2月12日(火)

★梅の花いつもきれいな青空に   正子
梅の花が咲き、ようやく暖かさを感じさせるようになった春の空の輝き。その大きな喜びが「いつもきれいな」に籠められて、私たちの心にも伝わってきます。(小西 宏)

○今日の俳句
枝ゆらし光ゆらして春の鳥/小西 宏
枝に止まった鳥が、枝移りをするのか枝が揺れる。それを見ていると、光も揺らしているのだ。枝を張る陽光に満ちた木、枝移りする鳥が、なんと早春らしいことよ。(高橋正子)

○ネット短信
■ネット短信No.178/2013年2月11日発信
□発信者:高橋正子(花冠代表)
□電話:045-534-3290
■□花冠4月号校正!
各自ご自分の俳句や原稿をご確認ください。訂正がありましたら、下記ブログの
<コメント>にお書き込みください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan12/
■□迫田和代句集『遠い日』/近日刊行 new!
下記アドレスの迫田和代さんのブログに句集原稿のファイルがリンクされていますので、
お読みください。書籍の句集は、花冠俳句叢書第30巻で、3月29日発行の予定です。
http://blog.goo.ne.jp/suien15/
■□第21回(立春)フェイスブック句会入賞発表
【金賞】
★枝ゆらし光ゆらして春の鳥/小西 宏
枝に止まった鳥が、枝移りをするのか枝が揺れる。それを見ていると、光も揺らしている
のだ。枝を張る陽光に満ちた木、枝移りする鳥が、なんと早春らしいことよ。(高橋正子)
その他の入省作品は下記アドレスのブログを御覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02d/
■□高橋正子の俳句日記(ブログ)
以下の方の句をご紹介していますので、ご確認ください。
河野啓一(2/17)小川和子(2/16)祝恵子(2/15)佃康水(2/13)
http://blog.goo.ne.jp/kakan02/

●花冠創刊30周年事業案内句集出版など
http://blog.goo.ne.jp/suien60/
●花冠同人ブログ集
http://suien.ne.jp/0003/blog/haikublog.htm
●インターネット俳句センター
http://kakan.info/

○紅梅

[紅梅/横浜・四季の森公園]

★紅梅や見ぬ恋つくる玉すだれ 芭蕉
★紅梅や入日の襲ふ松かしは 蕪村
★紅梅や照日降日の中一日 暁台
★紅梅や大きな弥陀に光さす 太祇
★紅梅にほしておくなり洗ひ猫  一茶
★紅梅や雨のふりたるぬり盥 成美
★梅の中に紅梅咲くや上根岸 子規
★紅梅や文箱差出す高蒔絵 漱石
★紅梅や日和の影を雲の上/長谷川櫂
★坂下はすぐに汀や薄紅梅/小澤克己
★紅梅や湯上りの香の厨ごと/岡本眸
★紅梅に空あをくなれ青くなれ/林翔
★紅梅や庭に富士見の丘築き/宮津昭彦
★紅梅のつめたき枝をさしかはし/高田正子

四季の森公園へ行った帰り道、辛夷が無数に蕾を付ける街路樹のある歩道を脇に入ったところ。紅梅の匂いがした。紅梅のあることを知らなかった場所にこれも無数の蕾を付けた紅梅の木が立っている。二本。ふくよかな匂いがする。かすかに薔薇のような匂いがする。まじまじと見れば童女のようにあどけない。

★おしばなの紅梅円形にて匂う/高橋正子

日記帳にひそかに挟み、忘れたころに見つかる。押し花になってもいい匂いがする。自分の、誰に見せるわけでもない小さな宝物である。

★紅梅咲く隣家に黒衣の人出入り/高橋正子
うららかな紅梅日和、法事があるのだろう。黒衣が日にきらめいていた。

 梅 (うめ、学名:Prunus mume)は、薔薇(ばら)科。開花時期は、1月中旬頃から咲き出すもの、3月中旬頃から咲き出すものなど、さまざま。漢名でもある「梅」の字音の「め」が変化して「うめ」になった。中国原産。奈良時代の遣隋使(けんずいし)または遣唐使(けんとうし)が中国から持ち帰ったらしい。「万葉集」の頃は白梅が、平安時代になると紅梅がもてはやされた。万葉集では梅について百首以上が詠まれており、植物の中では「萩」に次いで多い。別名は「好文木」(こうぶんぼく)、「木の花」(このはな)、「春告草」(はるつげぐさ)、「風待草」(かぜまちぐさ)。1月1日、2月3日の誕生花。花言葉は「厳しい美しさ、あでやかさ」
 ウメにまつわる言葉
 「桜伐(き)る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」 春先に咲く代表的な花である桜と梅のふたつを対比しつつ、栽培上の注意を示したもの。桜はむやみに伐ると切り口から腐敗しがちであり、剪定には注意が必要。一方、梅の樹は剪定に強く、むしろかなり切り詰めないと徒枝が伸びて樹形が雑然となって台無しになるばかりでなく、実の付き方も悪くなる。花芽は年々枝先へと移動する結果、実が付く枝は通常数年で枯れ込んでしまう。実の収穫を目的とするのであれば、定期的に枝の更新を図る必要があるからである。 「東風(こち)吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ」 菅原道真が大宰府に左遷されるとき、道真の愛した庭の梅の花に別れを惜しんで詠んだ歌。後に庭の梅木が道真を追って大宰府に飛んできた、という「飛梅伝説」がある。 「桃栗三年、柿八年、柚(ゆず)の馬鹿野郎十八年、梅はすいすい十六年」 種を植えてから実を収穫できるまでの期間を指す俚謡。本来は「桃栗三年柿八年」で一つの諺。「物事は簡単にうまくいくものではなく、一人前になるには地道な努力と忍耐が必要だ」という教訓である。

