1月27日(月)

 早稲田大学
★枝打ちの銀杏冬芽が地に弾み  正子
一種の間引きなのでしょうか。春に備えて梢を揃え、強く育つようにと枝打ちするのでしょう。落とされた枝にも冬芽が並んでいます。みな将に春の芽に育たんと密かに力を溜めていました。そんな姿を「地に弾み」とあえて明るく詠われました。頭上には未来を託された芽が空に輝いています。(小西 宏)

○今日の俳句
波近き風自在なり冬鴎/小西 宏
鴎が波に低く飛ぶ。風は自在に波をあそばせ 鴎をあそばせている。こんな渚の風景は屈託がなく楽しい。(高橋正子)

○栴檀の実(せんだんのみ)

[栴檀の実/横浜日吉本町]

★海荒れに栴檀の実の落ちやまず 山口誓子
★橋白く栴檀の実の多きところ 中村草田男
★城址去る栴檀の実の坂下りて 星野立子
★栴檀の実を喰いこぼす鴉かな 河東碧梧桐
★栴檀の万の実揺るる戦没碑 大立しづ

 センダン(栴檀、学名: Melia azedarach)は、センダン科センダン属の落葉高木。別名としてオウチ(楝)、アミノキなどがある。「栴檀は双葉より芳(かんば)し」のことわざでよく知られるが、これはセンダンではなくビャクダン(白檀)を指す。
 樹高は5-15 mほどで、成長が早い。若い樹皮は紫褐色で楕円形の小さな横斑が点在するが、太い幹の樹皮は縦に裂け、顕著な凹凸ができる。夏の日の午後は梢にクマゼミが多数止まり、樹液を吸う様子が見られる。葉は奇数2-3回羽状複葉で互生し、一枚の葉全体の長さは50 cm以上ある。小葉は草質で薄い。楕円形で浅い鋸歯がある。5-6月頃に、若枝の葉腋に淡紫色の5弁の花を多数、円錐状につける。花にはアゲハチョウ類がよく訪れる。なお、南方熊楠が死の直前に「紫の花が見える」と言ったのはセンダンのことと言われている。
 果実は長径1.5-2 cmほどの楕円形の核果で、10-12月頃に黄褐色に熟す。秋が深まり落葉してもしばらくは梢に果実が残る。果実は果肉が少なく核が大きい。たまにヒヨドリなどが食べに訪れる。しかしサポニンを多く含むため、人、犬が食べると中毒を起こし摂取量が多いと死に至る。

▼ヒヨドリとセンダン(栴檀)の実 (気楽に山歩き、バードウォチング[2009/12/11]より転載)
 今年の1月10日に石神井公園にオオハクチョウが来ているという情報がTVで報道されていたので見てきました。
残念ながらその日はどこかにお出かけ中で出会ませんでしたが、ハシビロガモやゴイサギ等を見たので茶店でお茶を飲んでから帰ろうとした時ヒヨドリたちが賑やかに集まっている木がありました。それがセンダンの木でした。ヒヨドリたちが競うようにしてその実を食べたり、急いで嘴にくわえて飛び去ったりしていました。これはヒヨドリの大好物と思いました。
 青空をバックにセンダンの実を食べようとヒヨドリたちがホバリングをしたり、イナバウアースタイルをしたり、パクついたりする姿は初めて見る楽しい光景でした。
 この日の人出は多く、撮影を始めるとカメラをぶら下げた人たちが「何を撮影しているのですか?」と口々に聞いてきます。「センダンの実を食べるヒヨドリは見たことがなかったので撮影してます。」「珍しいのですか?」「そう思います。」「それじゃ。私も」と次々に集まってきて、10数人の撮影部隊が出来上がってしまいました。ヒヨドリもこれには驚いた様子ですっかり警戒しだし、どこかに姿を隠して、隙を見て飛んで来ては実を盗むようにして飛び去ります。後からの皆さんは一寸、タイミングを外してしまったようです。

◇生活する花たち「蝋梅・冬菊・さんしゅゆの実」(横横浜・四季の森公園)

1月27日

●小口泰與
雨しずくふくむ冬菜を摘みにけり★★★★
雨しずくのついた冬菜は一段と緑も濃く、生き生きとふくよかに育っている。冬菜にも寒さや冷たさにもめげない力がある。(高橋正子)

寒暁のビルあかあかと朝日影★★★
荒星のこぼるる山や牡丹鍋★★★

●古田敬二
大股に春の気配の風を行く★★★★
角曲がる北風強く向かい来る★★★
玄関に活けし白梅開きけり★★★

●下地鉄
石蓴汁椀の香りの湯気やさし★★★★
石蓴(あおさ)の味噌汁などは、磯の香りがして、湯気もやさしく立ち上って春らしいものだ。。一椀の汁に春がある。(高橋正子)

唐獅子の眼もやわらかき春ちかし★★★
寒椿山深くして音も無く★★★

●桑本栄太郎
寒林といえど梢の空へ空へ★★★
遠山の眠りを揺する日射しかな★★★

蝋梅の道の明かりを教会へ★★★★
「教会へ」とあるので、ヨーロッパの小さな村の雰囲気を想像してしまう。それは、蝋梅の花の「香り」よりも「明るさ」を詠んでいるせいであるだろう。(高橋正子)

●小西 宏
霜柱つま先に触れ瑠璃の音★★★
満天星の冬芽差す日の柔らかし★★★
鳥の声澄む晴天の枯林★★★★