12月24日(火)

★柚子の香に頬のほのかに温まる  正子
当時を迎え菖蒲湯の季節です。ほんのりと頬に優しい湯気の香りと暖かさ。さっぱりとしたこの時季の温かさを味わわせていただきました。(河野啓一)

○今日の俳句
寒林を突き抜けてくる鳥の声/河野啓一
木の葉を落としたり、黄葉もからからと枯れ、常緑樹も真冬の色となった寒林には、引き締まる空気がある。その林を抜けてくる鳥の声も鋭く耳に届く。冬も鳥らは元気である。(高橋正子)

○クリスマスローズ

[クリスマスローズ/ネットより]

★クリスマスローズ咲かせる窪の家/松崎鉄之介
★クリスマスローズ仰向くことのなく/椋本一子
★クリスマスローズかかへて友を訪ふ/坂本知子
★また一つクリスマスローズの鉢殖やす/渡邉紅華
★クリスマス来るたび母の誕生日/品川鈴子
★船上を人かげ歩むクリスマス/鷹羽狩行
★昇降機に英語満ち充つクリスマス/林翔

★牡蠣を焼きピザを頼みてクリスマス/高橋正子
★風邪に臥し一日清しクリスマス/高橋正子

 「クリスマスローズ」という呼称はクリスマスのころに開花する「ヘレボルス・ニゲル」だけを指した呼称であるが、日本の園芸市場では「レンテン・ローズ」と呼ばれる「ヘレボルス・オリエンタリス」なども「クリスマス・ローズ」の名前で出回る。多くの品種は、クリスマスのころではなく春に開花する。
 ヘレボルス(Helleborus)はキンポウゲ科のクリスマスローズ属に分類される植物の総称。ヘレボラスともいう。「チベタヌス」が中国の四川省から雲南省にかけて自生しているのを除けば、15の原種の全てが、東ヨーロッパからバルカン半島からトルコ、シリアに自生している。20世紀後半の品種改良は主にイギリスでヘレン・バラードや、エリザベス・ストラングマンによって進められた。「クリスマスローズ」という呼称も「イギリスのクリスマス」に開花するという意味である。夏は休眠状態となり根は活動を休止し、呼吸しているだけの状態となる。花に見える部分は植物学上では「花」ではなく「がく片」という部分である。そのため「鑑賞期間」が比較的長い。 ただし本来の花弁も蜜腺として残り、これが大きく発達したものを選別した品種もある。

◇生活する花たち「茶の花・花八つ手・木瓜」(横浜下田町・松の川緑道)

12月24日

●小口泰與
侘助や山のあわいに日の沈み★★★
寒林や岩と白波相うてり★★★
突風にあわや飛び立つ寒雀★★★

●桑本栄太郎
蓮枯れの水面耀ようばかりなり★★★
暮れかかる峰に日当たる冬の嶺★★★

水色の空の雲間や冬入日★★★★
穏やかな冬の入日に心が和む。空の水色は冬の季節、うれしい色だ。(高橋正子)

●佃 康水
巨大なる聖樹や夜空瞬かす★★★

子ら来るに布団干しより年用意★★★★
年用意はいろいろある。お天気の良い日が続くとは限らないし、うっかりすると布団干しの日を逃す。まず寝具を気持ちよくして子どもたちを迎えたい。あたたかい心遣い。(高橋正子)

三日目は輪切りに替えて柚子湯かな★★★
 
●多田有花
山と山つなぎ冬至の虹かかる★★★★
日のいちばん短い冬至に虹がかかるのも珍しい。山と山をつないで虹がかかるのも、この日が特別な日だからという思いがする。(高橋正子)

雲晴れて奥山冬至の雪化粧★★★
海近し寒気の雲の端光る★★★

●小西 宏
公園の落葉だまりの水飲み場★★★★
からからと乾いた落葉の吹き溜まり。そんなところの水飲み場は、いつでも水が噴き出しそうで、よい感じだ。(高橋正子)

葦枯れて水面に映る空の青★★★
人込みに買い物を終え紅山茶花★★★

●古田敬二
ボヘミヤを薪積むトラック疾走す★★★
ボヘミヤの平原小さく冬の川★★★
薪積む霜降る村を過ぎにけり★★★

●高橋秀之
瀬戸内のみかん畑は延々と★★★
潮待ちの石灯篭や冬の海★★★

島々を抜けて小船に冬日差す★★★★
島影をゆくときは日もかげる。島影から出れば、小船に穏やかな日が差す。多島海の瀬戸内海は冬ものどかである。(高橋正子)