4月14日(月)

★チューリップ剪り集めれば虹の色   正子
チューリップは、花々の中でも色の種類や模様を最も多く楽しむことができるものの一つではないでしょうか。そんなチューリップを切り花にしていっぱいに活けてみれば、まるでそこに虹が生まれたように明るさが広がるのでしょう。(小西 宏)

○今日の俳句
子ら池に足入れ遊び花楓/小西 宏
楓の花は、新緑の季節に先駆けて、暗紅色の花を開きかけた葉の先につける。遠目には、小さな丸い暗紅色の点に見え、かわいらしい。子どもたちは、子どもたちで、ようやく暖かくなったと思うと、はやも水を喜び、浅い池に入って、ザリガニや小さい魚など追いかけて遊ぶ。花楓も子どもたちの遊びも、季節を先駆けた新鮮さがある。(高橋正子)

○藤

[藤/横浜日吉本町(2013年4月13日)]_[芹の花/横浜・四季の森公園(2010年5月1日)] 

★草臥て宿かる比や藤の花 芭蕉
★月に遠くおぼゆる藤の色香哉 蕪村
★春の日の入所なり藤の花 一茶
★藤の花長うして雨ふらんとす/正岡子規
★天心にゆらぎのぼりの藤の花 沢木欣一
★藤房に山羊は白しと旅すぎゆく/金子兜太
★遠つ世へゆきたし睡し藤の昼/中村苑子
★勤めの途中藤の真下の虚空抜ける/堀 葦男
★藤房の中に門灯点りけり/深見けん二
★肩触れて肩かゆくなる藤の花/能村登四郎
★いちにちにゆふべのありて藤の花/鷹羽狩行
★杉あらば杉の高さに藤の花/朝妻力
★縄電車停車す藤の花かげに/増田富子

 フジ(藤、学名: Wisteria floribunda)は、マメ科フジ属のつる性落葉木本。ノダフジ(野田藤)ともいう。ノダフジ(野田藤)の名は、この種が植物学者の牧野富太郎により命名されるきっかけとなった、フジの名所であった大阪市福島区野田にちなんでいる(同区玉川の春日神社には、野田の藤跡碑が建立されている)。
 開花時期は、 4/15 ~ 5/ 5頃。花序は長くしだれて、20cmから80cmに達する。花は紫色。蔓(つる)は他の木などに右巻き(上から見て中心から外側へ時計回りに見える巻き方)に巻きつき、かなり太くなる。2mぐらいの長さの蔓になることもある。蔓はとても強く、古墳時代の巨大な石棺も、木ぞりに載せて、この藤縄で運んだらしい。夏になると新しい枝先からまた少し花が咲くことがある。これに似ている山藤(やまふじ)は左巻きに巻きつく。
 日本原産、日本固有種。本州・四国・九州の温帯から暖帯に分布する。一才藤(いっさいふぢ)として園芸用に流通する鉢がある。樹高50cmくらいの、鉢植えや盆栽にして愉しむための一才物のフジ。花枝はしだれるが、支柱などは不要。

◇生活する花たち「藤・しゃが・菜の花」(横浜市緑区・四季の森公園)

4月14日

●小口泰與
白雲の棚引く山や桃の花★★★★
棚引く白雲と桃の花の取り合わせが、のどかな景色を見せてくれている。(高橋正子)

ばらの芽のほどけてあえか風の中★★★
桜散る老後の貯えありしかな★★★

●河野啓一
斑鳩の野にやさしきや春の風★★★
南国の海のほとりや豆の花★★★★
ベランダに開く五色のチューリップ★★★

●桑本栄太郎
<同期会旅行高遠~富士五湖めぐりより>
天竜の大河に沿いぬ桃の花★★★★
春景の真中にながれ笛吹川★★★
芽吹き初めうすき茶色やぶどう棚★★★

●小西 宏
樟の新芽が赤い囀りに★★★★
タンポポがモンシロチョウを呼び止める★★★
庭よりは道に傾れて芝桜★★★

●多田有花
桜散り野山全き明るさに★★★★
桜が散った後の野山は、さまざまなの新緑色と初夏へと向かう日差しに、「全き明るさ」となる。
「全き明るさ」が桜のあとの景色をよく捉えている。(高橋正子)

風通り過ぎればしばし花吹雪★★★
一画に残りし大き山桜

●古田敬二
リラの花仰げば香り降りて来る★★★★
残雪の御岳遠望友病めり★★★
里桜薄暮に満開空に月★★★