◇生活する花たち「さんしゅゆの花蕾・節分草・雪割草」(横浜・四季の森公園)

●添削2月②●

[2月10日~16日]

▼2/16

●黒谷 光子
苔むしし古寺の石垣春の雪★★★
墨塗らる門院の御影冴え返る★★★
泉水を臨み手かざす春火鉢★★

●佃 康水
残雪の光りへ杉の長き影★★★
ゆったりと四肢伸ぶ亀へ水温む★★★
新駅の普請の音へ春の雪★★★★

●小西 宏
ひと雨の土艶やかや梅の苑★★★
笹吹かれ青天深き春の寒★★★
春風の池かがやかせ寄せ来たる★★★

●河野 啓一
風花の舞うや朝日にきらきらと★★★
春寒し日差しの中に杖突きて★★★
けなげなる子持雀の太さかな★★★

●桑本 栄太郎
突風の嶺から里へ春の雪★★★
ワイパーに刷かれしずくや春の雪★★★
竹林の笹に春雪しづりけり★★★

●多田 有花
快晴の余寒の朝へ干し物を★★★★
春雪に姿隠して北の山★★★
早春やカリフォルニアの柘榴食ぶ★★★

●迫田 和代
我儘に朝湯を浴びる春の風邪★★
咲いて香り散って香れる梅日和★★★
春が来て窓からの音ゆったりと★★★

●小口 泰與
うららかに和紙に包まる和菓子かな★★★★(正子添削)
ほのかに透ける和紙に和菓子が包まれ、うららかな春そのもの。透けるものの美しさは、日本的な美であろう。(高橋正子)

空を見よ春のあけぼの赫に染め★★★
思うこと春朝焼けの紅の色★★★

▼2/15

●古田 敬二
土を掻けば団栗湿りて芽吹きけり★★★
梅林の一角先駆け咲く気配★★★
梅一輪咲き初む風の緩き日に★★★

●桑本 栄太郎
陽光のぱつと厨へ春きざす★★★
ワイパーの時折傾ぎ春しぐれ★★★
遅き日や雑木林の陽を背負い★★★

●多田 有花
春の雨春をすすめる雨の降る★★★
カラフルに並ぶ門先春雨傘★★★
雨の日の増えし播磨の春めきぬ★★★

●川名ますみ
川縁のしらうめ雨に耀きぬ★★★
白梅に川面に雨の降り注ぐ★★★
多摩川の流れて岸に梅真白★★★★
多摩川の流れと白梅の清潔さが、早春らしさを醸している。(高橋正子)

●河野 啓一
-熊本へ小旅行続-
高原の宿春空の広さかな★★★
春雨のつれづれ肥後の手毬唄★★★
春霖にけむる一望草千里★★★

●小口 泰與
摘草やきらら耀う水掬い★★★
春の日や金平糖の色さやか★★★
春暁や西に満月煌々と★★★

▼2/14

●小西 宏
木々の芽の日に日に太し明るさに★★★
薄っすらと蕾みどりに梅の苑★★★
土塊に緑まるまる蕗の薹★★★

●桑本 栄太郎
青空のうす雲ながれ丘の梅★★★
山茶花の地に花びらの囲みけり★★★
春北風や忽ち雨の降りきたる★★★

●多田 有花
春の眠り暁のころに目覚めけり★★★
春なれや播州平野を囲む山★★★
宅配で食材届く春の昼★★★

●古田 敬二
咲いたねと声掛け屈むいぬふぐり★★★
切り株に座して春の句を探す★★★
頬に優し樹間を縫って春の風★★★

●小口 泰與
利根川の流れ耀う春の朝★★★
うららなる漆細工の食器かな★★★
嬬恋の山や春星かぎりなし★★★★
嬬恋の名が、「春星かぎりなし」に効果的に働いている。嬬恋村の春星の夜が潤み情感豊か。(高橋正子)

