■4月ネット句会■
■清記/19名57句
01.大根の花に夕日や海の風
02.選抜の野球果ており春惜しむ
03.青ざめて花の嵐に散りにけり
04.横浜の小径まがれば花辛夷
05.花の塵はなれし枝の影を載す
06.菜の花の向こうの富士を見降せり
07.砕けたる石を除けば蜥蜴出る
08.一握の砂読み終えて春かなし
09.奔放にあそべやあそべ春の鳥
10.咲きのぼる花色さやか塩ガ森
11.桜満ち堀に枝垂るる風のまま
12.花筏割りて浮き来る堀の鯉
13.斑なる浅間や佐久の花明かり
14.千本の桜わなわな雨の中
15.山茱萸の雨の数ほど散りにけり
16.花影や防犯カメラ校門に
17.風まとい頷き返す雪柳
18.甦る兄の軍装紫木蓮
19.森の辺を埋めて耀く桜花
20.はや芽吹き空に散るかな柿若葉
21.植木鉢に春の花苗とり合わせ
22.青空を飛んで桜の散りゆけり
23.コゲラ来て紅鮮やかに桃の花
24.子ら池に足入れ遊び花楓
25.本堂に甘茶零るる花祭り
26.淡き色いくつも滲む芽吹き山
27.河原に飛ぶ影滑る初燕
28.春の泥喜び跳ねる子の足裏
29.風光る女の揺らす耳飾
30.解け行く飛行機雲や花菜畑
31.供花添えて鶯音聞く心地よさ
32.ミモザ咲く寺門の紋に触れそうに
33.猫先へさきへと寺へ桜咲く
34.人溢れとんび高舞う花の山
35.枝移り鳥影忙し飛花落花
36.踏まぬよう見極む丘に初蕨
37.水脈を曳きゆたりゆたりと春の航
38.せっかくの嘘も言えずに萬愚節
39.捉えても逃げる記憶の春の月
40.ごうごうと山の桜に吹く風よ
41.花びらを透かして青き空仰ぐ
42.花満ちる峰を通りぬ時雨雲
43.咲き満てる花に出会いし嬉しさよ
44.咲く花も散る花も今ありてこそ
45.花冷えや三里をやいてあすを待つ
46.見上げれば桜と青空だけがある
47.花びらの途切れることなし大桜
48.目の前は桜遠くは瀬戸内海
49.花満ちて瑞枝の揺るる糸桜
50.子ら登るジャングルジムへ花の雲
51.燕もう来る頃母の忌近づきぬ
52.車窓打つ雨が辛夷や桜打つ
53.雨に花は花びら少しずつこぼす
54.チューリップ剪り集めれば虹の色
55.高き木の高きにすもも花盛り
56.道草咲く雄花雌花よ陽が西へ
57.花好きの多き街よ山茱萸咲く
◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、4月6日(日)午後10時から始め、4月7日(月)午前9時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
★多摩川の奥へと桜咲き連らぬ 正子
多摩川にかかる橋から川の堤に咲く桜を眺められたものでしょうか。あるいは高い位置から流れる川をごらんになったのか。桜が流れ来る川に沿って咲き誇っています。春のクライマックスです。
(多田有花)
○今日の俳句
朝の陽がまず差すところ桜花/多田有花
陽が昇り、まず差すところが桜の花。清楚でありながら桜花が華やかに浮き立つときだ。(高橋正子)
○勿忘草(わすれなぐさ)

[勿忘草/横浜日吉本町]
★小さう咲いて勿忘草や妹が許/村上鬼城
★まさに瑠璃富士を前なる勿忘草/中村草田男
★奏でる海へ音なく大河勿忘草/中村草田男
★勿忘草わかものの墓標ばかりなり/石田波郷
★勿忘草光りて呼ぶはちさき水面/香西照雄
★勿忘草蒔けり女子寮に吾子を入れ/堀口星眠
