紅葉が目につきました。朗読の聴覚、冬紅葉の視覚、その二つが出会った御句です。(多田有花)

31.蜜柑買い二人で運ぶ空が晴れ/髙橋句美子
蜜柑を箱で買われました。段ボールを両側から二人で持って運ばれたのでしょうか。箱買いの蜜柑はお正月が近いことを感じさせてくれます。(多田有花)

07.路地が好き郵便ポスト曲がれば冬/祝 恵子
12.匂い立つ早や柊の蕾より/吉田 晃
21.日を透かし軽くなりたる冬紅葉/髙橋信之
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子

【入選/12句】
01.谷川の水は鋼や十二月/小口泰與
寒さの厳しいシーズンに入ってきました。川の水の冷たさも一段と増します。その冷たさ、厳しさを「鋼」という言葉で的確に表現されています。(多田有花)

03.麦の芽や我が産土は風の里/小口泰與
蒔かれた麦が風に吹かれている風景を目にすると、懐かしくふる里を思い起こされるのだろう。賑やかなものが一切ない、麦の芽と風だけの場所は詠者の大切な原風景になっているのでしょう。(吉田晃)

14.塩蒸しの冬の南瓜の甘きこと/多田有花
南瓜の甘さに嬉しくなった率直な気持ちが伝わってくる素敵な句と感じました。「の」が続くことでリズムも軽快です。 (西村友宏)

18.実千両垣をはみ出す古き家/廣田洋一
千両の実、垣根、古い家。これらが揃った風景は、懐かしさを思い起こしてくれます。冬の日差しが暖かいことを想像させてくれていいですね。 (吉田晃)

23.冬籠り下校のチャイムに夕支度/西村友宏
一日の日差しがすっかり短くなり、午後4時頃の下校時ともなれば薄暗くなります。我が家でも下校のチャイムの鳴る時間ともなれば夕餉の支度を行っています。小学校、中学校とも直ぐ近くあり、同じような冬の生活リズムにとても共感です。 (桑本栄太郎)

25.すっと開く小春の引き戸に猫の顔/柳原美知子
ふとした日常のゆったりとした光景が思い浮かびました。 (髙橋句美子)

27.窓暮れて山際淡き冬茜/柳原美知子
窓辺から見る夕焼け、今日も一日が暮れてゆく安堵感でもあります。 (祝恵子)

13.裏庭に小さき大根育ちおり/多田有花
冬の日差しを受けて、生き生きと育つ緑の大根葉。その下に小さいながらも大根のまっさらな白がみえてきたうれしさ。裏庭での日々の農作業の喜びが伝わってきます。 (柳原美知子)

32.水仙の白を見つけて公園へ/髙橋句美子
樹々も落ち葉し、花も少なくなった散歩道。清々しい香りがほんのりと漂ってくる水仙の白さに、新たな季節を迎える喜びが感じられます。 (柳原美知子)

11.熱き湯に身を沈めれば神無月/吉田 晃
15.銀杏落葉表通りを一色に/多田有花
33.贈り物を待つ日々長くアドベント/髙橋句美子
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子

■選者詠/髙橋信之
21.日を透かし軽くなりたる冬紅葉
冬に残り映える紅葉も日の経つうちに葉を落として梢も軽くなり、月が良く見えるようになった。寒い冬が来た景が良く見えてきます。 (小口泰與)

19.冬椿の白に解放され正午
20.?梅の花と香りと青空に

■選者詠/高橋正子
30.眠るまで聞けり冬の夜のラジオ
 あれこれと多忙だった一日が終わり、心身ともに寛げる時間を得た。床に就いたのであろうか。枕元に置かれたラジオの声が、心地よい冬の夜の眠りに誘ってくれる。豆電球の部屋に流れているラジオに向けられた意識がいいと感じた。 (吉田晃)

29.職辞してオリオン星座ひんがしに
最後のお勤めを終え、東の空に輝きはじめたオリオン座を仰ぎながら、安堵感と解放感、新たな季節への感慨を深められたことでしょう。お疲れ様でした。 (柳原美知子)

28.橋塔の灯の明滅を冬の霧

■互選高点句
●最高点(同点2句/5点)
16.花屋には赤の溢れて十二月/廣田洋一
26.夫在りし日のごとたっぷりおでん煮る/柳原美知子

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