4月30日(火)

★聖書繰る野の青麦を思いつつ  正子
作者は青々とそよぐ麦畑を心にうかべつつ聖書を開かれたのでしょう。御句に接し、私もまた、新約聖書.ルカによる福音書.6章1節、などのページを繰りました。(小川和子)

○今日の俳句
青紫蘇を水に放ちてより刻む/小川和子
青紫蘇をしゃっきりと香りよく、細く切るためには、水に放して、いきいきとさせて刻む水と紫蘇の出会いが涼しさを呼び起こしてくれる。(高橋正子)

○母子草(ははこぐさ)

[母子草/東京・深川芭蕉記念館裏の隅田川土手] 

★老いて尚なつかしき名の母子草/高浜虚子
★語らいは遠き日のこと母子草/古市あさ子
★拔け道にしつかり根付く母子草/植木里水
★ほんわりと子を抱くかたち母子草/高橋正子
★ほうこ草ほうこ草と呼びし祖母/高橋正子

 ハハコグサ(母子草、学名: Gnaphalium affine)は、キク科ハハコグサ属の越年草である。春の七草の1つ、「御形(ごぎょう、おぎょう)」でもあり、茎葉の若いものを食用にする。冬は根出葉がややロゼットの状態で育ち、春になると茎を伸ばして花をつける。成長した際の高さは10〜30cm。葉と茎には白い綿毛を生やす。花期は4〜6月で、茎の先端に頭状花序の黄色の花を多数つける。
 中国からインドシナ、マレーシア、インドにまで分布する。日本では全国に見られるが、古い時代に朝鮮半島から伝わったものとも言われる。人里の道端などに普通に見られ、冬の水田にもよく出現する。
 かつては草餅に用いられていた草であった。しかし、「母と子を臼と杵でつくのは縁起が良くない」として、平安時代ごろから蓬に代わったともされているが、実際には、出羽国秋田や丹後国峯山など、地方によっては19世紀でも草餅の材料として用いられている。もっとも、古名はオギョウ、またはホウコである。新芽がやや這うことから「這う子」からなまったのではとの説もある。ハハコグサの全草を採取し細かく裁断して日干しし、お茶にする。咳止めや内臓などに良い健康茶ができる。これには鼠麹草(そきくそう)という生薬名があるが、伝統的な漢方方剤では使わない。

○生活する花たち(新緑の東京隅田川)
「スカイツリー(浅草水上バス乗り場より)・日本橋(水上バス船上より)・清洲橋(水上バス船上より)」

4月30日(火)

●小口泰與
渓流を釣り上がりしや山つつじ★★★
雨上がりさえずり高き牧の朝★★★
鳥達の森に逃げ行く黄砂かな★★★

●井上治代
山あいに夢のじゅうたん芝桜★★★
広き田にちらほら咲けるれんげ草★★★
庭の隅なんと小さき母子草★★★

●河野啓一
新緑の窓辺に座して烏鷺かこむ★★★
雨上がり街路樹みんな若緑★★★

ひなげしの色載せ丘のゆれており★★★★
丘一面に咲きそろったひなげしの花。丘は一面にひなげしの花を載せている。そよ風が吹けば、丘ごと揺れる。目に安らかな快い明るい景色である。(高橋正子)

●桑本栄太郎
黄金週間テニスコートの音弾む★★★
青柳の名もなき橋に風を呼ぶ★★★
<京都市内散策>
著莪の花木陰に風の高瀬川★★★

●黒谷光子
ふる里の草餅提げて弟来る★★★
石楠花の満開の前いもうとと★★★
石楠花も牡丹も写し帰りゆく★★★

●下地 鉄
若夏のカーテン透く柔陽かな★★★
残照の風に戯る茅花かな★★★★
百合の花影を揺らして今日も咲く★★★