▼2/13

●小西 宏
はち切れて白生まれんと梅蕾★★★
風吹くといえども野辺の麗らかや★★★
児の遊ぶ日差しに芝の青芽ぐむ★★★★
「青芽ぐむ」が、児の可愛らしさとよくマッチして芽ぐむ季節が楽しくなっている。(高橋正子)

●桑本 栄太郎
春北風にシャトル流るるバトミントン★★★
まんさくの空に綻び散らしけり★★★
竹林の千々に傾ぐや春北風★★★

●河野 啓一
阿蘇熊本へ一泊旅行
遠霞み窓覗き合うバスの旅★★★
春雨や九重連山阿蘇五岳★★★
花の頃また訪ねたき肥後の国★★★

●多田 有花
雨あがり空の青さの春めけり★★★
紅梅のしべにゆうべの雨しずく★★★
見上げれば青き空へと梅ひらく★★★

●迫田 和代
テーブルの白磁の花瓶菜の花を★★★
春の雨紫にけぶる道を行く★★★
春の海霞んだ沖から船の影★★★

●小口 泰與
早春の湖やわらかく耀へり★★★
蕗味噌をたっぷり腹へ魚焼く★★★
産土の赤城榛名と雪解かな★★★

▼2/12

●桑本 栄太郎
竹林の節々白く冴え返る★★★★
ほつほつとものの芽青む朝日かな★★★
蘂堅く風に香りて梅ひらく★★★

●古田 敬二
合格のベル鳴る春の陽の眩し★★★
忘れられし野良着に跳ねる春霰★★★
鳥多し春を探しに森に入る★★★

●佃 康水
(広島三原の達磨市・植木市)2月8~10日   
芽吹き山そびらに満の達磨売る★★★★  
植木市道へ蕾の枝張れる★★★
暮れ遅し魚網繕う船留まり★★★

●多田 有花
<鎌倉山行者道を歩く>
磨崖仏二月の日差しを正面に★★★★
春泥の獣の跡を踏んでゆく★★★★
<札幌ナンバーのライダーを目撃>
旅人は北の国から春淡し★★★

●川名ますみ
朝食の席にひかりと梅の香と★★★★
テーブルに朝陽の来たり梅が香も★★★
スプーンを置けば梅の香あたらしき★★★

●黒谷 光子
紅梅の枝を差し交す空は青★★★
紅梅の枝も蕾も紅の濃き★★★
薄氷のままに蹲踞黄昏るる★★★

●小口 泰與
うららかやボートの色の新たなり★★★
利根川の波荒ぶるや蕗の薹★★★
雪間より日の出の紅や春炬燵★★★

▼2/11

●古田 敬二
梅一輪見知らぬ人と愛でにけり★★★
逢いたくて来た道帰る梅一輪★★★

耕せし畑に踊る春霰★★★★
耕し終えた畑に、急に春の霰が降ってきて、土の凹凸に当たってか、跳ねて踊る。「踊る」霰の様子が見える。(高橋正子)

●桑本 栄太郎
天地(あめつち)の日差しうらうら建国日★★★
風止みてよりの陽射しや春の雲★★★
雲ながれ天に流るる春の星★★★

●多田 有花
<加西市鎌倉山登山>
石仏を辿り早春行者道★★★★
小さき山連なる先の海霞む★★★
風花や法起菩薩の頂に★★★

●小口 泰與
嬬恋の川の流れも春べかな★★★
春光や山麓の牧ひろびろと★★★
忽然と風音変わり凍返る★★★

▼2/10

●古田 敬二
どの枝も膨らむ蕾目覚めけり★★★
野良をゆくしなやかな黒恋の猫★★★
あぜ道の小さき星よイヌフグリ★★★

●小西 宏
竹林の青深く揺れ春の風★★★
浅き春ひよどりの声空に流る★★★
丹沢の春霞なる青き峰★★★

●桑本 栄太郎
横風の陽射しの中を春の雪★★★
朝日射し枝に花咲く春の雪★★★
ほつほつとほほに春雪夜の家路★★★

●多田 有花
川を生む山の重なり春初め★★★
啄木鳥の奏でし音に春動く★★★

汲まれたる桶それぞれの薄氷★★★★
木桶に汲まれた水であろう。どの桶にも桶の木肌を透かして薄く氷が張っている。一つの桶でなく、「それぞれ」の桶があってリズミカルな面白さがある。(高橋正子)

●河野 啓一
雲二つ結べる春の飛行機雲★★★
冴え返る長き歴史や建国日★★★
縁薄いバレンタインの贈りもの★★★

●小口 泰與
春めくや越後駄菓子のはっか糖★★★
名にし負う会津駄菓子やうららけし★★★
長閑さや飴の中から当りくじ★★★