ヨーロッパ原産の伝説とロマンに富む多年草。高さ30センチくらいで、春から初夏にかけて咲き、梢頭にかれんな藍色の花をつける。白、桃色等もある。「forget-me-not」と英語で言う。勿忘草は、英語からの翻訳。高校生ぐらいになると、教科書にこういう単語が例語として出てくる。実際の花は知らず、先にこの英語を知って、いろいろと想像を巡らせ、ヨーロッパの風景に憧れもしたものだ。花の藍色も花の形も、まさにヨーロッパ色と形という感じがする。
★植えつけて勿忘草に空映る/高橋正子
勿忘草(ワスレナグサ)は、広義には、ムラサキ科ワスレナグサ属の種の総称。狭義には、ワスレナグサ属の一種、シンワスレナグサ(学名:Myosotis scorpioides)の和名。ただし、園芸業界でワスレナグサとして流通しているのは、ノハラワスレナグサ (M. alpestris)、エゾムラサキ (M. sylvatica)、あるいはそれらの種間交配種である。一般には、広義の意味で称される。季語は春である。
ヨーロッパ原産で、北半球の温帯から亜寒帯(ユーラシア大陸・アフリカ大陸・オセアニア)に約50種が分布している。日本に渡来したのは、明治時代に園芸業者がノハラワスレナグサ (M. alpestris) を輸入したのが最初と言われている。しかしワスレナグサ属ということでは、日本には元来、エゾムラサキ (M. sylvatica) 一種が自生分布している。
野生化して各地に群生しており、日本全国(北海道・本州・四国)に分布している。一般に日当たりと水はけのよい湿性地を好み、耐寒性に優れているが、暑さには弱い。二年生もしくは多年生植物の宿根草であるが、日本で栽培すると夏の暑さに当てられて枯れてしまうことから、園芸上は秋まきの一年生植物として扱われる(北海道や長野県の高地など冷涼地では夏を越すことが可能である)。
花期は3 – 5月(冷涼地では4月 – 7月)。春から夏にかけて薄青(紫)色・鮮青(紫)色(園芸種はさらに白色・ピンク色など)をした6–9ミリ径の小さい5弁の花を咲かせ、花冠の喉に黄色・白色の目(小斑点)をもつ。花は多数でさそり型花序をなし、開花とともにサソリの尾のような巻きは解けて真っ直ぐになる。高さは20–50センチになり、葉が互生に付く。葉は細長く平らで、長楕円形(葉の中央付近が最も葉の幅が広い)、もしくは倒披針形(葉先近くが最も葉の幅が広い)である。葉から茎まで軟毛に覆われており、属名の Myosotis は、そうした葉の様子(細長く多毛で柔らかい)が、ネズミの耳に似ていることに由来している(ギリシャ語の「二十日鼠 (myos) +耳 (otis)」が語源)。
別名「フォーゲットミーノット、forget-me-not」は、本来の名前。和名はこれの和訳。”私を忘れないでください”ドイツの伝説で、ドナウ川の岸に咲くこの花を恋人ベルタに贈ろうとして、誤って川に落ちて死んでしまった騎士ルドルフの物語からきている。その後ベルタはその言葉を忘れず、この花を一生髪に飾り続けた。
◇生活する花たち「木苺の花・著莪(しゃが)・姫林檎の花」(横浜日吉本町)

●小口泰與
山茱萸の散るや鳥語のあふれおり★★★
山茱萸の褪せて杏の咲く日かな★★★
花辛夷山の獣も目覚めけり★★★
●桑本栄太郎
鈍行の駅のホームや花の雨★★★★
つぎつぎに句の生まれいる春意かな★★★
散り敷きて道に片寄る花の冷え★★★
●河野啓一
さくら背に乱れ咲きおり雪柳★★★
小さき手を広げ芽立ちや柿若葉★★★
霞立つ朝空を行く鳥の群れ★★★★
●高橋秀之
呉線の車窓に桜延々と★★★★
呉線は、山陽本線から分かれて元軍港のあった呉へと回る線路である。トンネルが多いことでも知られるが、それだけ山裾を走るということ。車窓にも桜が延々と咲き続く。(高橋正子)
花マーク桜まつりのシャトルバス★★★
大桜周りの木々を従えて★★★