2015
8月立秋ネット句会清記
14名 42句
01. 鎮魂の七十年や夾竹桃
02. 暮れ泥む河畔に三羽夏の鴨
03. 朝顔の花のあとさき園の朝
04. 舗装路へ戛然と打つ夏の雨
05. 夕焼に一朶の雲の欺かず
06. 蟻の列行くに逡巡なかりけり
07. 塩飴を含み風立つ草田男忌
08. かなかなの団地の庭に響きけり
09. 秋立つや宵のかすかに風の音
10. 一輪の桔梗朝陽をほしいまま
11. 夏の月両手伸ばして引き寄せる
12. 朝空へ命の賛歌蝉の声
13. ぐっすりとよく寝た朝の蝉しぐれ
14. 青空を高く高くと雲の峰
15. 帰らない人を待つ身に月見草
16. 陶器市神官の撒く水しぶき
17. 鷺草の御神紋の寺花咲かす
18. 吊忍風を招いて売られおり
19. 悪政へ怒りの立ち様雲の峰
20. 朝の虹スマホに収め子は出勤
21. 句会に並ぶ極彩色の夏野菜
22. 広島忌万余の席に大テント
23. 夏帽子脱ぎ黙祷の席に立つ
24. 雅楽の音余韻の海や月涼し
25. 岩清水湧く渓谷の蝉涼し
26. 渓を歩く滴りの音ひんやりと
27. 花柘榴実となる空や原爆忌
28. 秋立ちぬ静穏なれや青い星
29. 鳥声にさそわれ森の新涼に
30.湯上りの涼を奏でる窓の風
31. 今朝秋の洗面の水たまりゆく
32. 安静の日々の背を押す今朝の秋
33. あきらかに天は青かり原爆忌
34. 朝食の葡萄のうまき大粒を
35. 朝食の葡萄に露がいきいきと
36. 一日を解放されて素足の吾
37. 今朝秋の吊る短冊に走る筆
38. 水遣りて風船蔓陽に揺るる
39. 川縁の水引草に風立ちぬ
40. 朝採りの胡瓜を量る夫の日課
41. 原爆忌子猫の温み膝の上に
42. 稲の花水音のせてそよぎおり
◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、8月8日(土)午後6時から始め、同日午後9時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、8月9日(日)午前10時
※2) 伝言・お礼等の投稿は、8月9日(日)午前10時~8月10日(月)午前10時です。
★胡麻の花稲の花咲くその続き 正子
優しく淡い色合いの可憐な胡麻の花と、小さいながらも白く清楚な稲の花。夏から秋へ向かう田の、清々しい季節感あふれる情景です。いずれも収穫の期待を高めてくれる胡麻の花と稲の花に、やがて訪れる実りの秋の喜びを感じさせていただきました。(藤田洋子)
○今日の俳句
新刊の一書机上に秋初め/藤田洋子
秋が来たと思う爽やかさに、さっぱりと片付いた机上に一冊の新刊書が読まれんとして置いてある。生活が新鮮に詠まれている。(高橋正子)
○女郎花(おみなえし)

[女郎花/横浜・四季の森公園] [女郎花/横浜・都筑中央公園]
★ひよろひよろと猶露けしや女郎花/松尾芭蕉
★とかくして一把になりぬをみなへし/与謝野蕪村
★女郎花あつけらこんと立てりけり/小林一茶
★裾山や小松が中の女郎花/正岡子規
★遣水の音たのもしや女郎花/夏目漱石
★女郎花の中に休らふ峠かな/高浜虚子
★山蟻の雨にもゐるや女郎花 蛇笏
★女郎花ぬらす雨ふり来りけり 万太郎
★馬育つ日高の国のをみなへし 青邨
★波立てて霧来る湖や女郎花 秋櫻子
★杖となるやがて麓のをみなへし 鷹女
★をみなへし信濃青嶺をまのあたり 林火
★村の岐路又行けば岐路女郎花/網野茂子
★女郎花そこより消えてゐる径/稲畑汀子
★女郎花二の丸跡に群るるあり/阿部ひろし
★とおくからとおくへゆくと女郎花/阿部完市
★夜に入りて瀬音たかまる女郎花/小澤克己
秋の七草のひとつに数えられる女郎花。萩、桔梗、葛、尾花、撫子、藤袴、女郎花とあげてくれば、どれも日本の文化と切り離すわけにはいかない草々だ。どれも風情がいいと思う。藤袴、女郎花については、名前にはよくなじんでいるものの、実物を見るようになったのは、20代を過ぎて、30代になってからと思う。藤袴、女郎花はどのあたりに生えているかも知らなかった。故郷の瀬戸内の低い山裾などでは見ることはなかった。女郎花は、生け花にも使われるが、粟粒状の澄んだ黄色い花が魅力だ。栽培しているものをよく見かけるようになったが、決してしなやかな花ではない。むしろ強靭な花の印象だ。葛だってそうだし。
★おみなえし雲を行かせたあと独り/高橋正子
★女郎花山の葛垂る庭先に/〃
オミナエシ(女郎花 Patrinia scabiosifolia)は、合弁花類オミナエシ科オミナエシ属 の多年生植物。秋の七草の一つ。敗醤(はいしょう)ともいう。沖縄をのぞく日本全土および中国から東シベリアにかけて分布している。夏までは根出葉だけを伸ばし、その後花茎を立てる。葉はやや固くてしわがある。草の丈は60-100 cm程度で、8-10月に黄色い花を咲かせる。日当たりの良い草地に生える。手入れの行き届いたため池の土手などは好適な生育地であったが、現在では放棄された場所が多く、そのために自生地は非常に減少している。 日本では万葉の昔から愛されて、前栽、切花などに用いられてきた。漢方にも用いられる。全草を乾燥させて煎じたもの(敗醤)には、解熱・解毒作用があるとされる。また、花のみを集めたものを黄屈花(おうくつか)という。これらは生薬として単味で利用されることが多く、あまり漢方薬(漢方方剤)としては使われない(漢方薬としてはヨク苡仁、附子と共に調合したヨク苡附子敗醤散が知られる)。花言葉:約束を守る。名前の由来:異説有り。へしは(圧し)であり美女を圧倒するという説、へしは飯であり花が粟粒に見えるのが女の飯であるという説、など。
◇生活する花たち「桔梗・風船かずら・芹の花」(横浜都筑区ふじやとの道)
