1月16日(木)

★寒空の青に鳥らの飛ぶ自由  正子
寒空の広々とした澄んだ大空は鳥たちが自由に飛ぶに十分な雄大さです。(高橋秀之)

○今日の俳句
冬草に海の青さが押し寄せる/高橋秀之
海の岸辺近くの冬草。日にかがやく海の青が強くて、冬草にまでその光が及んでいる景。テーマは「冬草」。(高橋正子)

○桜冬芽

[桜冬芽/横浜市緑区北八朔(2013年1月9日)]_[桜の花/横浜日吉本町(2011年3月27日)]

★蔵したる桜冬芽の守る句碑/稲畑汀子
★雨雫桜冬芽に小宇宙/堀佐夜子
★城跡へ桜冬芽の未だ固し 惟之
★尖りしは桜冬芽の力なり/高橋正子
★青空に桜冬芽の赤味帯ぶ/高橋正子

 2月9日に海老谷桜の再生状況について、専門家や地元の皆さんと検討会を開催しました。その内容について報告します。
 海老谷桜の状況は、各枝の色あいや艶(つや)も良く、新しい枝も延びてきていますし、枝には冬芽(とうが 花や葉のもとになる芽)もしっかりと付いて膨らみ、春に向けた準備が確認できます。全体的には、順調な回復をみせていると言えます。しかし、根や幹枝の状況や冬芽の付き方を細かく観察すると、現在の再生は、人間の助力によるところが大きく、今後も引き続き支えていかなければならない状況であると判断され、依然として、その再生には予断を許さない状況にあります。
 開花のためのエネルギー消費は、大きなものがありますが、最も大量に消費するのが、開花後の「実」を付ける営みです。そのため、「実」を付けさせないように人間がコントロールすることが大切であるとの認識で一致しました。その方法としては、海老谷桜自身の力を引き出すために、自然な形で開花させた後、速やかに花を摘み取る方法と最初から人間がコントロールする形で花芽(はなめ)を摘み取り、花を咲かせない方法があります。この点について検討した結果、市としては、冬芽が成長して花芽と葉芽(はめ)に識別できる3月後半の段階で、花芽の量や付き方を調査し、最終的に判断することにしました。
多くの皆さんが花咲く海老谷桜の姿を思い、ご支援、ご心配をいただいておりますが、引き続き見守っていただきたいと思っております。(浜田市のホームページより)

◇生活する花たち「寒桜・房咲き水仙・鈴懸の実」(神奈川・大船植物園)

1月15日-16日

1月16日

●小口泰與
寒声や風に逆らう鴉二羽★★★

せんべいの売上伸びし空っ風★★★★
空っ風が吹く日は、炬燵やストーブを囲み、熱いお茶を呑み、せんべいを食べることが多いのだろう。勢いせんべいがよく売れる。結構なことだ。(高橋正子)

夕づきて干かごの餅揺れにけり★★★

●小西 宏
土黒く載せて雲母(きらら)の霜柱★★★★
霜柱が黒土を持ち上げていることがある。黒土に混じって雲母が輝いていることもあって、自然の成り行きながら驚かされる。(高橋正子)

冬晴の梯子に籠り松手入れ★★★
枯枝に柿刺してあり鳥の為★★★

●桑本栄太郎
赤き実の空へ干乾び寒晴るる★★★
水色の空に背伸びや冬芽どち★★★
水禽のつがいの離れ呼び合える★★★

●多田有花
むかし綿いまはダウンのちゃんちゃんこ★★★

寒の夕沖金色に光りけり★★★★
入日間際の日が沖に反射し、沖は金色になる。寒の夕が金色を渋くさせて、落ち着いている。(高橋正子)

万両や古刹が伝える略系図★★★

1月15日

●小口泰與
うま酒の信濃にありて冬の月★★★
切炬燵玉子ごはんのほっかほか★★★

藁仕事煤のつきたる自在鉤★★★★
炉辺での藁仕事はが昔ながらに続いているのも貴重なことだ。炉の上にぶら下がる自在鉤もさすがに煤けて年代を感じさせている。(高橋正子)

●多田有花
土を崩せばきらやかに霜柱★★★
寒の陽を浴び石段を登る★★★

池凍り真昼の日差し跳ね返す★★★★
凍った池が跳ね返す真昼の光の白い世界が洒落ている。「真昼」なので光に混ざりけがない。(高橋正子)

●桑本栄太郎
寒晴れの起重機高く日の中へ★★★★
起重機は機械でありながら、人間的な雰囲気がある。寒晴れの日の中に突き出て作業をしている様子は、見ていても面白いものだ。(高橋正子)

一月の真中や川の涸れ尽きぬ★★★
水色の空に風花舞い揚がる★★★

●河野啓一
網張って虫よけしたる冬野菜★★★
冬ざれの並木道にも鳥の影★★★

稜線をそぎ落としたる雪六甲★★★★
雪が積むと山稜がくっきりとする。無駄をそぎ落としたような厳しい姿を見せる。雪嶺の厳しい美しさである。(高橋正子)

●小西 宏
昼どきの物思いして雪を待つ★★★
探梅の谷地深きなる薄緑★★★

太箸に粗(あら)を突ついて鮟鱇鍋★★★★
「太箸」がいい。酒が進み、話が湧いている男連中の囲む鮟鱇鍋だろう。(高橋正子)