4月24日(水)

 小石川植物園
★やわらかに足裏に踏んで桜蘂  正子
地面に降り敷いている桜蘂を踏むとふんわりとした絨毯のような感触が足裏につたわります。なんとなくうれしくなるひとときです。(井上治代)

○今日の俳句
チューリップ一万本の赤うれし/井上治代
一万本の赤いチューリップに、思わず微笑みと嬉しさがこみ上げてくる。チュ-リップと言えば、まずは赤、その可愛らしさ、あどけなさを素直に受け止めているのがよい。(高橋正子)

○花水木

[花水木/横浜日吉本町(左:2010年4月27日・右:2012年4月29日)] 

★一つづつ花の夜明けの花みづき/加藤楸邨
★アパートは新装アメリカ花水木/林翔
★松屋通りアメリカ花水木の盛り/宮津昭彦
★花水木街へ海光真直に/有馬朗人
★三郎の忌日埋めゐし花水木/高島茂
★女子寮に皿洗ふ音花水木/皆川盤水
★花水木手を空へ向け深呼吸/中村忠男
★独り居に慣れて明るき花水木/広木婦美
★定年はやがてくるもの花みづき/日下部宵三
★待ち合わす銀座の角の花水木/高橋正子

 ハナミズキ(花水木、学名:Benthamidia florida)はミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。北アメリカ原産。別名、アメリカヤマボウシ。ハナミズキの名はミズキの仲間で花が目立つことに由来する。また、アメリカヤマボウシの名はアメリカ原産で日本の近縁種のヤマボウシに似ていることから。
 ミズキ科の落葉小高木。樹皮は灰黒色で、葉は楕円形となっている。北アメリカ原産。花期は4月下旬から5月上旬で白や薄いピンクの花をつける。秋につける果実は複合果で赤い。庭木のほか街路樹として利用される。栽培する際には、うどんこ病などに注意する。またアメリカシロヒトリの食害にも遭いやすい。
 日本における植栽は、1912年に当時の東京市長であった尾崎行雄が、アメリカワシントンD.C.へ桜(ソメイヨシノ)を贈った際、1915年にその返礼として贈られたのが始まり。この話は、1981年海底版の日本の中学生向け教科書「NEW PRINCE」中3版でもエピソード的に取り上げられた。なお、2012年に桜の寄贈100周年を記念して、再びハナミズキを日本に送る計画が持ち上がっている。
 ハナミズキの深刻な病害であるハナミズキ炭疽病の感染地域では、感染によってハナミズキの街路樹が枯死すると、ハナミズキ炭疽病に抵抗性があるヤマボウシまたはハナミズキのヤマボウシ交配品種に植え替える病害対策が行われることがある。

◇生活する花たち「いちはつ・藤・梨の花」(横浜市緑区北八朔町)

4月24日(水)

●小口泰與
外つ国の人も交りて花莚★★★
雪解けの山襞迫り指呼の間に★★★★
竹秋や利根の流れの滔々と★★★

●黒谷光子
山門へ溢るる馬酔木見上げつつ★★★
九体佛御座す明るき春障子★★★★
傍らに木椅子おかれて藤の花★★★

●小西 宏
我が家にも蜜蜂の来て躑躅突く★★★
景借りし隣家の庭に春惜しむ★★★
花韮の薄き青ゆれ夏近し★★★★
韮の花は、白く初秋に咲くが、花韮は韮に似た葉ではあるが、花は星型をして春に咲く。白い花もあれば、薄い青色の花もある。花韮が咲き満ち、風に揺れると夏も近いと感じる。光と風はもう夏めいているのだ。(高橋正子)

●河野啓一
樟若葉見上げて高きうす茜★★★
送迎車緑の雨の中を行く★★★
青竹に鯉泳がせし頃のこと★★★

●多田有花
噴水がとどく青空夏近し★★★
鍋で炊く春筍のご飯かな★★★
春荒の部屋で読みつぐ探検記★★★

●桑本栄太郎
さえずりの北京語めける梢かな★★★
饒舌は吾の十八番よ揚ひばり★★★
夕暮れの赤の哀しきすいばの穂★★★

●下地鉄
微かなる泰山木の花落ちて★★★
風吹けば花のかおりの泰山木★★★
卯波はや遠くに海の蒼さかな★★★