★白ばらの空気を巻いていて崩る 正子
咲き誇っていた白ばらが、その美しさを崩してゆく姿を、とても優しく詠まれています。辺りに漂っていた気品さ、優雅さなども、白ばらの容姿とともに崩れてゆくようです。「空気を巻いていて」のことばに感銘いたしました。(藤田裕子)
○今日の俳句
ピアノ曲流れ軽やか空五月/藤田裕子
ピアノ曲が流れ、気持ちが軽く明るくなる。空は五月のうるわしさそのもの。よい季節のさわやかな気持ち。(高橋正子)
○ジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)

[ジャーマンアイリス/横浜市都筑区ふじやとの道]
ドイツアヤメ (Iris germanica) はアヤメ科アヤメ属の植物の一種。別名のジャーマンアイリスで呼ばれることが多い。本種は、アヤメ属の植物を交雑して作出されたもので野生のものはない。1800年代の初期にドイツ、フランスで品種改良され、その後、アメリカが多数の品種を出している。花期は5 – 6月ごろである。
◇生活する花たち「山躑躅・武蔵野きすげ・あやめ」(東京白金台・自然教育園)

●小口泰與
白藤やくさり樋より雨しずく★★★
チューリップ赤白黄の明るさよ★★★★
明快な句。はっきりした諧調が快い。(高橋正子)
散髪の鋏の音や柿若葉★★★
●桑本栄太郎
<山口、雪舟庭園>
石庭の石に揺れ居り若葉影★★★
つつじ咲く風のみどりや雪舟庭★★★
白藤のみどりの風に揺れ止まず★★★
●河野啓一
連休の旅の土産や風薫る★★★
青空へジャスミンの蔓立ち上がる★★★★
芳香を放ち咲く花のジャスミンの蔓が今伸び盛り。青空へ向かって立がる。南国空にあこがれているのか。(高橋正子)
茉莉花の香りて白き夕べかな★★★
●小西 宏
木漏れ日も新緑の色遊歩道★★★
草刈りの匂いの甘し風の澄み★★★
【原句】丈高きポプラ若葉や雲の行く
【原句】丈高きポプラ若葉よ行く雲よ★★★★
ポプラの若葉と行く過ぎる白い雲。ヨーロッパ的な風景が、爽やか。(高橋正子)
●古田敬二
滑らかな丸さよ青梅葉隠れに★★★
青梅の太るや枝がしなるほど★★★
柔らかに光を透かせて柿若葉★★★
●川名ますみ
菖蒲抱くひと過ぎ菖蒲提ぐるひと★★★
エレベーターホールに菖蒲抱く人ら★★★★
端午の節句。この人の家もあの人の家も菖蒲湯を立てるのだろう。マンションのエレベーターホールは菖蒲を抱く人でいっぱい。今夜の菖蒲湯にわくわくしてくる。(高橋正子)
夫々に菖蒲を抱ける家族過ぐ★★★