11月18日(月)

★眩しかり渚に並ぶゆりかもめ  正子
眩しいほどの陽のひかりを浴びて、渚に列をなしてぷかぷかと浮かぶ「ゆりかもめ」の姿が目に爽やかです。季節は進み、はや北の国から渡ってきた冬鳥、ゆりかもめ、です。 (小川和子)

○今日の俳句
小春日の芝生へ児ら吹くシャボン玉/小川和子
芝生で遊ぶ児がしきりにシャボン玉を吹いている。小春日のうららかさが、シャボン玉を吹く児を通してよく詠まれている。(高橋正子)

○レモン

[レモン/川崎市高津区子母口]

 レモン(檸檬、英語: lemon、学名: Citrus limon)は、ミカン科ミカン属の常緑低木、またはその果実のこと。柑橘類のひとつである。レモンの近縁種の一つ、シトロンの別名がクエン(枸櫞)で、クエン酸の名はこれに由来する。
 原産地はインド北部(ヒマラヤ)。樹高は3mほどになる。枝には棘がある。葉には厚みがあり菱形、もしくは楕円形で縁は鋸歯状。紫色の蕾を付け、白ないしピンクで強い香りのする5花弁の花を咲かせる。果実は紡錘形(ラグビーボール形)で、先端に乳頭と呼ばれる突起がある。最初は緑色をしているが、熟すと黄色になり、ライムにもよく似ている。ただし、レモンと名は付いていても他の柑橘類と交雑した品種(マイヤーレモンやサイパンレモンなど)では栽培環境で果実の形が変わり易く球形に近いものや、熟すとオレンジ色になるものもある。
 レモンを題材とした作品:梶井基次郎 『檸檬』、主人公が檸檬を爆弾にみたて、丸善を爆破する幻想に駆られる物語。さだまさし 『檸檬』、梶井の小説をヒントにしつつ、舞台を御茶ノ水に置換え、青春時代の恋愛の無常さを描いた楽曲。ヨハン・シュトラウス2世 『レモンの花咲くところ』 (シトロンと訳す場合もあり)。高村光太郎 『レモン哀歌』、妻智恵子との死別を書いた詩。

◇生活する花たち「鶏頭・皇帝ダリア・鈴懸黄葉」(横浜市港北区高田町・早淵川土手)

11月18日

●小口泰與
日を乗せて舟のくだるや小六月★★★★
下る舟を鳥瞰した図か。川をながめると、舟が日を乗せて下って行く。まさに小六月の日差しである。(高橋正子)

冬ばらの咲くに力の限りかな★★★
夢覚めて蹠つめたき仏間かな★★★

●小川和子
落葉踏む文学館へと続く道★★★
欅落葉どっと降らせて風去りぬ★★★★
一陣の風が欅の葉をどっと降らせたのだ。そして去って行った。風の又三郎の仕業を思う。見事というほかない。(高橋正子)

影を置くみずきに空の冴えゆけり★★★

●黒谷光子
団栗を踏みつつ山に佛花切る★★★★
光子さんは、仏花を探しに山へよく行かれる。花屋で求められるのではなく、この度は団栗を踏んで花を切った。季節折々の花や木の枝が気持ちを籠められて仏花となる。(高橋正子)

冬晴れの木の間はるかに竹生島★★★
あざやかに赤と黄杜の冬はじめ★★★

●多田有花
鉄塔がつなぐ山々十一月★★★★
冬になると、山々に立つ鉄塔が目につく。送電線が伸びて山々をつなぐ。ただそれだけの景色なのに、十一月の特徴をよく伝えている。(高橋正子)

峪深く金鉱跡や冬紅葉★★★
時雨去る露天のお湯にひとりいる★★★

●桑本栄太郎
散策の歩が伸び遠き冬田かな★★★★
散策も、ついつい予定より遠くへ来てしまった。そこからは、遠くに冬田が見える。望郷の冬田でもあるのだろう。(高橋正子)

冬紅葉どうだんつつじの緋の色に★★★
つわぶきや何処に在りても石の供★★★