1月24日(金)

★雲刷かれ梅の冬芽の枝真すぐ/高橋正子

○今日の俳句
富士山と冬夕焼の中に居る/川名ますみ
富士山はいつもしっかりと座っている。さびしさもあるけれど、あたたかさのある冬夕焼けに包まれて過ごすとき、大きく、偉大なものといる安心感がある。(高橋正子)

○寒木瓜

[寒木瓜/横浜日吉本町(2013年1月23日)]_[寒木瓜/横浜日吉本町(2012年12月5日)]

★近江路や茶店茶店の木瓜の花/正岡子規
★木瓜咲くや漱石拙を守るべく/夏目漱石
★木瓜の花こぼれし如く低う咲く/大谷句仏
★寒木瓜の蕊のぞきたる花一つ/阿部ひろし
★寒木瓜の刺の鋭き女坂/増田栄子
★寒木瓜を見つけし後の足軽し/819maker(ブログ俳句の風景)

★丘晴れていて寒木瓜の赤の濃し/高橋信之
★今青空に冬木瓜の実の確とあり/高橋信之
★寒木瓜の紅色深きをいぶかしむ/高橋正子

 ボケ(木瓜)は、バラ科の落葉低木。学名Chaenomeles speciosa(シノニムC. lagenaria)。花:3~4月に葉よりも先に開く。短枝の脇に数個つき径2.5~3.5cm。色は基本的に淡紅、緋紅。白と紅の斑、白などがある。実は花梨のように大きな黄色い実がつく。樹高:1~2m。枝:若枝は褐色の毛があり、古くなると灰黒色。幹:樹皮は縦に浅く裂け、小枝は刺となっている。葉:長楕円形・楕円形。長さ 5~9cmで鋭頭でまれに鈍頭。基部はくさび形で細鋭鋸歯縁。
 寒木瓜と木瓜と同じ品種だが、ふつうは3月から4月に咲くのに対して、11月頃から咲き出す花は、春に開花するものと区別するため「寒木瓜(かんぼけ)」と呼ばれることがある。木瓜と同属の植物にクサボケ(草木瓜、Chaenomeles japonica 英名Japanese quince)がある。50cmほど。実や枝も小振り。本州や四国の日当たりの良い斜面などに分布。シドミ、ジナシとも呼ばれる。花は朱赤色だが、白い花のものを白花草ボケと呼ぶ場合もある。日本に自生するボケはクサボケといわれる同属の植物。果実はボケやカリン同様に良い香りを放ち、果実酒の材料として人気がある。減少傾向にある。
 花言葉は「先駆者」「指導者」「妖精の輝き」「平凡」。原産地:中国大陸。日本に自生するボケはクサボケといわれる同属の植物。

◇生活する花たち「獅子頭(寒椿)・藤冬芽・老鴉柿(ロウヤガキ)」(東京・小石川植物園)

1月24日

●小口泰與
嫗(おうな)らの噂ばなしやちゃんちゃんこ★★★
手袋の中じんじんと痺れけり★★★
盛んなる利根の白波暖炉かな★★★

●下地鉄
星屑の離れて美しき寒の空★★★★
「星屑の離れて」は、星が次第に消えていく夜明けか。目裏にはまだ星屑が残り、張りつめた空気に寒の空が明けてくる。美しい夜明けである。(高橋正子)

点眼の日に5度となり日脚のぶ★★★
寒晴れや硬便やっと出でにけり★★★

●桑本栄太郎
剪定の瘤より枝の冬芽かな★★★
こんもりと桂離宮や寒の暮れ★★★
部活子の声駈けめぐり日脚伸ぶ★★★★
日脚が伸びると放課後の部活動も活発になる。サッカーなどする子どもらの声であろうか、ボールの動きを追いかけて声が駆けめぐる。それがまた逆に、日脚が伸たことを実感させてくれるのだ。(高橋正子)

●多田有花
晩冬を思う日差しの明るさに★★★
城跡の古刹の庭の実南天★★★
夕空の底金色に日脚伸ぶ★★★★

●小西 宏
南より悠々と雲春を待つ★★★
ひとり座し釣り果なけれど冬日和★★★
枯枝の空透き青を耀かせ★★★★

●佃 康水
梅蕾ふふみ瑞枝は空を差し★★★★
梅の蕾のふくらむころの空は、日脚が伸びるころで、青な空のこともあれば、柔らかな空色のこともある。新しく出た瑞枝が空に突き出ている勢いもすっきりと潔い。(高橋正子)

鴨の群日差す中洲に丸まれり★★★
池深く色滲ませて寒の鯉★★★